第6章「この病院から出たい……」

突然、病室のドアが開き部屋の電灯が点きました。


「どうかしましたか?」


若い看護婦が来てくれました。


「アレが出たんです!アレが……」


「アレって何ですか?」


「亡霊ですよ!!」


私は一部始終を看護婦に話しました。


「そうですか……私ではどうしようも出来ないので明日婦長に報告しますね。もう三時ですからとにかく寝てください」と、言って部屋から出ていきました。


そして次の日、朝食後に婦長がやってきました。


「夜中の二時頃に出たんです!カンカン帽を被りロイド眼鏡をかけた入院患者のアレが!!」


「アレって?」


「煙草を吸う足のない亡霊ですよ!首を絞められたんです!!」


「夢でも見たのでは?こんなことを言うのは何ですが、他の患者さんもいるのでそういう話は控えていただかないと……」


「首を絞められて殺されかけたんですよ。今すぐ転院か大部屋に移してください」


しばらく考えると婦長は、「この病院の個室と大部屋は満床で空きがありません。遠方の病院しかベッドに空きがなく、ご家族とこれからの治療を考えると転院は得策とは言えませんね」


「じゃどうすれば良いのですか?」


「うーん」と、しばらく考え婦長が口を開きました。


「その時間になると看護婦がこの部屋を巡回します。それでどうですか?」


確かに病院が遠いと家族に迷惑がかかります。


他に案もなく渋々婦長の提案を受けざる得ませんでした。


その夜とんでもない事が起こりました。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る