第31話まずは、ご挨拶

ある日の土曜日、タカシはめぐみの実家に挨拶に行った。

めぐみは事前にそれらしい事を親に話していた。

庭に車を停めると、めぐみは家に案内した。

めぐみのお父さんは、建設業の現場監督でお母さんは看護師だと言う。

お父さんは、笑顔でタカシを迎えた。

「初めまして、めぐみさんとお付き合いしている、杉岡と申し……」

「いい、いい。結婚良いよ。市役所の杉岡さんだよね?私は市役所の建設課にしょっちゅう行くんだけど、ウワサは聞いてるよ。24歳で係長だったらしいね」

「……良くご存知で」

「君なら、私は安心して娘の結婚を認めるよ。おいっ、母さん酒!」

お父さんは笑顔で、タカシに酒を勧めたが、

「お父さんは、僕は今日は車で来てるんです」

「な〜に、代行使いなさい」

その日は、前もってお母さんが出前の寿司を注文していた。

お母さんも笑顔で、お酒をみんなで飲んだ。

「建設課の竹田は、あいつ仕事できねぇなぁ〜。杉岡君が建設課に異動してもらいたいよ」

と、お父さんは酒を飲みながら冗談を言う。建設課の竹田は杉岡との同期だ。心から笑えないが、ま、今日は晴れの舞台だから、気にしない。

「杉岡さん、うちのめぐみは普段はどんな感じですか?仕事が仕事だから、何かと営業スマイルしかしないんです」

と、お母さんが言うと、

「優しくて、芯のある女性ですよ」

と、答えた。お母さんは安心したかの様にお酒を飲みだした。

簡単に結婚を認めてもらい、夕方には代行で帰宅した。


翌日。

今度はめぐみを自分の両親に披露した。

「貴志、いつの間にこんなべっぴんさんを捕まえたんだ?」

「あなた、失礼よ。結婚の挨拶よね?好きなように、しなさい。私たちは、応援するから。めぐみさんの親御さんには挨拶したの?」

と、母親は何やらホットプレートを準備しながら、尋ねると、

「うん。昨日、挨拶したよ。結婚していいらしい」

「貴志、じゃ決まりだな。母さん、ビール!」

めぐみは母親の手伝いをした。

焼き肉をしながら、4人でビールを飲みだした。

こういうのは、祝いだ。焼酎文化圏だ。

夜は、また代行で帰宅した。

来週は、2人で暮らせる家探しだ。

タカシとめぐみはこんなにあっさり、結婚が認められた事に安心した。

日曜日の夜は、濃厚なセックスをした。

早く子供が欲しかったのだ。

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