94話 罪咎ー8

ガラァ…

崩れ落ちるレンガ

「大丈夫かカムナギ」

壁にもたれるカムナギ

「………ユジィ」

「なんだその仮面は」

鏡に映る私は悪魔みたいな仮面をかぶっている

ただふざけてつけている訳ではないが…我ながらダサい

グイ

カムナギを起こす

「まぁ訳あって指名手配されることになったから…よろしく」

「何やってんだお前」

・・・

「まぁ言いたいこともわかるし、俺も言いたいことがある」

「とりあえずメローダの隠れ家に戻るぞ」

「了解だ」


ガチャ

「あ、おかえりなさいませ」

丁寧に迎えてくれるメローダ

「悪かったな途中二人にしちまって」

首を振るメローダ

「いえいえ、テトラ様がいましたので不安なく行動できました」

ニッ

「そうですよ、私に任せてください!」

やはり成功体験は人を大きくするのかと感心してしまうくらいテトラの表情は明るい

「まぁまた何かありましたらドンと頼ってください」

あぁ

「うん」

………

「反応薄!」

「で、カムナギ」

「なんであんな大仰に戦ったんだ?」

壁に立つカムナギ

恐らくカムナギはこの青髪を英雄と気づいていた

それなのに周りを構わずに刀を振るっていたのは何か目的があったに違いない

………

黙るカムナギ

「その前に」

「なんで英雄そいつがここに縛り付けられてんだ?」

「ん!!んん!!」

…………

目の前の椅子に縛り付けられる青髪の青年

何も訳を聞かずに見れば我々が拉致したと思われても仕方がない

「いやまぁ…話を聞こうとしたらこいつが暴れて」

「面倒だから捕縛してここに連れてきた」

「それ拉致じゃねぇか」

ですよね

ゴソゴソ

「だは!!」

青髪の拘束を解く

「はぁ…お前ら何者なんだよ」

「急に殺しにくるし…吹っ飛ばされるし、女の子に護衛頼まれたと思ったら拘束されるし」

ギロ

テトラを睨む青髪

「まぁまぁ」

「そんな怒らないでくださいよレイドさん」

カムナギは青髪の前に立つ

「?」

「テトラ…こいつはレイドっていうのか?」

「はい!」

「護衛してもらう時に教えてもらいました」

「レイド・シンザンさんというそうです」

ちっ

舌打ちをするレイド

「なんで錬域以上の人種が二人もいんだよ」

質問が多いなこいつ

「あ!」

レイドが俺の顔を見て口を開く

「お前俺の魔法とめたガキじゃねぇか!」

「どんな魔法使ったんだお前!」

・・・

「それはだな」

「俺のまほ…」

「あ!」

「あんたはエルフ族なのか!どうなってんだよここは!」

イラ…

「それはだな」

「俺達が種族関係なく困ってる種…」

「てかよ!」

………

「ここど…」

ガシ!!

俺は思わずレイドの口を鷲掴みにする

「あのな…質疑応答をしようぜ」

「お互いな!!」

コクン

頷くレイド


レイドに俺たちの素性とここにきた理由を簡潔に話す


「じゃあ俺がその神様に選ばれたこの世界の英雄ってことか?」

「あぁそうとも」

「お前達が強いのも神様から選ばれたからってことか?」

「おう」

「で、ユジィが神託を授かった神の代理人なのか?」

「まぁ簡潔にいうとな」

……

「信じられる訳ない…って言いたいけど」

「こんな強い人種を前にしちゃあ…納得するしかねぇか」

お?

最初はどうかと思ったが中々に話がわかるやつじゃないか

「で、お前らは終末点を殺して世界を救いたいんだな」

頷く一同

「そっか」

立ち上がるレイド

「まぁ頑張れよ」

「俺はやらなくちゃいけない事があるから、俺抜きで頑張ってくれよ」

「応援してるぜヤツガレ教団」

………

「できれば一緒に来て欲しいんだけど…ダメなのか?」

「あぁ」

「俺にはやらなくちゃいけない事があるからな」

「それが終わったらいつでも駆けつけるさ」

やらなくちゃいけない事って…なんだ

「それって世界を救う事よりも…大事なのか?」

頷くレイド

「俺にとってはな」

「だから言ってるだろ?終わったら参加するって」

そうか

まぁでもやるべき事の優先は自分で決めるべきだし

仕方ないか

「じゃあそのやるべき事っていつくらいになりそうなんだ?」

「そうだな…」

考えるレイド

「現状だと見通しが立たない…かな」

見通し立たないって…

「それって…」

「女をマーキングしてたのと関係あるのか?」

!!??

カムナギの一言で場が凍る…特に女子二人

「マーキングって…」

絶句するメローダ

「最っ低…」

軽蔑するテトラ

こんな冷めた目の二人を見た頃がない

いやしかし、女性をマーキングとは…聞こえは最悪だな

「誤解を生むことを言うな!!」

反抗するレイド

「誤解?俺は感じた事を素直に言ったまでだ」

「お前は戦いの最中庇った女の腕に自身の魔力を付与した」

「相当巧妙な手口だったが…俺はごまかせねぇぞ」

「レイド」

・・・

はぁ

「別にあの女の子に何をしようとも思ってない」

「ナニを!!??」

バシ

「黙れ」

興奮するテトラをいさめる

「その行為はお前のやるべき事に繋がるのか?レイド」

………

静かに頷くレイド

「はぁ…まさか俺の魔法が見破られるとはな」

「あんた名前を教えてくれないか?」

「俺はカムナギだ…変な事を画策してるようなら俺が全部切り伏せてやるからな」

「レイド」

・・・

「だから言ったろ、女の子に危害は加えない」

「俺はただ背負えなかった罪を………取り返そうとしてるだけだ」

罪…

また大仰な言い回しで

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