第4話 スキル振りは時に大胆! でも計画的に!

優雅にソファーに座ってお互いに珈琲とカフェオレを手に、今まで得たスキルポイントも確認しながら、何処にスキルを振るべきか考える。

まずアタシのスキル一覧はと言うと――。


【過去への若返り(常時使用)】【拠点(レベルアップで機能拡張)】【ネットスーパー】【アイテムボックス】【移動車(スキルポイントで選択可能)】【鑑定】【換金】【覇気(バリア機能付き)】【一喝(相手を服従させる)】【魔王の瞳(恐怖を植え付ける)】【広範囲マップ】【銃火器スキル10】【重火器スキル10】【軽火器スキル10】【回復魔法10】【生活魔法10】【料理スキル9】【危険察知10】【悪意察知10】


この【移動車(スキルポイントで選択可能)】のポイントアップを考えている。

雨の降る日なんかの移動にサイドカーは不便だったし、今後もそういう場面は増えるだろう。

アタシの所持しているスキルポイントは、全部で50個。

10ポイント使えばサイドカーからキャンピングカーにアップグレードは可能。

アタシの気分次第でサイドカーにもキャンピングカーにも変化は可能と言うメリットも大きい。これは絶対にやるべきうちの一つ。アタシは迷わず10ポイント入れ込んでキャンピングカーに乗れるようにした。


更に残ったスキルをどこに振るかと言うと、拠点だろうねぇ……。

拠点に10もスキルを振れば色々な店も作れるようになる上に、他の町にも拠点を持てるようになる。

拠点同士は扉一つで移動可能。場所へのショートカットが可能になるのは大きい。

一度魔王城に戻って拠点を用意してもいいかも知れないが、まだまだレベルが高くならないと無理だろう。

そう言う訳で拠点にプラスで10スキルを振った。

これにより拠点を持つ数が5つ増えて、拠点の種類も5つ増えた。



「さて、後はどうするかね……」

「キヌ様……わたくしどうしたらいいかしら?」

「ん? どうしたんだい?」

「わたくしのスキル見て下さる?」

「どれどれ」



そう言うとアタシはピアのスキルを見せて貰う。

【鑑定】で見る事は出来るが、許可を貰って見せて貰うというのは中々無いからねぇ。

ピアのスキルはと言うとこうだ。


【もくもく霧(視界を奪う霧・魔王には無効)】【無臭の毒(レベルアップで効果範囲拡大・魔王には無効)】【麻痺の香り(敵を麻痺させる・魔王には無効)】【痺れ玉(一瞬の麻痺効果・魔王には無効)】【沈黙の笛(音を聞いた者は沈黙・魔王には無効)】【耳鳴りの嘆き(指パッチンで発動・魔王には無効)】【常闇の誘い(視界を奪う・魔王には無効)】【アイテムボックス】【鑑定】【広範囲マップ】【回復魔法4】【危険察知10】【悪意察知10】【生活魔法6】【調理スキル3】【銃スキル1】



「【無臭の毒】くらいしか上げられるものがないねぇ」

「そうなんですの……」

「もう少しレベルを上げれば、デバフ系の技は効果範囲が広がる可能性もあるんじゃないかい?」

「でばふ……ああ、敵にする嫌がらせの技ですわよね? それを総じてデバフと呼ぶって教えて頂きましたわ」

「その通りだね。まぁ、ひ孫からの受け売りだがね」

「ふふふ! そんなにお美しいのにひ孫だなんて、本当のお年を忘れそうですわ!」

「女にはね、秘密がある方が魅力的に見える事もあるんだよ。覚えておきな」

「分かりましたわ! では、わたくしは全部でスキルが30ありますから、5ポイントまずは【無臭の毒】に使いますわ。色々とデバフが多いから保険ですわね」

「そういう使い方もありさね」



これによりピアのスキルが変わり。


【もくもく霧(視界を奪う霧・魔王には無効)】【無臭の毒+5(レベルアップで効果範囲拡大・魔王には無効)】【麻痺の香り(敵を麻痺させる・魔王には無効)】【痺れ玉(一瞬の麻痺効果・魔王には無効)】【沈黙の笛(音を聞いた者は沈黙・魔王には無効)】【耳鳴りの嘆き(指パッチンで発動・魔王には無効)】【常闇の誘い(視界を奪う・魔王には無効)】【アイテムボックス】【鑑定】【広範囲マップ】【回復魔法4】【危険察知10】【悪意察知10】【生活魔法6】【調理スキル3】【銃スキル1】


と、地味に変わった。

範囲については鑑定でも分からなかったが、使ってみないと分らないだろう。

恐らくプラス10になったら即死毒になりそうな気がするけどねぇ……。

これだけでどれだけの冒険者を屠れるかと思うとゾクゾクするねぇ!!



「ま、後は調理レベルと銃レベルを上げな」

「うう……銃はわかりますけれど、調理レベルってやはり必要でして?」

「アンタ、自分に好きな相手が出来た時、美味い飯で好いた相手の胃袋を掴みたいとは思わないのかい?」



思わず問い掛けるとピアは顔面蒼白で口に手を当てると――。



「胃袋を掴むだなんて! わたくしの手が幾ら細くてか弱くとも、口の中から物理的に胃を掴むなんて芸当出来ませんわ!」

「おバカ! 物理じゃないよ! 相手を殺す気かい!? 美味い料理で恋に落とさせるって言うやり方だよ!」

「ん――……まず、恋をした事が御座いませんわ?」

「聞いたアタシが馬鹿だったよ。まずは恋をしてみないとねぇ……やる気も出やしないか」



15歳ならば恋の一つや二つしているだろうと思ったが、確かに戦時中恋だなんだって浮つくことはアタシも無かったねぇ。

爺様に「嫁に来るか?」って言われてホイホイついて行っちまったけど、まぁ若気の至りだったね。世の中に色々あるもんだ。



「そもそも、アンタはどんな男性が好みなんだい?」

「そう言われましてもわかりませんわ……。見た目的にはキリッとした目元に知的な方でしたら……」

「ボヤっとした感じだね」

「そういうキヌ様の旦那様はどんな方でしたの?」

「そうだねぇ……」



その言葉にアタシはふともう亡くなって何十年と経つ爺さんの事を思い出した。

あれは――アタシがまだ20歳になったくらいだろうか。

初めて爺さんにあったのは、戦時中の野戦病院での事――。



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