89話 罪咎ー3

「なるほど、「エストニ公国」ですか」

メローダは考える

………

「何か問題があるのですか?」

ん?

バサ

メローダは地図を出す

「公国は亜人界から離れているので関門は特段怪しくなければ質疑応答で通過できます」

「しかもユジィ様達の魔法域は亜人種の中でもトップクラスなので変に隠れるよりは堂々と力を誇示した方が怪しまれません」

ほう…

「金銭面でもヤツガレ教団の資金を使えば何年でも滞在は可能です」

「逆にお三方の気配を感じ道行く亜人種は素通りするので帽子をかぶれば人種だとは気付かれないでしょう」

……

「そんなに気付かれないのか?」

「はい、そもそも「獄域」を出せる人種がいるなんて普通の種族は思いませんよ」

「それ程までにあなた方は特別なのです」

ニコ

微笑むクールビューティー

「ですが懸念点を挙げるとすれば」

「エストニ公国の揉め事に巻き込まれる事ですかね」

「揉め事??」

頷くビューティー

「エストニ公国を統治する一族…「アグロード家」と言うんですが」

「私の耳には良い評判は聞かないんですよ」

「俺も旅の途中で亜人領を渡ったが…亜人の一族領主はロクな奴がいないと聞いた」

腕を組むカムナギ

アグロード家…ね

「カムナギ様のおっしゃる通りです」

「噂によると圧政を行ってるとか…真相はわかりませんが噂があると言うことはなんらかの事実があると言うことです」

「それにエストニ公国は建国当初からアグロード家の統治下にありましたから…まぁ噂は信じても良いと考えています」

「どちらにせよ大小関係なく戦いはあると思います…あそこ治安悪いですし」

ほう…

「メローダは行ったことあるのか?」

苦笑いを浮かべながら頷くメローダ

「まぁ少し…亜人議会の派遣としてそこの財務を担当していまして」

なぬ!?

派遣だと!!??

「そんな過去があったのか…知らなかった」

「あの!!」

!!??

テトラの叫び声に驚く一同

「どうした…急に声を出すな馬鹿者」

なぜかソワソワしているテトラ

「あの…先ほどのメローダさんの説明だと…」

「私はどこを歩けば良いのでしょうか?」

??

困惑するメローダ

「えぇと…テトラ様も大通りを…」

「私の魔法域「高域」なんです」

あ…忘れてた、この子は弱かったんだ

「あぁ…テトラ様は、非常に申し上げにくいのですが」

「ユジィ様の付き人としてでしたら滞在できますが…」

「はい!付き人やります!!」

おう…なんとも頼もしい付き人だ

「でよ」

カムナギはエストニ公国の地図を指差す

「滞在はできるかもだが…どこに泊まるかは決めたほうがいいんじゃねぇか?」

「宿の検討をつけないで行くと酷い目に会うぞ」

なるほど…お前の実体験か

「それは大丈夫です、私が前に借りていた隠し家があるのでそこを使いましょう」

「そこは安全なのか?」

念入りに聞くカムナギ

「はい、安全性は保証します」

「私が財務担当だった頃、家に帰っても仕事を持ってくる役人から身を隠すために私が作ったので」

「しかも勤めた3年間一回も見つかっていません」

自信満々に胸を張るメローダ

ブラックじゃねぇか…公国さんよぉ

てか、今の教団の仕事量も労基法に違反するのでは…

「メローダ」

「はい?」

「仕事で疲れたらいつでも休んでいいからな…マジで」

「ありがとう…ございます?」

こうして次の英雄探しの計画が決まった

メンバーは俺を含めた頼もしい4人

聖遺物アーティファクトを使いこなせると自慢してきたが実戦で見せると頑なに見せてくれない男 【カムナギ】

常に怯えてる顔をしてるから「大丈夫か?」と声をかけたら「大丈夫って……ユジィ君こそ大丈夫ですか?」と返事をしたので心配という感情をこいつには抱くのはやめようと決めた女 【テトラ】

クールビューティー 【メローダ】


ブルンブルン!

目の前には音を上げる魔導車

「悪いな送ってもらって」

「いえいえ!いつでも言ってくださいよ!!」

送迎係【ノルディス・ノマズ師団長】

荷物を詰める一同…そういや

「この魔導車4人乗りじゃなかったっけ?」

「いえいえ、後ろに3人入れますよ」

「カムナギ様が前に座れば大丈夫ですよ」

そうか…俺小さかったんだ

時々自身の身体の大きさがわからなくなる

今の俺は10代前半の少年でした

ブルン

「では行きますよ!」

「目指すは次の英雄様がいる亜人領「エストニ公国」です!」

「出発!!」

ブルン!!!

魔導車は草原をひた走る

………

「なぁ…」

「なんで俺真ん中なの?」

ぎゅうぎゅう

なぜか女子に挟まれている

左の緑髪

「だって私…狭いと気分が悪くなりそうなので」

そうか…

右の茶髪

「私は皆様の手を煩わせないためにドアに1番近く座るべきだと思い座りました」

ほう…

「ならいいか」

ガタン!

ゴトン!

まぁ2人がいいならいいけどさ

めっちゃ当たるんだけど…特に太ももとお胸が…

まぁいいならいいんだけどね…

ありがとうございます

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