マジカルデッド
七星北斗(化物)
1.空が憎かった。
三年以内に、魔法を習得しなければ死ぬ。そういう呪いなのだ、私にかけられたものは。
お父様やお母様は、宮廷魔法師であり。二人から習えば、魔法を習得できる筈だった。
しかし一月が経ち、私は初級魔法は疎か、魔法の発動すらできない。
ならば呪いを解けば済む話なのだが、私にかけられてしまったのは、命を代償として発動するもの。
その呪いは呪法と呼ばれ、最高位魔法の古代魔法に匹敵する。そんな魔法を解けるものがいるわけもなく、誰に?何故、呪われたのかもわからない。
その呪いを、一種の先祖返りだと言う者もいる。
今日は、新しい魔法の先生がやってくる。しかし約束の時間が過ぎてもくることはなかった。
もしかしたら道に迷っているのかもしれないし、私は先生を迎えに行くことにした。
家を出て町の住人に尋ねると、見知らぬ男がハルツの丘の方へ行ったとのこと。
ハルツの丘は、昔は霊獣の住処だったそうだ。町外れとはいえ、それほど遠い距離ではない。
ハルツの丘に向かって歩く道中、暑い夏だというのに、コートを着こんだ男性が木陰で眠っているのを見つけた。足元には、魔法ケースが転がっている。
恐らくこの人物が、私の先生なのだろう。額の汗をハンカチで拭い、失礼のない格好に整える。
深く息を吸い、吐き出す。よし、整った。
「起きてください」
「んっんん?」
男の瞼が少し開き、そして閉じた。
よし、こういう時は、近くにある
男がゴクッと、その汁を飲むのを確認した。
「…ああああっっ、痛い痛い」
サッと男に瓶を差し出す。
「どうぞ、味覚中和剤です」
男は受け取ると、勢い良くごくごくと瓶の液体を煽る。一滴も残さず、飲み終わると。すごい剣幕で、怒ってくる。
「テメー何飲ませやがった!!」
「初めまして、私はエバーユース・ロベリア。ラースの娘です。貴方がザルツさんですね。ホーラの町は初めてですか?」
「人の話を聞いてたか、何てことしやがる」
「いえ、眠気覚ましにはこれが良いとのことなので」
「覚めるどころか、逝くとこだったわ」
「そうですか?それは大変失礼致しました」
「まあ、いいわ。次はするなよ」
「師匠、わかりました」
「師匠いうな、先生と呼べ」
「はい、師匠」
「わかってないなお前」
「?」
きょとんとする私に、先生は溜め息を吐いた。
「まあいい、エバーユース・ロベリア。お前は、今日か俺の教え子だ。それ以上でも、以下でもない。適当によろしくな」
「不束者ですがよろしくお願いします」
「お前は、嫁にでもくるつもりか?」
「お前でも、嫁ではなく、ロベリアです」
「あーわかったロベリア、よろしくな」
「はいっ」
ザルツさんは、三人目の師匠ではあるが。私は必ず、三年以内にこの呪いを解いてみせる。
マジカルデッド 七星北斗(化物) @sitiseihokuto
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