第9話 強いスキル、強いジョブだからこそペナルティ!
今日の戦利品は白と青に金の糸が美しいクローク装備一式と両手杖。
それに冒険者から奪い取った財布が4つにポーション類に護符、アクセサリーもそれなりに。
金は多いに越したことはない。
仮拠点を作るにしても金が掛かるからだ。
無論仮拠点ならば金は後で戻ってくるが、大きいモノになればなるほど、拠点費用と言うのは高くなっていく。
その為、コツコツ溜めてドーンと何時かは魔王領に街を作りたい。
そうだね……華やかな街がいいねぇ。
レベルが上がれば個数制限や店も増えるが、その分金も高くなるから今からコツコツ貯め込んでいくのが大事なんだ。
「中堅どころだったんだろうね、財布の中身が意外と多いよ」
「そうですね、彼らは見たことありますがCランク冒険者だった筈です」
「やはり冒険者のレベルが上がれば上がる程、お金って美味しいんですのね」
「そうなります。やはり持っている装備とかも違ってきますし、戦い慣れている冒険者と言うのも厄介なものですよ」
そう言うとトッシュが言うにはこの周辺にはCランク冒険者が大半で、次にBランク、最下層付近にAランクが一組いるらしい。
アタシ達のレベルではまだAランクは難しいだろうが、暫くはCランク狩りで良いだろう。
「お金稼ぎって冒険者はどうしているのかいら? 魔物や魔族の素材だけではないのでしょう?」
「はい、こちらの薬草の依頼や、鉱石の依頼も多いんです。道具屋に売ればそれなりの値段で売れますよ。売りに行くのは専ら僕の役目でしたので、此処でも目立たず済むと思います」
「なるほど、それでポーターがよく売り買いしてたんだね」
人間の住んでいるエリアに行くと、大体リュックを背負ったポーターが素材を売りに行ったり冒険者ギルドで依頼の品を持って行ったりしていたのを見ている。
いい使いっぱしりと思っていたが、アタシ達が売りに行くよりはポーターの恰好をしたトッシュにいって貰った方が良さそうだねぇ。
「あと、【鑑定】ではこちらのアクセサリーは何処かの敵がドロップしたんでしょうね。呪われてます」
「呪われたアクセサリーかい」
「要りませんわね」
「いえ、呪われたアクセサリーは闇オークションで高く売れるんです。恐らくこの呪いのアクセなら200枚金貨くらいかと」
「是非闇オークションに行かないとねぇ!」
「そうですわね!!」
思わず顔がにやける程の情報にピアと悪い顔をしていると、どうやらこの呪いのアクセを一式集めていたようで、一式集まっていれば1000万枚はくだらない金貨が入るらしい。
誰が集めていたモノかは知らないが、とってもありがたいね!
たまたまアタシ等に狙われただけだろうが、これも時の運って奴だよ。
「じゃあこの呪われたシリーズは袋に入れてアイテムボックスに仕舞っておくよ」
「「はい」」
「後は――」
その後色々鑑定して見た所、残った装備やアクセサリーに関しては【換金】していい事になり、全て換金して分配し、アタシが少し多めに貰って金庫に入れ込む。
冒険者を倒し始めて数か月……結構な金が溜まったが、ここから拠点代金などが差し引かれるんだからもっとタンマリと稼がないとねぇ。
「拠点は中々いいスキルだけど、金を使うってのが痛いねぇ」
「そうですわね。でも強すぎるスキルですもの、ペナルティなのではなくて?」
「そうですね、『強すぎるスキルにはペナルティが着く』と聞いたことがあります。それこそ勇者なんかは顕著だそうです」
「そうなのかい?」
「同じ異世界人の仲間を奴隷に落としたくらいですよ? 性格がとても歪んでいるそうです」
「ふむ」
「あと力は強いけど、頭は相当馬鹿だとか」
「なるほど」
「それに嫉妬深くて女好きだとか」
「へぇ」
本当に碌でもないね!
でも、そんな奴のペナルティこそ気になる。
聞いた限り屑なだけだが、それだけで勇者になれるのかね?
「あと、此処だけの話ですけど」
「「うん?」」
「勇者って、種なしだそうです」
「「あ――……」」
それが一番のペナルティだろう。
次の勇者の子と言うのが生まれないという事なのだから。
異世界からやってきたは良いが、本当に子も作れず終わるような人生なんだろうねぇ。
「そう言えばピア」
「はい」
「あの冒険者がアタシ達の気配に気づいた瞬間、直ぐに【常闇の誘い】をしたのはナイスアシストだったよ」
「はい! だってわたくしたち見つかったら不味いですから」
「そうだね、見つかったらヤバいね!!」
「コッソリ倒してコッソリ経験値とお金を……ですね!」
こうして皆で頷き、アタシが料理を作ってる間ピアとトッシュはまた射的場に篭ってしまい、余程スキルを上げたいのなら応援してやろうという事で、今日は呪いセットも手に入った事だしポンドステーキを焼くことにした。
アタシの今の歯なら食えるポンドステーキ……孫やひ孫たちが食べているのを見ると羨ましかったねぇ!!
その後皆で晩御飯となり、アタシはわさび醤油で、二人は塩コショウだけのステーキ肉をたっぷりとたいらげ、ご飯もしっかり各自お替りに行って食べていたので、食べ盛りってのは凄いねぇ……と思いながら、久々のポンドステーキに舌鼓をうった翌日からは、冒険者狩りの始まりだ。
後一か所隠し部屋があるようで、そこさえ手に入れちまえば後は延々と冒険者狩りなんだが、敵も馬鹿じゃない。
銃声には敏感になった野郎も居た為、銃に音が出なくする『サイレンサー』を各自つける事になり、これで飛躍的冒険者を狩るのが楽になった。
その頃には既にレベルも40台になっていて、ピアも30台だしトッシュは20台だ。
良い加減このダンジョン上層での狩りも、いよいよもって終盤だろうと話し合って拠点に帰ったのだが、そんな折、またしても冒険者の持ち物から変な物を見つけたのだ。
これは――。
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