第6話破廉恥デート
土曜日の朝の9時45分の電車に、タカシとみずほは乗っていた。
タカシは、ジーンズにTシャツ、みずほは、薄い水色のワンピースみたいな格好をしていた。
あらわになった、太ももがエロい。
田舎の電車は1時間に1本しかない。
だから、早い分には良いが遅れるとその分駅で待たねばいけなくなる。
2人は並んで座席に着いている。タカシはペットボトルのアイスコーヒー、みずほは紅茶だ。
「今日の帰りは6時位になるね。親はオレと映画館に行く事知ってるの?」
と、尋ねた。
彼女は、グミを口の中に放り込み、
「お母さんに杉岡君の名前出したら、『あの子なら大丈夫』って、言ってたよ。コンビニでたまたま、道を尋ねた時、丁寧に教えてくれて、名字まで聴いたらしいの。覚えてる?」
「あぁ〜、あん時のオバサンがお母さんだったのか?トリコロールって、ケーキ屋さんの場所聞かれてね。そうか〜。でも、お父さんは怒るでしょ?」
「お父さんは、建設会社で杉岡君のお父さんと一緒に働いた事があるらしくて、問題無い!だって」
「じゃ、親、公認か。うちは、男兄弟だから、彼女が出来たって言ったら、喜んでいたよ」
「環境は良いね、2人とも」
「うん」
2人は学校の話しや、将来の職業の話しをしていた。
終点の鹿児島中央駅に到着すると、映画館に向かった。
2人は席に悩んだ。米満センセイのアドバイスでは、後ろの端っこの席を選び、暗がりの中でキスすれば良いと言っていたが、みずほは真ん中が良いと言い出した。
キスはいつでも出来るから、みずほの言い分をタカシは聴いて真ん中の席を指定した。
この映画はR15指定だった。2人とも、18歳だったので、問題無い。
トイレを済まし、コーラとポップコーンを買って座った。
映画は、トランスジェンダーの女性とエッチなシーンがあり、タカシは少し焦った。
みずほがタカシの腕をツンツンした。
振り向くと、いきなりキスをしてきた。以前、バスの帰り際にしたキスとは違い、タカシの口の中に舌を絡ませて来て、片手をタカシの股間の上に乗せてると言う荒技を使う。
映画館の真ん中で、なんて破廉恥な!
タカシは興奮して、みずほのEカップの胸を触ると、マシュマロみたいに柔らかくて、温かさを感じる。そして、揉む。
「ちょ、ちょっと」
と、みずほは抵抗を示したが、されるがまま。
「また、後で」
と、みずほが小声で言うとみずほはスッと離れて映画を観ている。
「えっ……」
何なんだ!ここまでしておいて、放置プレイとは。
タカシは続きを望んだが反応せず、仕方なく映画の続きを観た。
主人公が喫茶店で、週刊誌のヌード写真を見ている事を女性に指摘される場面で、笑い声が挙がった。
みずほもクスクス笑っている。
タカシは膨らんだ股間がもとに戻るのを待つかのように、コーラを飲み映画に集中したが、さっきの胸の柔らかさを思い出すと再び勃起した。
この映画ラストは、主人公の男性とトランスジェンダーの女性がパートナーになった所で終わりだった。
エンドロールまで、2人は観て館内に灯りがつくと、席を立った。
タカシはみずほを知っているレストランに連れて行った。「グラッツェ」と言うレストランだ。ここのパスタは旨い。
タカシはカルボナーラ、みずほはたらこパスタを注文した。
「映画館での事だけど、何でキスしてきたの?」
と、タカシはカルボナーラをズルズル食べながら尋ねると、フォークでパスタをくるくる巻いてるみずほが、
「我慢出来なかったの。映画もエッチだったし、自分でも分からない」
そう言うとパスタを口に運んだ。
「みずほって、経験者?エッチの」
彼女は首を横に振った。
食事代はタカシが支払った。
その後、少し歩き、プリクラを何枚か撮った。
タカシはつくづく思った。自分の人生は充実していると。
かわいい彼女がいて、そして、将来の不安など無いと。
それは、大きな勘違いだと実感するのは、ず〜っと後になってからだ。
帰りの電車で2人はずっと手を繋いでいた。
そして、初めてのデートは終わりとなる。
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