第3話
「お邪魔します!」
「はーい。」
俺の工房に人がやってきた。
前に来たのは、花火大会の打ち合わせの時だったか。
「お疲れ様です。町内会の田辺です。」
「あ、どうも。また、何か追加ですか?」
「いえ、近くに来たので挨拶回りに。」
「それは、ありがとうございます。」
田辺さんは、火薬の取り扱いに関する免許を持っていて、打ち上げを行う人だ。
「花火玉、どんな感じですか?」
「一応、順調にできていますよ。」
箱を取り出す。
この中に、花火玉を入れていたはずだ。
「……ない。」
「え?」
「花火玉が、ない。」
昨日まで、ここにあったはずだ。
依頼の8割を完成させて置いていた。
なかった。
×+×+×+×+×
途方に暮れていた。
これでは、納期までに間に合わない。
途方に暮れて、コンビニから家に帰る。
雲ひとつない澄んだ青空に大輪の炎が華の如く瞬間的に咲き誇っている。
大きな炎だった。
綺麗だと思った。それが、自分の家でなければ見惚れていた。
火事だ。
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