　兵庫県に清荒神清澄寺というお寺がある。

ここは台所、つまり火の神様を祀っており、関西圏に住んでいる人ならどこかで名前を聞いて知っているかもしれない。

　毎年、両親がここに参りに行くときは私もついて行っている。かれこれ十年以上になる。

　自分もここへ来たら本殿にお参りして、そのあとおみくじを引くのが毎年の流れ。なので、特に何があるというわけでもないのだが、一回「あれ？」と思うことがあった。

　何年か前の話。その日も両親と一緒に清荒神へ参って、車で帰る途中のことだった。

何かの拍子だったか、頭に違和感があったのか――。その辺はうろ覚えなのだが、そのとき私は頭を触った。確か右手でだったはず。

　すると何故か、指に血が付いていた。

　自分ははてなマークを浮かべた。不思議に思って再度手で触ると、頭の右あたりに小さな切り傷が出来ているようだった。

だが、全く心当たりがない。ここへ行く前に何かの拍子で引っかいたわけでも、どこかにぶつけたわけでもない。

　そのときは不思議だったが、その傷はしばらくしたら治ったので、たぶん大したことではなかったのだろうと思う。

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