第06話 リザルト&戦いは次のステージへ!
目を覚ましたら。
知らない天井だった。
「シュウヤちゃん!!」
真っ白いし、病院かな?
って思ってる間に、ずっと傍にいたらしい母さんにギュッてされた。
その後、出されたご飯をもりもり食べながら、母さんやお医者さんから話を聞く。
(どうやら『不知火の壁』が崩壊した日から3日ほど経っているらしい)
お医者さん曰く、病院に運ばれた時は“どうしてこれで生きてるんだ?”と思ったくらいに全身ボロボロだったらしい。
心配したのよ。と告げた母さんの顔は、ちょっとだけ肌つやが落ちていた。
対して、俺は――。
(――あー!! 体力気力の2割ラインを見誤ったのかこれ!! ぐぁーやらかしたぁ!!)
自分のやらかしに、内心で猛反省タイムへと突入していた。
(精霊殻の超過駆動に対する体力、気力の消費は
初めての実戦、初めての精霊殻騎乗だからってテンションを上げすぎた。判断ミスだ。
今回は逃げる敵をぶちのめす掃討戦に入っていたからよかったけれど、これがお互い引けない状況や人類劣勢の時にやらかしたら目も当てられない。
「どうしたの? シュウヤちゃん。大丈夫?」
「どこか痛むかね?」
「……もっと上手く、立ち回らないと」
「「!?」」
反省点は多い。
正確な撃破数とかボーナスに絡むのに、60越えたあたりから数えてもいなかったしな。
次は最後まで敵を狩り続けられるようにしな――。
「シュウヤちゃん!!」
「おっぷぇ!?」
「シュウヤちゃんはいっぱいいっぱい頑張ったの! 十分にすごいの! だから、そんな顔しなくていいのよ!」
「んぐ、むぐぐっ!?」
母さん、母さん!
ご自慢の柔らかで豊かなダブルスイカで息が!!
「そうだとも、黒木修弥くん。君は、君の行ないは、たとえ世に出ずとも皆の心に刻み込まれている」
「!?!?」
「君の戦いぶりは私も聞いたよ。精霊殻の導きに従い自らの意思で戦いに赴き、神懸かりな活躍をしたのだと。だが、軍部としてはそれを表沙汰にはできないそうだ。民間人である君が軍事機密である精霊殻に乗っただなんて、公にはできないからね」
死ぬ死ぬ死ぬ!
今死ぬ! なんかぴったり収まってるせいで動けない!
あっ、いい匂い。
ぐぇっ、もっと締められた!?
「だが、上天久佐市の都市部が防衛された。その事実は残り、誰もがその戦いで活躍した“緑の風”を覚えている。それが希望の芽生えとなると、前線で戦っていた軍の隊長も言っていた」
「先生……」
「奥さん。あなたの息子さんは間違いなく英雄だ。今この場でこの言葉を送れるのはきっと私だけだから、口にさせてもらう……ありがとう。彼のおかげで、私たちは今、生きている」
「はい……はいっ!」
お゛っ、ダメだ。なんかスゥーって意識が……。
「どう、シュウヤちゃん。あなたの頑張りはちゃんと評価されて……あら、シュウヤちゃん。お腹いっぱいになったからかしら? 寝ちゃってるわ」
「休ませてあげましょう。英雄には今、休息が必要なんです」
せめて、せめてエターナルフォースマイラバー黒川めばえちゃんとの、ゆめ……を……。
きゅう……。
・
・
・
ダブルスイカで死にかけたけどなんとか生き延び、3日後には無事退院。
すんげぇ回復力だと驚かれたが、しっかり飯食って寝て瞑想して自然精霊の力を借りればこのくらいはどうってことない。
むしろステ落ち気にして運動しようとしたら、お医者様総出で止められて困ったくらいだ。
そんなわけで。
俺個人としてはまぁ順調に日々を過ごしていたんだが、しかし日ノ本的にはこのころ、絶不調なニュースが続くことになる。
日ノ本政府、八津代平野の決戦にて大敗。
これにより軍に所属する大人たちの多数が死傷、日ノ本は本隊の再編のため、戦場に
着々と、ヒーローとヒロインが活躍するための舞台が整えられていくのを感じる。
つまりは俺の最推し、黒川めばえちゃんが世に出る時も、近づいてきている。
順当に生き残れば、あと1年でゲーム開始時間に届く。
それまでに俺も、準備を進めておかなければ!
「まずはいつもの訓練秒でこなして追加で家事と絵画と彫刻と細工とカラオケ、キャンプ入れつつ短期で書店&裏マーケットのバイト入って貯めた金で原付乗ってパワースポット祈祷巡りで撮影しつつ、土着の精霊と契約結んで錬金素材集めてアイテム強化、それでまた訓練強度高めてステと技能盛りまくらないと」
「シュウヤちゃん。2月で中学卒業だからって、はしゃぎすぎちゃだめよ~?」
「はい!」
次の戦いの舞台は、もうすぐそこだ!
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