第35話職場でのミス
タカシは市役所に出勤すると、周りの職員から、お祝いの言葉を言われた。
皆んな、出産はお祝いと言うのだ。
その日晩は、椛山課長がささやかな飲み会を開いた。
皆んなで乾杯して、ビールを飲みタカシは終始笑顔だった。
酔っ払って帰ると、めぐみと洋介は寝ていた。
シャワー浴びて、睡眠薬を飲んだが朝まで眠れなかった。
また、職場では小さなミスを連発するようになる。
きっと、疲れているのだろうと思いながら、精神安定剤を飲んでやり過ごした。
新人にミスを指摘されるくらい、タカシは参っていた。
帰りに、心療内科に寄る。
自律神経失調症
と、主治医に言われ、仕事を1ヶ月間休むように言われた。
だが、タカシは働き続けた。愛する妻子の為に、倒れる訳にはいかないのだ。
椛山課長は、タカシを呼び、
「杉岡君。大丈夫かい?最近は顔色が悪いし、ミスも連発している。悩み事でもあるのか」
と、声をかけた。
「課長、実は、僕は半年ほど前から心療内科を受診していて、自律神経失調症と言われたのです」
「……そんな事は早く言って欲しかったな。気付かずに悪い。明日から静養しなさい。公務員は簡単にクビになる訳はないのだから」
「しかし、妻子を食べさせなければいけません」
と、タカシはもう生気を失っている。
「悪い事は言わない。休みなさい。周りには体調不良と言っておくから」
「ありがとうございます。課長。では2週間ほど休みます」
「分かった。そうしなさい。仕事の事は考えずにな」
「はい」
帰宅すると、めぐみは夕飯を作っている最中だった。
「あら、タカシ君。今日は早いね」
「うん。仕事を暫く休む」
「どうしたの?」
「ちょっと、体調不良で……」
「タカシ君。私も産休が明けたら、また仕事頑張るから、少し休んで」
「ありがとう」
と、タカシは力無く言った。
タカシがシャワーを浴びている間、めぐみは彼の荷物を片付けようとしたら、カバンから書類が落ちてきた。
診断書だ。
そこには、
自律神経失調症
と、書いてあった。めぐみは、深く悲しんだ。愛する夫が病気とは。
冷蔵庫から、タカシの好きな缶ビールを取り出した。
風呂上がりのタカシは、ビールをゴクゴク飲んでいたのだが……。
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