第2章 隈本御三家、佐々千代麿!
第07話 ゲーム世界の拠点って大体変なところに設置されるよね
3月。
世はまさにハーベスト本土決戦中ってことで。
義務教育を2月に繰り上げ卒業した俺は、この時期に次なる学級へ進学した。
「行ってきます!」
「気をつけてね~」
今日は最初の登校日。
母さんに見送られ、ルンルン気分で家を出て、意外とご近所さんな目的地へと到着すれば……。
「まぁ、そうなるな」
そこにあったのは、よくあるコンクリや木造の高校校舎の前……ではなく。
大きなグラウンドの端っこに建てられた、プレハブの校舎だった。
プレハブの入り口に雑に立てかけてある木の板に、その文字は焼き付けられていて。
それこそが、これから俺の通うこととなる、この学校の名前だった。
※ ※ ※
「あー、こほん。えー諸君。よく集まってくれた。私が上天久佐第2特別軍学校の“戦技”を教える特別教員の
上天久佐総合スポーツ公園。
そこに政府は新たな拠点を用意し、天久佐防衛の新たな小隊を編成することを決めた。
グラウンドは半分を残し、そこに
併設する形で、後に小隊として戦いに赴く戦士を養成する学校を設立した。
そこが俺の入学した、上天久佐第2特別軍学校。
通称“
少年兵を作って戦場に……死地に送り出す、人類劣勢滅びかけ世界観ならではの、青春の舞台である。
「君たちは近い将来、同じ小隊の仲間として戦場に立つ」
朝礼台の上で、若いが精悍な顔つきの女教師が声を張る。
その目は鋭く、すごく軍人って感じだった。あとスレンダー美人。
「私たちはそこで君たちが死なないよう、生き残るためのすべを叩き込む。ゆえに学べ。学びが足りなければ死ぬ。学びが足りていても覚悟が足りなければ死ぬ。ここでの生活で知識と経験を得て、戦士として早く一人前になれ。以上だ」
女教師は厳しい物言いで手早くあいさつを終えると、颯爽と朝礼台を降りた。
代わりに台に登った物腰柔らかそうな男教師が、ごほんと咳をして口を開く。
「皆さんの人生に必要な“国語”担当の
どこまでも手短な挨拶で締められ、入学式終了。
周りの軍人候補生の皆さんからは大体「マジかよ」って授業即開始への不満が出ている。
が、俺は。
(うおおおーー!! これだよこれこれ!! ゲームでもそうだった!!)
(入学式から即授業! 時間が惜しいって感じ出てくるよなぁ!)
切羽詰まった世界観でも、実際にそれを追体験すると聖地巡礼してるみたいな興奮があるよなぁ!
テンション上がる上がる。
「おい」
やっぱ最初の授業は自己紹介レクリエーションだよな?
クラスメイトは命を預ける仲間だからな。挨拶重点は間違いじゃない。
まぁゲームだと人間関係ぐちゃぐちゃプレイとかもできるが。毎日が修羅場。雑に刺される。
「おい、お前」
俺的には
「―—お前! 聞いてるのか!?」
「うおっ!?」
なんかいきなり肩を掴まれた。
びっくりして振り返れば。
「お前、このボクを無視するとはいい度胸だな!」
なんかいかにも温室育ちっぽい、美少年ににらまれていた。
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