前のエピソード――第6話　秘密の地下室

秘密の地下室とその神秘的な温泉を発見して以来、ミコトたちは温泉宿の再生に新たな活力を得ていた。その活力は、宿の周囲の庭にも影響を及ぼし、彼らは庭を利用して小さな農園を始めることにした。ゲームキャラクターたちも現実世界の農作業に興味津々で、特にピクシーは植物と会話ができるかのように、種まきや水やりを楽しんでいた。

秋が深まり、農園での収穫の時期が到来。ミコトたちは、これを祝って「ピクセルの収穫祭」と名付けた小さなお祭りを開くことに決めた。このお祭りは、8ビットキャラクターたちと地元の人々が共に楽しむ絶好の機会になるはずだった。

準備は順調に進み、ピクセルキャラクターたちは自らデザインしたゲーム風の装飾で農園を飾りつけた。マジカは光の魔法で夜空を彩り、ソードは力を抑えて慎重にテントの設営を手伝った。そして、ピクシーは収穫した野菜を使って、カラフルでユニークな料理を作ることに。

収穫祭の日、農園は地元の人々で賑わい、子どもたちはピクセルキャラクターたちと一緒に遊び、大人たちは古き良き時代のゲームに興じながら、ピクシーが作った料理を味わった。特に人気だったのは、ピクセル形のキュートなデザートで、子どもたちだけでなく、大人たちからも「もう一つ！」とリクエストが絶えなかった。

夜には、マジカの魔法で作られた幻想的な光のショーが披露され、その美しさに参加者たちは息をのんだ。そして、レオが開発した特別なVRゲームが公開され、ゲームの世界で温泉宿を冒険できるというコンセプトに、子どもたちも大人たちも大興奮。このゲームは、ピクセルキャラクターたちとの出会いや、温泉宿での日々がモチーフになっていた。

祭りが終わる頃、ミコトは満足げに周囲を見渡した。「今日は本当に素敵な一日だった。ピクセルのキャラクターたちも、地元の人々も、みんなが笑顔でいてくれて…。これこそが、私たちが温泉宿でやりたかったことだよね。」

その夜、ミコトたちとピクセルキャラクターたちは、地下室の温泉でゆっくりと疲れを癒やした。彼らは互いに、これからも一緒にたくさんの素敵な思い出を作っていくことを誓い合った。

「ピクセル湯けむり慕情宿」は、ゲームの世界と現実世界が交わる魔法のような場所。そこでは、新たな友情が芽生え、毎日が小さな冒険に満ちていた。