エピソード 005「何キレてんだ? バカじゃねーの?」サツキ先輩と梨花ちゃんと慎吾くんと先輩の会話

「サツキ先輩!」


「ん? なーに?」


「サツキ先輩は~先輩から『愛してる』って言われた事あります?」


「えー! ……ど、どうかなぁ……梨花ちゃんは? 慎吾くんに言われた事あるの?」


「ないですよ~。慎吾くんそういうキャラじゃないし」


「そーね……アイツもそんなキャラじゃないし、言わないかな」


「そうかなぁ? 先輩ならちょっと格好つけて言いそう~」


「あははは、ないない。それよか慎吾くん優しいからさ、話せばきっと言ってくれるんじゃない?」


「えー? ありえないですよ~超照れ屋だし」


「そー? 私は言ってくれると思うけどなぁ」


「いえ、絶対にないって思います」


「そー? じゃ、賭けしようか?」


「え? 何を賭けるんです?」


「うーん、売店のオレンジケーキ」


「えー! 300円の? 売店で一番高いケーキ」


「うん、それくらいじゃないと盛り上がらないでしょ?」


「うーん、いいですよ。絶対言う訳ないし、奢ってもらうのは私になっちゃうけど」


「ふふふ、さぁ、どうかなぁ、あ、ちょうど慎吾くん来たわよ。慎吾くーん!」





「あ、サツキ先輩、ちーっす」


「ほら、梨花ちゃん言ってみなよ」


「え、うん……ねー慎吾くんってさぁ」


「ん? なに?」


「私のこと好き?」


「えー? 何で急に」


「好きよね~慎吾くんは梨花ちゃんのこと愛してるんでしょ?」


「はぁー?」


「だったらさ、梨花ちゃんに愛してるって言ってあげなよー」


「はぁー?」


「いいよ慎吾くん、わかってるから、言わなくても大丈夫だから」


「え? ……うん、だよねーあはは(意味わかんねー)」


「だめよ~♪、好きならちゃんと愛してるって言ってあげないと。梨花ちゃんきっと喜ぶわよぉ~」


「は、はぁ……(だから意味わかんないんですけど)」


「大丈夫! いっつも慎吾くんの愛を感じてるから~無理に言わなくてもわかってるから」


「そうかなぁ? でも口に出して言われた方が嬉しいでしょ?」


「ううん、ちっとも嬉しくないです。わかりきってるから」


「えー? 梨花ちゃん、おれに言われても嬉しくないの?」


「えー……違うよ、そんな事ないよ、言葉のアヤだよ」


「アヤ?(何それ?)」


「でも言った方がよけいに愛が深まるんじゃないのかなぁ~♪」


「もう十分深いから大丈夫です」


「だけど、やっぱり言われると嬉しいわよね~♪」


「今も充分嬉しいですから」


「もっと嬉しくなるからぁ~♪」


「もうこれ以上嬉しくなくていいです」


「そうかなぁ? 言われたらきっとすごく気持ちいいから」


「ううん、今更言われても逆に気持ち悪いです」


「えー……気持ち悪いって……ひでーなぁ」


「だから~言葉のアヤだってばぁ」


「嬉しい素敵! って思ってますます好きになっちゃうから、慎吾君、言ってあげなよ」


「いいよ、無理しなくていいから! ね! 言わなくても私もう十分間に合ってるから」


「あ、あの、梨花ちゃん、おれ、梨花ちゃんのこと愛してるよ」


「きゃはははは、言ったぁ~」


「……(えー? そこ笑うとこ~?)」


「よかったね~梨花ちゃん、あはははは、この幸せ者~♪ いぇ~い」


「……慎吾くん……わかってるって言ったのに……大丈夫ってあんなに言ったのに! なんで言っちゃったの?!」


「えー? だ、だって、なんだか言わなくちゃいけない空気で……」


「もーーー!! 慎吾くん大っ嫌い!!!」


「はー??? な、なんで? なんでそうなるの?」


「あっち行って!」


「あははは、慎吾くん大丈夫だから、ここはそっとしといてあげてね」


「は、はぁ……(なんなんだよーーー)」






「ふふふ、慎吾くんにあとでちゃんと説明してあげなよ」


「わかってますよ……」


「オレンジケーキ、ゲット~♪」


「じゃ~サツキ先輩がもし先輩に愛してるって言われたらチャラにしてくれます?」


「え? また賭けするの?」


「うん」


「そしたら私ケーキ2個になっちゃうけど、いいの?」


「ううん、先輩はきっと言いますよ、あ、先輩来た。せんぱーい!」






「お、梨花ちゃん、サツキも一緒か」


「ねー先輩先輩! サツキ先輩に愛してるって言ってあげてください!」


「ぷっ! うははは、なんだそれ? アホくせぇ」


「はー? アホくさい? 何がおかしいの?! そこ笑うとこ?!」


「……(やば! サツキ先輩キレた)」


「それよかよ、慎吾の課題、あれ梨花ちゃんが替わりにやったんだって?」


「え? あー、だってあれで赤点取ったら慎吾くん単位落とすかもしれないから」


「そっか、慎吾の為にいつも済まねえなぁ、愛してるぜ! ベイビー」


「ちょっと~!!! 何後輩の彼女に告ってんのよーー!!!」


「はー? アホかてめぇ、感謝の気持ちだよ……あー、そう言えばおめぇにもこないだの俺の課題手伝ってもらったからなぁ、サツキ、愛してるぜ! ベイビーってかぁ? うははは」


「あ! 言った!」


「はー??? も~なんで言うかなぁ~! しかもすんごいテキトー! 腹たつぅぅ!」


 バシッ!


「いってぇ~なぁ! カバンでなぐってんじゃねーよ! 何キレてんだ? バカじゃねーの?」


「うるさい! もーーー信じらんない!!!」


「あー、サツキせんぱーい……あ~あ、行っちゃった」


「なんだぁ? なんであいつマジギレしてんの!」


「うーん……あ、サツキ先輩アレなんです」


「アレ? ……アレってなんだ?」


「えっと、女の子が月に一度の……だからイライラしてたんです、多分」


「あー? ……ちっ、女ってほんと面倒くせーなぁ」


「だから気にしないでください」


「そっか」


「はい(やったぁ! これでチャラ! あーよかった♪)」





エピソード005「何キレてんだ? バカじゃねーの?」サツキ先輩と梨花ちゃんと慎吾くん先輩の会話 END

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