95話 罪咎ー9

カムナギが執拗にレイドと戦っていた理由

それはレイドが女の子にマーキングしていたから

それを言及されたレイドは罪がどうとかと言っている

「なぁレイド、その罪ってのがやる事なのか?」

質問に頷くレイド

「あぁ…そうだ」

表情が落ちるレイド

「俺はその罪を清算したい」

「それだけのために自分を鍛えてここまで来たんだ」

なるほど

じゃあ早い話その罪を清算できれば仲間になってくれるのか

正直あの双子がいない今、一人でも旅に同行してくれる仲間が欲しい所…

「じゃあその罪を俺達にも手伝わせてくれよ」

「え…なんで」

なんか絶句しているレイド

「いや…俺らがお願いしてるのにお前の願いを無視するのは違うだろ?」

………

わからないかこの等価交換精神が

「だから、お前の願いを叶えれば俺らの願いも聞いてくれるんだろ?」

「あ…まぁそうだな」

「だから先にレイドの願いを叶えようって事だ」

「1人より5人の方がいいだろ?」

まだすっとんきょう顔のレイド

「ユジィ…本当にいいのか?」

「あぁもちろん」

「そんなに疑わしいなら魔法かなんかで契りを交わすか?」

・・・

「わかった、そこまで言ってくれるんなら俺も話す」

「実際1人で少し行き詰まってた所だしな」

「ただ1つ条件を出させてくれ、全部を話すのはある物を奪ってからだ」

「それだけは譲れない」

レイドの目は真剣そのもの

まぁ…どの道レイドの要望に答えなきゃいけないし

最初から反対意見出しても今後に響く

「後で話してくれるなら構わないぞ」

「で、何を奪うんだ?」

レイドはゆっくりと口を開く

「アグロード家の居城の深部に秘蔵されている聖遺物アーティファクト「天球・メルザイア」」

「これを奪い返す事が俺のやるべき事だ」

……天球?

聖遺物アーティファクトだと!?」

大声を出すカムナギ

ピシッ

カムナギの刀を指さすレイド

「お前が持ってるのも聖遺物アーティファクトなんだろ?」

……

刀を見るカムナギ

「あぁ、よくわかったな」

グイグイ

「なんだテトラ」

「ユジィ君……聖遺物アーティファクトってなんですか?」

知らないのかこいつ

「簡単に説明しますと」

俺の顔を見て説明を始める敏腕エルフのメローダ

聖遺物アーティファクトとは世界創世記に造られたとされる遺物です」

「今でも古代の遺物は数多く出土されていますが、その中でも一際魔力が高く潜在能力が特筆している遺物を聖遺物アーティファクトと総称されています」

「ほう」

分かってるのか分からない顔のテトラ

「じゃあその聖遺物アーティファクトを持っていれば誰でも強いくなれるんですか?」

「いえ、そう簡単には行かないのです」

聖遺物アーティファクトとは何らかの譲渡の儀式を行わなければ真の力を発揮出来ません」

「譲渡の儀式?」

頷くメローダ

「その方法は聖遺物アーティファクトで異なりますが、今わかっていることは形はどうあれ譲渡が必須条件だそうです」

「恐らくカムナギ様も何かしらの譲渡があったと思われます」

カムナギの方へ振り向くテトラ

「え?そうなんですか?」

「そうだな、思い当たる節はいくつかあるが」

「まぁ「剣技の合格」がそれに当たると思ってる」

てことは、レイドも譲渡はしたけどその前に盗まれたって事か?

ポン

手を叩くテトラ

「レイドさんは譲渡された聖遺物アーティファクトを盗まれてしまったからそれを取り返したいんですね」

「いや違う」

「うんうん…それなら私達も協力…」

「違うの!!??」

頷くレイド

「おれは一言も喋ってないだろ」

「たしかに」

「じゃ、じゃあなんで奪おうとしているんですか??」

レイドの目は非常に呆れた目をしていた

「だからさ」

「それは奪った後に話すって言ったじゃん」

「たしかに!」

レイドはメローダに連れられ裏口へ歩く

「じゃあ詳しい話は明日だな」

「この本を置いてくから読んでくれ、アグロード家に関わるなら知っておくべき情報だ」

その日、レイドは1冊の本を残し解散

ペラペラ

「これは…」

レイドが残した本を見る

そこにはアグロード家の歴史や屋敷の展開図など様々な情報が記載されていた

「ああ見えて丁寧な記帳ですね」

「失礼だぞテトラ」

「でもこれ」

本をまじまじと見るメローダ

ぺら

最後のページを見終える

「アグロード家の屋敷に関して…ここまで調べれるって」

「それにこれが本当ならアグロード家は…」

改造種エスターに関わってる」

一気にこれから相手にする一族の異常性が増す情報

おいおい…こういうのは調べに調べてわかる情報であって、こんな本で簡単に分かるようなものじゃないだろ

周りを伺うテトラ

「この改造種エスターって…あの改造種エスターでしょうか…」

「だろうな」

カムナギの言葉に体を震わせるテトラ

「それって…私学院の書庫で読んだことあるんですけど」

改造種エスターって確か禁忌録ローディンに記載されてましたよね?」

「なぁテトラ」

「なんでしょうかユジィ君?」

改造種エスターについてどれくらい知ってるんだ?」

「実際に行われてるのならお前の理解度を知っておきたい」

テトラは少し間を置く

「私が見た改造種エスターは、【種と種の後天的混合こうてんてきはいごう】」

「はるか昔にいたとされる「錬金術師れんきんじゅつし」が行った禁忌」

「くらいですかね」

「俺もそんくらいだな」

カムナギも同じくらいか

・・・?

「メローダ?」

呼びかけに顔をあげるメローダ

「あ…すみません」

「少し頭がクラクラしちゃって…同種がこんな愚かな行為をしてると思うと吐き気が」

そうか

「なら早く寝るといい、なんなら明日も俺らだけで行くからメローダは残っててもいいぞ」

「いいえ、私も同行いたします」

「同じ種族として改造種エスターなど到底許せません」

「私が教団にいる理由に準じてその愚者を見つけます」

「まぁ、何かあったら言ってくれよ」

「手を貸すからな」

「はい!ありがとうございます」

聖遺物アーティファクトだけではなく改造種エスターについても調査が必要だな

てか、レイドはどんな目的でこれを………

まぁ明日聞けばいいか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る