第7章「アレ、再び」

深夜二時になると約束通り婦長が見回りに来てくれました。


しかしずっといてくれるわけではありません。二言三言会話をして一分もすると「また来ます」と、言って出ていきました。

部屋の電灯は消しましたが、枕元にある蛍光灯スタンドは怖いので点けたままにしました。


うとうとしかけたその時、煙草の嫌な匂いで目が覚めました。


点けていたはずの蛍光灯スタンドは消えて真っ暗です。


まただ、と思ったその時です。枕元から私の顔を逆に覗き込む男の顔がすぐ目の前に現れました。


「うわっ!!」


驚いた私はあわてて目を閉じ、落とさないよう左手首に巻き付けたナースコールのスイッチを何度も押しました。


「お前は誰だ!そこをどけ!!」


ロイド眼鏡の男が叫びました。


その時ドアが開き婦長が部屋の電灯を点けると、目の前の男は一瞬で消え去り、病室は何事もなかったかのように静かになりました。


私は婦長に今あった事実を報告しました。


「気のせいだとは言いませんが、疲れているから幻覚でも見たんでしょう。明日先生に睡眠薬を出してもらえるよう頼んでみます」


何を言っても信じてもらえません。


こんな状況で睡眠薬を飲んだら、私は間違いなく寝ている間に首を絞められあの男に殺されます。


どうすれば良いのか?


一人になった私は考えました。


そこでハッと思い浮かびました。


あのロイド眼鏡の男は私が寝ているこのベッドに興味があるようです。


私は婦長を再び呼びました。


すると……








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る