第3話 神代と塔依代の休日(休んでいない)
宝翔学園歴史研究室、休日に関わらず歴史教師の
「預言書調査の途中経過を説明しますね。結論から言うとこの預言書の記述は変化します、そしてこの先にこの本がある場所を中心とした地域の出来事を預言しています。また、世界の大きな出来事がどこかから入力されて、記述が変化する事を確認しています」
「なるほど。これを手に入れた時からの記述のログはありますか?」
「それが無いんです。正確には無くなったという事ですね」
「どういう事ですか?」
不審そうに塔依代が銀髪を揺らしながら聞く。
「記述が変化する事が分かった後、念のためスクリーンショット機能で1分毎に預言書の画像を蓄積しておきましたが、そのファイルが消えてしまったんですね。学園のセキュリティは強固です、本田君が必死に調べましたが外部からの侵入の可能性は今の所不明、ファイルの内容は見た者の記憶にしか残っていません。私は何らかの強固な力の介在を考えましたが、それが何者の意思なのかは不明です」
「そうですか・・・。それは別の機会に対応を話しましょう。今の記述はどうなっているんですか?先生の推測であれば、宝翔学園を中心とした預言を記しているんですよね?」
「そうですね。前は
柊がキーボードを操作し、ディスプレイに文言を表示させる。
「如月美夏さんの死ですって!?それも全身の血液を無くして?どうしてそんな事に?」
「それの原因は複数の記載があります・・・が。候補が多すぎである事と、その文言の色が薄すぎて絞り切れませんね」
「ふむ・・・。例えばここで俺達が如月美夏さんに張り付いて護衛する。と言ったらどうなるんでしょう?何か表記が変わるかもしれない」
そう神代が言うと、美夏の死の周りに表示されていたいくつかの文言が変わる。
「・・・結果は変わらない・・・ですか」
意気消沈した表情で塔依代が呟く。
「これは私の仮設ですが、ここに表記された未来を変えるには強く事象を代える必要があると思いますね。加賀美さんの時は如月君達の動きもありますが、私が聖典旅団の拠点を急襲するミッションを発動し、それが成功した時に加賀美さんの死に関する表記が滲み始めて、サロメを撃退した時にはその表記が消えていました。これから考えられる事は、我々が何かの状況を強く動かせば、この未来は消えるのではないか?という事です」
眼鏡を光らせた柊が言い終えて、ディスプレイを指差す。
「なるほど、その確証を取るには誰かのケースを確かめるしかないかもという事。そしてこの預言事態が、俺達を混乱させる欺瞞情報の可能性もある。それを考えて動くしかなさそうですね」
「ねえ、将直。この頃は如月さん達に伝える?」
唇に指を当てて考え込みながら塔依代が尋ねる。
「いや、いたずらに混乱を起こすだけだ。この内容はこの3人だけの秘密にしよう。だが・・・悟られないように動く事はしておこう」
「そぉねーどうするの?」
「何かわからないものが来るのであれば、まずは何かを感知するために偵察行動だ。マナ、ウチで感知能力が高い奴は誰だと思う?」
そう問われて塔依代は宙を睨んで黙考した後、ゆっくりと口を開く。
「魔法レーダー担当の人は動かせない。でも、もしかしたらこの街の結界を担当するリーサリアさんと加賀美さんなら何とかできるかもしれない。結界魔法の研究を理由に、あたしが特殊遊撃隊と接触を密にしていい?」
「・・・そうだな。それで行こう」
「それで、どの事象に当たりますか?何パターンか方針を決めた方がいいと思いますね」
2人の言葉を聞きながら、柊が方針の指摘をする。
「うーん・・・魔法使いの視点でいいなら。美夏さんに起きる事は、内的な要因より外的なものの可能性が高いと思う。美夏さんのプライベートは分からないから、いわゆる行事的なもので、美夏さんに関わるものに注目していいかも」
「それは一理あるが、それはなんだ?」
「魔法使いに在るもので・・・義務化されているものは定期魔力検査ね。あとはブレイカーの昇級試験、これが8/7までで目立つ行事ね。その両方とも美夏さんが1人になる可能性が高いわ」
それを聞いた神代と柊は考え込む。
あの姉弟は授業以外では一人になる事が無い程に繋がりが強い、もし美夏を狙う場面があるとしたらその二つの行事の可能性が高い。
「分かった。それで行こう。再開発地域の浄化作戦もやりたいんだが、どうするか・・・」
「それなら役割分担しない?あたしは美夏さん死亡の預言が無くなるまで、結界魔法研究を理由に密に会うようにするわ、どう?」
ナイトメアという二つ名のあるマナとの研究であれば、同じ魔法使いの美夏が首を縦に振る可能性が高い。
「・・・仕方ないな。俺達は別行動をする場面がある、という事を念頭に動こう」
「うん。将直は寂しい?」
塔依代が上目遣いで将直を下から覗き込むのに、苦笑を返す神代。
「こら、先生が居るんだぞ」
「いやぁ。これは青春って言うんですかね」
傍観者となっていた柊のつぶやきに2人は笑う。
「先生、ありがとうございました。また何かあったらアラートをお願いします」
「ええ、気を付けて帰って下さい」
それに対して、礼をして2人は退出していく。
1人残された柊は、ディスプレイに表示される文字が変化していく様子を見て、おもむろに独り言を呟く。
「この記述の変化はバタフライエフェクトが反映されていそうだが、それを可能にしている技術は何だ?もし外の理のものだったら連中の後ろに、嫌な相手が居そうだな」
そしてキーボードを操作していると、新しい預言が表示されてくる。
「これだけ絞り込んでも、黒い剣士の記載は無しですか。いや、これは・・・柚月先生の預言が何故?」
急に表示されたざっとその内容を読み、柊は完全に記憶する。
「この預言が本当か嘘かを確かめる事が先ですね。こっちは私が動きましょう、うちの教師に手を出すなら、思い知ってもらわないと」
その物騒な言葉を聞いていたのは、歴史研究室に所蔵されている無数の本達だけであった。
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