91話 罪咎ー5

白レンガを基調とした街並み

道行くのはエルフやドワーフといった亜人種の皆様

「まずは隠れ家で話をしましょうか」

……

「どうされましたか?」

碧眼エルフを見つめる3人の人種

「どうって…なんでメローダがフードをかぶってんだよ」

亜人領「エストニ公国」に入り人種組は怪しまれる様子がなく悠々と街を歩くがなぜか亜人種のメローダだけ深くフードをかぶっている

コソコソするのが逆に怪しいと言ったのは誰だったか…

「いや…私は顔を知られていますので」

なるほど

「昔の知人と会いたくないのか」

こくり

頷くメローダ

ふふ

「可愛い所がありますねメローダさん」

なぜか嬉しそうなテトラ

「ではこちらに」

メローダを先頭にエストニの裏路地へと進む

薄暗い裏路地

上には建物間にかけられた洗濯物が所狭しとかけられている

「ここはエストニ公国の要所「カルニバ」と言います」

「公国の議会所があったり他国の要人が止まる施設などが集まる場所です」

「様々な目的で入り乱れるこの地区なら英雄様がいる確率が大きいと思われます」

ほぇ〜

階段を下りレンガの橋を通りまた裏路地へ

「止まれ」

カムナギの静止で止まる

はぁ…

「なんで人種を連れたやろうがいるんだ?」

ガラガ悪そうな亜人種5人組

それぞれにナタや斧を持っている

ギロ!

「ヒィぃ!!」

テトラが怯え後ろに下がる

「服を引っ張るな」

「で!でも…」

ガサ

カムナギが前に出る

「なぁ、俺達時間がないんだ」

「ここは穏便に見なかった事にしようぜ、俺らもここは見逃してやるからよ」

……

「ぶははは!!」

笑う亜人

「お前、ここが俺たち「ゴンドル」のナワバリってしらねぇのか!」

「知らねぇよ」

気持ちがいいほどの返事、さすがです

「あぁ!?今俺らのこと知らねぇとか命知らずすぎだろ!!」

メンチをきる若者

ヒソ…

「なぁメローダ「ゴンドル」ってそんな有名なのか?」

・・・

「私もそこまで詳しくはないのですが、最近犯罪行為に手を染めてる集団としか…」

なるほど、じゃあ知らん

ガッ!

一歩前進するカムナギ

「もういいか、俺はその「コンドル」なんて知らん」

「いいから道を開けろ」

「ゴンドルだ!!」

「誰が鳥の名前を言ったんだ貴様!!!」

ほう‥この世界にはコンドルがいるのか

ブン!

斧を振り回す亜人種

「俺らは全員「空域」なんだぜ…」

「痛い目を見たくなきゃ大人しく有金全部おいて……」

バタン!!

ひとりでに倒れる亜人

「おい!どうし…」

バタン!

バタン!!

次々と倒れる亜人種、残るは1人

その前にカムナギが歩み寄る

「で、道を通りたいんだが」

「まぁもうどかなくてもいいけどよ、どうする?」

ガクガク!!

「ごめんなさいぃぃぃ!!!」

遠くへ消えていく亜人種…おいおいお仲間はどうすんだい

「行こう、ここに用はないだろ」

なんとも頼もしい、俺もやってみたいなそれ

てかやろ


「ここです」

……ほう?

「これって…壁ですか?」

目を擦るテトラ

「私が魔法域低すぎるから壁に見えてるんですか?」

「お前な…そう自虐的になるなよこっちまで気を遣う」

まぁ綺麗な岩壁だが

スッ

カムナギは手を伸ばし岩を触る

「これは隠し扉だな、所々に隙間の空気道を感じる」

「さすがカムナギ様です、では解除方法は当てれますか?」

なぜか嬉しそうなメローダ

「そうだな…」

ゴト

ゴト

カムナギは次々と岩を押したり横へスライドさせる

「ここだな」

ガタ!

ゴゴゴゴゴ!!!

「嘘…1発で行けちゃうの」

驚嘆の声を漏らすメローダ

やはりカムナギの気配察知は目を見張るものがある

「ここを降りればいいのか?」

出現した階段を指差すカムナギ

「あぁ…はい」

階段を降りると岩の空洞

その先にある木の扉

「なんか…呪われてそうですね」

バシ!

「いだ!何するんですかユジィ君」

頭を抑えるテトラ

「お前なメローダが俺たちのために貸してくれるんだぞ、口を慎め」

「あ…ごめんなさい」

ふふふ

笑うメローダ

「いいですよ、ここはもし見つかっても誰も住んでいないと思わせるために作ったんです」

「テトラ様は何も間違ってないですよ」

優しいなメローダは

ギィィ

古びた木扉を開ける

「おぉ…すご」

扉を開けると4人が住んでも余るくらいに大きな部屋

家具も完備され壁には書物が一面に立てかけられたり地図が貼ってある

ぼふ

高そうなソファに着席

「で、今後の行動はどうするよぉ」

真っ先に地図を広げるメローダ

「そうですね…どうしましょうか」

「正直英雄様がどのような方なのか…何をしているのかがわからなければ動き用もないと思うのですが…」

「ユジィ様は今までどうやって探していたのですか?」

ふふふ

「そうだな」

「イオとメイ、カムナギの時は英雄の素質を辿り合うことができた」

「英雄の素質ですか…」

「そう、3人は特質した力を持ってたからな探しやすかった」

「それは今回も同じ…この地にいる英雄の素質がビンビンに感じ取れてるぜ!」

「おぉ!!」

感嘆の声を上げるメローダ

「では、今回はすぐに英雄様が見つかるということでしょうか?」

……

「まぁ範囲だけだから探す事には変わらないのですけどね」

ふっ

「まぁ範囲がわかるだけでも大きな情報だろ、無いよりは断然いい」

カムナギ…

「あの…」

「私の時もそうだったんですか?」

「だからわざわざアンダークラスに来たというわけですかユジィ君」

「なるほど…やはりユジィ君は神様に選ばれた人なんですね!」

……

「じゃあ次の英雄を探そうか」

「今日はとりあえず休んで本格的な捜索は明日からでいいな?」

「おう」「はい!」「承知しました」

エストニ公国に降り立った我々は次なる英雄を探すべく休息をとる


ーエストニ公国 夜の大通りー

カッカッカ

鎧を鳴らし巡回する亜人騎士

「そっちは大丈夫か?」

「ハッ!異常なしであります」

敬礼する騎士

「そうか…気合い入れていけよ」

「数日前から夜な夜な殺人が行われている…これ以上犯人を見逃すようなら我々の名誉に関わる」

「はい!全力で犯人を……がは!!」

!!!?

「な……」

亜人騎士の鎧を貫通する剣

バシャ!!

道路に飛び散る赤い血

「貴様!」

剣を持つフードを被った何者か

バッ!!

「おい!」

ガッ

胸にある通信機に喋りかける

「こちらA21!!犯人発見!至急来れ!!」

公国に流れる血

誰がなんのために…

シュポ

暗がりの路地に灯る火

「フゥゥ…なるほど」

「明日の夜が決戦だな」

空に消える白煙

バチ!!

「誰だ!!」

騎士が路地を見る

「……ん?」

路地には誰もおらず地面に残る焦げ跡のみ

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