第3章「真夜中の面会人」
夕食時に幼稚園に通う長男が母と見舞いに来てくれました。彼は病院食が気に入ったらしく私のベッドで一緒に食べてくれました。
「また食べにおいで」と、言うと息子は笑顔で大きくうなずきました。
薬のせいか今日はテレビを見る気もなく夜十時には目を閉じました
そして……深夜また目が覚めました。
暗闇の中、ロッカーの方から強い視線を感じます。
何んだろう、と私は目を細めじっと見つめました。
すると、ぼっ、ぼっと小さな灯りが見え、それは不定期に怪しく明滅しています。同時に嫌な匂いが漂ってきました。
煙草です。
私は思わず「そこにいるのは誰だ!」と叫びました。
返事はありません。
「ここで煙草を吸うとは非常識だろ!出て行け!」
かなり大きな声で叫びました。
しかし返事はありません。
私はナースコールのスイッチを押しました。
すぐに夜勤の看護婦が来てくれました。
「どうしました?大丈夫ですか?」
看護婦が電灯を点けると部屋が明るくなり、私はロッカーに視線を送りました。
誰もいません。
「さっきロッカーの前で誰かが煙草を吸っていたんです」
「誰もいませんし煙草の匂いもしませんよ。夢でも見たんでしょう」
そう言われると言葉が出ません。
看護婦は不満があるのか、ぶつぶつと独り言を言いながら部屋から出ていきました。
アレが完全に姿を現したのは次の日です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます