88話 罪咎ー2

「ユジィ様!!!」

ドン!

大男の突撃を華麗に避ける人種界「カンパレラ」の朝

壁に激突した男

「ユジィ様!このノルディス待ちしておりましたぞ!!」

カンパレラ人種騎士団「オリジン」の師団長ノルディスなんとかの熱いお出迎え

「……むむ!!」

リアクションが大きい師団長

「そちらは…どなたでしょうか?」

ゴリ男師団長の前であわあわする緑髪少女

「あ…私は!テトラといいます」

「会えて光栄です!ノルディス師団長殿!!!」

ピシ!

授業で習った綺麗な敬礼

ピシ!

答えるようにノルディスも敬礼

「これはご丁寧に…それであなたは何用でしょうか」

「見る所、ユジィ様との旅に同行するわけでは…ないようですし」

……

縮こまるテトラ

まぁテトラを見て一緒に旅できるレベルだとは思わないか

「なぁノルディス」

「?」

「こいつもカムナギと一緒の神に選ばれた英雄様だ」

……!!??

「ここここれは申し訳ありません!!!」

ドン!!

地面に頭突きをするノルディス

「そんな頭を上げてください!!」

それを止めるテトラ

・・・

「なぁ、本題を話さないか?」

!!

カムナギの一言に振り返る2人

ドン

テーブルにつく4人

「なるほど…次は亜人領「エストニ公国」ですか」

ノルディスに事の経緯を話しエストニ王国にいく順序を考える

「やっぱ入るだけでも難しそうか?」

考えるノルディス

「いえ、亜人領なら入るのは容易だと思われます」

「ですが入った後の事を考えると少し工夫が必要かと思われます」

後…まぁ入国1日目で英雄が見つかるわけないしな

「ここまで聞いてアレなのですが」

「亜人領の事は亜人種の方に聞くのが早いのではないのでしょうか?」

「私は亜人領まで送ることはできますが…流石に滞在は難しいのでそこら辺を相談してみてはいかがでしょうか」

「力になれず申し訳ありません」

……

「ありがとう師団長」

カンパレラ大通りを歩く3人

「いやぁ〜亜人種に聞くとは考えもしなかったなぁ」

「1番に考えるだろ」

カムナギのツッコミ

「ごめんなさい」

「あの…」

後ろから覗いてくるテトラ

「今はどこへ向かっているんですか?」

そういや言ってなかったか

「俺たちの本部だよ」

「いや、前言ったろうが」

「俺たちは教団に所属してて…てさ」

なぜか?マークを浮かべるテトラ

「アレって……ユジィ君の妄言じゃなかったんですか!?」

妄言て…

平凡な異世界の店

「ここが…本部ですか?」

ふふふ、まぁ我々も最初はそうだった

カラン

店に入ると出迎えてくれるのは教団員カーディナ

「お待ちしておりました」

先導され地下へと進む

ガガガ

地下に置かれた扉が開く

「わぁ……すごい」

ガシャン!ガシャン!!

所狭しと設置された魔道具はフル稼働

立ち尽くす3人の横の立つ猫獣人

「久しぶりだなユーデンタル」

「お久しぶりだにゃ」

「ユジィ様のご命令通り勢力拡大のため世界各地から調達した「魔石」による魔道具生成は順調です」

「おう…さすがだな」

頭を下げるユーデンタル

作られる武具を目にするテトラ

「すごい…魔法石をこんなに集められるって…」

ふふ

「それは亜人種が使う「魔法石」ではなく「魔石」でございますテトラ様」

!!

隣に現れたメガネをかけた男の魚人種

「魔石…ですか?」

頷く魚人種

「はい、ユジィ様が発掘した石の総称でございます」

「魔石は今までゴミ同然に地中にありましたがある特別な条件を満たすことで「魔法石」よりも練度、出力、加工を上回る次世代の代物になったのです」

「この功績は世界を変える程の発見、ですが我らが救世主メシアはこの技術を独占せず終末点を退けた後の世界で貧困が起きぬよう各地に技術を伝導しているのです」

ニコニコで話す魚人種

「へぇ…そうなんですか」

「ユジィ君はすごい人なんですね!」

「あ…ははは」

苦笑いが止まらない

この石は偶然の産物、前領域国家「アスクリード」でビタミおじいちゃんが教えてくれた「浄化の石」をこねくり回してたら出来ただけの話

本来の権利はビタミにあるのだが普通に「そんな小さい事を気にするな」と返された

「そういえばビタミ達の村はどうなってるんだ?」

バッ!

隣に姿を現すガタイの良いドワーフ老人

「はい今期学院に入るご家族の移住は終了しております」

「移住したのは村の約3割の方々、全員新設される学院近くの居住区にいます」

「ビタログ村へ行かれる際は是非新設計の魔導車をお使いください」

「では私は各位の状況確認をしてまいりますので」

お辞儀をしをその場を去る

「しかしここまでやってくれると申し訳なさを感じるな」

「何を言ってるにゃ」

「ユジィ様達が旅に集中できるよう我々が全力を持ってサポートする」

「これは全員の総意で全てを託せるユジィ様がいてこそにゃ!」

おう…そう過信されるのも胃が痛いが

「まぁお前らが力を貸して良かったって思えるように頑張るよ」

むに

む?この全身を包み込む柔い感触は

「ユジィ君がそう言ってくれるだけでも嬉しいよ」

上を見上げると懐かしい顔

「リリカ…久しぶりだな」

ふふ

「久しぶりユジィ君」

カンパレラでキモ司祭や荒れ狂う群衆を共に撃破した女の人リリカ

この子のおかげで教団という組織が出来上がったと言っても過言ではない

「……そういえばあの双子ちゃんは?」

周囲を見渡すリリカ

「あぁ…それなら」


ー数日前ー

人種界「ジェニクス」

エリダート魔道学院

「お前ら…本気か?」

こくり

俺の問いに頷く双子

「俺とメイで話し合った結果だ…だよな」

「うん、私達ここに残って学院の再建を手伝おうと思うの」

なんと…まぁ悪い事じゃないけども

「ユジィ」

歩み寄るイオ

「おれさここに来て少しわかった事があるんだよ」

「今までは強い事が1番だと思ってたけどさ、弱くても助ける気持ちが勝ればどんな強敵にだって立ち向かえる」

「俺はここで仲間からそう学んだんだ」

「だからその教えてもらった仲間を見捨てては行けない」

……

「ごめんなユジィ、助けてもらった恩は忘れない…だから緊急時はどこへでも駆けつけるからさ」

「ここに残ってもいいか?」

………

ポタ

!!??

「ユ…ユジィ!?」

涙が止まらない

ふっ

笑うカムナギ

「言葉にしないと伝わらないぞユジィ」

「う…うるさい、今から話す所だ」

・・・

「イオ、メイ」

「お前らが決めた事なら大賛成だ、俺は今お前達の成長に感動してる!!」

……

なぜか双子は苦笑いで見合う

「「ありがとう、ユジィ」」


ー現在ー

「と、言うわけで今回の亜人領作戦に双子は参加しない」

「今回は俺とカムナギ、テトラの3人と」

「メローダに同行してもらおうと思ってる」

「お呼びでしょうかユジィ様」

お淑やかな声

白シャツに黒のベストをきた茶色長髪の碧眼エルフ

「今回の作戦について話をしたいんだけど、時間はあるか」

ゆっくりと頭を下げるメローダ

「もちろんでございます、ユジィ様の望みとあらば何よりも先に時間を作ります」

「ではこちらへ」

メローダに案内され次の作戦を考える部屋へと案内される

できる女の子って…かっこいいよね

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