90話 罪咎ー4

ブーブー

車内に轟く警告音

キキィ

草原のど真ん中で停止する魔導車

「ここから先は亜人領です」

車から覗く風景は変わりないが地面に感知用の魔法石が埋め込まれている

これは亜人領だけではなく他種の領土にもあるんだとか

「ここから先は私「師団長ノルディス」名義で通行証を発券致しましたので皆様は商人として振舞ってください」

ペラ

ノルディスから渡された通行証

これを見ると人種界ジェニクスで渡され速攻破られた紙を思い出す

「1枚しかないので無くさないでください」

「絶対にですよ」

……

そこまで念を押されると…ねぇ

ブルン!

魔導車は再び走り出す


とある場所

大広間に立つ4種の強者

「神託を賜りし4種の英士、ここに」

凛とした声を発し頭を下げるレイピアを携えた女

カンカン!

広間の上から見下ろす五つの影

「今回の議題は「魔王軍」の件だ」

一つの影は広場の4種に語りかける

「君達も知っていると思うが先日人種領にて大量の失踪があり魔導学院に魔王軍幹部が出現した」

「魔王が意味もなく人種領を攻撃するとも思えん、そこでセンセース」

「ハッ」

センセースと呼ばれた薄紫肌に白髪の少年は膝をつく

「そなたには終末点「魔王セイクリッド・ファースト」の調査に動いてもらいたい」

「有事の際は攻撃も辞さないと心えよ」

ニヤ

「承知いたしました」

「「激震」の特記戦力「センセース・ソウル」」

「直ちに世界の終末を殺して見せましょう」

ふっ

笑う影

「頼もしい限りだよセンセース」

カン

「では次の議題「勇戦」の特記戦力シェルフ・ハイライトが出会った未知についてだ」

「説明してくれるか?」

一歩前へと歩く黒髪エルフ

「はい」

「亜人界にて私の魔法を無傷で退けた者が出現しました」

!!!

「それは…本当なのか」

頷くシェルフ

「はい、奴は亜人騎士を気絶させた後に私と従者ラビリルの攻撃の一切を退けています」

……

「シェルフよ…それは終末点のどこかに属する者なのか?」

「いいえ」

「私は全く新しい勢力と見ています」

!!

「何故新たな勢力だと言い切るのだ?」

「その者がもたらした被害というのは亜人商会から魔法石を100個持ち去るというものです」

「終末点やそれに属する者であれば魔法石数百の窃盗など身を隠し…単独で行うには不合理極まりない」

「しかも奴は死者を出していないのです」

「殺すより無力化させる方が力を要する…それを考えると終末点に届く別の勢力があると考えた方が賢明かと思われます」

・・・

「それは由々しき事態だな…」

バッ!

前に出る黒髪長髪の女

「その者の調査は私にお任せ頂きたいのですが…よろしいでしょうか」

「やってくれるのか「怜刹れいせつ」の特記戦力エキドナよ」

ふっ

「はい…世界の終末は我々神託の四騎種にお任せあれ」

柱が連なる廊下を渡る4人

「ねぇエキドナ!」

「ん?どうしたのセンセース」

手招きをする魔人の子供

「もし見つけたらさ僕に教えてよ」

「シェルフを負かした奴と戦ってみたいんだ」

ゴン!

子供の頭に落ちる拳

「い!…てぇな敗者!!」

ちっ

舌打ちをするシェルフ

「俺は敗者じゃない、お前こそ魔王に殺されるなよクソガキ」

バチバチ

睨み合う2人

「はっはっは」

「まぁお互い何かあれば助け合えばいいじゃないか」

後ろで笑う妖艶の女

「え!」

「じゃあ僕が救援出したらアリアさんが来てくれるの!?」

目を輝かせるセンセース

「あぁ、いいとも」

「私の手が空いてたらね」

「やった!!」

飛びながら喜ぶセンセース

ふふふ

笑うエキドナ

「アリアさんの手が空く時なんてあるんですか?」

「これから亜人領の調査にいかれるのでしょ?」

「よく知ってるなエキドナ」

「そうだよ、これから世界議会の依頼でとある公国に足を運ぶの」

……

「安心してくれシェルフ」

「私が行くからには必ず救ってみせるさ」

ふっ

鼻で笑うシェルフ

「別にあんたがしくじるなんて思ってないですよ」

ニタ

「シェルフは亜人領の依頼なのになんで自分が選ばれないんだってふて腐れてんだよ」

茶化すセンセース

「そうか…すまん」

!!

頭を下げるアリア

「な…何してんだあんた!」

それを見て驚くシェルフ

「いや…確かに種族の配慮が欠けていた…私も受ける時シェルフを配慮すればよかった」

「すまん」

「あ……」

言葉が詰まるシェルフ

「いえ…いいんですよ」

「むしろ史上最強のあんたが行ってくれるなら嬉しい限りです」

「それに新米の俺なんかに頭を下げないでください」

ガッ

頭をあげるアリア

「バカを言うなシェルフよ」

「お前も神門館に選ばれた英士だ、在籍年数などは関係ない」

「私たちは同じ世界を目指す同士だろ?」

……

笑う4騎種

「さて、私は旅立つとするか」

「じゃあまた会おう…」

頷く一同

ビュン!!!

「なぁエキドナ」

「なんですか?シェルフくん」

「アリアさんが行くのって…どこだ?」

……

「エストニ公国という場所らしいですよ」

「あそこか…」

考えるシェルフ

「どうかしましたか?」

「いや…アリアさんの調査ってもしかして」

「エストニ公国の聖遺物アーティファクトと関係あるのかなと思ってな」

……

微笑むエキドナ

「まぁ、アリアさんを招集する理由なんて世界の危機以外にあり得ないので私もそれだと思います」

「エストニ公国の深層部に保管されている聖遺物アーティファクト

「それを盗もうとする輩が現れた……とかですかね?」

「そんなバカはいない」

「あそこは何人たりとも入れないさ」

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