第4話
「花火は任せられません。」
田辺さんから、そう、告げられた。
「火薬の管理ができないような人の花火は危険だと、町内会で決まりました。」
呆然と、立ち尽くしていた。
何も、できなかった。
警察からの証拠提出もあった。
違う。そう、否定できなかった。
「私が、あなたの仕事は引き継ぐことになりました。」
そう、冷たく言い放たれた。
×+×+×+×+×
向こうの方からだ。どぉん、どぉんと花火の上がる音。
雲ひとつない澄んだ夜空に大輪の炎が華の如く瞬間的に咲き誇る。
遠くから、ここまで響いて聞こえてくる囃子の音と人々の笑い声で出来た華やかな雑音が、私の居場所はあそこにはないんだと突きつけてくる。
花火を写した目から流れる一筋の涙は七色に光りながら地に落ちていく。
私が溶けていくのだと、そう思った。
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