エピソード 003「ラブホでピンポンダッシュ」慎吾くんと梨花ちゃんの会話

「な、梨花ちゃん、いいだろ?」


「えー」


「もう試験終わったしさ、もうずっとしてないじゃん」


「うーん、でも今日お金持ってないよ」


「ふふん!」


「あれ? ……まったくもう、バイト代はいるとすぐそれなんだから」


「な! おれのおごりでいいからさ、ねー行こう」


「しょーがないなぁ」






「金曜日だと混んでるんじゃない?」


「かもなぁ、とにかく中へ、うわっとっとー」


「え?」


「梨花ちゃんこっち、早く早く!」


「何よ~どうしたの?」


「いいから早く!」






「なんで隠れなくちゃいけないのよ~、あ、誰か出てきた」


「しっ! 静かに」


「ふーん、やっぱラブホ入るとこ見られたくないの?」


「そりゃ~そうだよ、だって地元だし知り合いとかだったらさ、げ!」


「ん?」


「嘘だろ!」


「どうしたの?」


「……父ちゃん」


「えー……あれ慎吾くんのパパさん?」


「声がデカい!」


「あ、ごめん、でもパパさん、こんな時間に……あー!?」


「声がでかいってば……まったくオヤジのやつ何やってんだ」


「慎吾くん……まさかのまさかで……不倫?」


「えええ! ……ま、まさか」


「あとから女が出てくるよ、どんなのか見てやろうよ! あ、来た来た」


「あ、あああ……」


「う~ん、なんだかお化粧もしないで地味~な感じ、はっきり言ってブスね、近所にいそうなおばちゃんじゃん」


「……」


「どしたの? やっぱショック? ……だよね~」


「……あれ、母ちゃん」


「えー! ひゃはははは~ママさん?」


「だから~声デカイって~」


「うふ、うふふ、くっくっく……あははは」


「頼むから静かにして~」


「ごーめんごめん、でもイイナぁ~そうゆうの、ご夫婦で仲良しさんね♪」


「……ったく」







「二人とも行ったね、じゃ慎吾くん! 行こっか」


「……いや、いいよ今日は」


「えー? さっきあんなに行きたがってたじゃん。ちょっとその気になってきたのに」


「ごめん、また今度に」


「えー、もう私その気になってるのに、そんなのだめ! おごりだし、絶対だめ、さ、行くわよ」


「……わかったよ」







「あれ、満室? 全部消えてるね」


「(よかった)やっぱだめだね、帰ろう」


「あ、1部屋ついたよ、空いたみたい」


「え……ほんとだ」


「一番安い部屋でよかったね、じゃーチェックインのボタン押すね」


「……あ、待った! 梨花ちゃんストップ!」


「えー、今度はなーに?」


「さっきまで消えてたのに今ついたって事はさ、ベッドメイキング終わったばかりって事だろ?」


「うーん、そうかな?」


「それってさ、オヤジ達が使った部屋じゃね?」


「あ、あーかもね、いいじゃん別に」


「よくないよ~」


「どしてよー?」


「だ、だって、そのベッドで今までさ……無理無理無理!絶対無理!」


「そーお? いいじゃん気にし過ぎだよ」


「するよー思いっきり気になるだろ!」


「そーかなぁ」


「そーだよ、やめよ、帰ろう」


「えー」


「頼むよ梨花ちゃん、今度にしよ! ねっ」


「えい!」


「ぎゃぁぁ、なんで押すの!」


「あはは、押しちゃった、もう予約したから行かないとだめだよ」


「このまま逃げようぜ、早く出よう」


「ほら、あそこ見て」


「何やってるんだよ~早く……え?」


「防犯カメラ。私たちがラブホでピンポンダッシュしたってばれちゃうよ」


「そ、そんなぁ……」


「も~慎吾くんのそうゆうイジイジしたとこ嫌い!」


「えー……」


「もし今行かないんだったら、もっと嫌いになるかも」


「はぁー?」


「もう! しっかり覚悟して決めなさい!」


「……は、はい」


「よろしい」


「でもベッド使わないからね」


「ふーん」


「シャワーも浴びないぞ」


「あらそー? 慎吾くん不潔!」


「不潔でも何でも、とにかく俺は……」


「つべこべ言わない!!! いいから早くこっち!!!」


「わ、わかったよ~」




エピソード 003「ラブホでピンポンダッシュ」慎吾くんと梨花ちゃんの会話 END

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