第39話 獣族との交流
〇獣族の森 獣族集落
獣族の集落は木をくりぬいて空間を作って住居にしていたり、太い枝を支えに木製の住居にしていたり、木と木の間に布を張ってテントの様な住居だったり皆が思い思いの生活をしていた
木と木の間に吊り橋が掛かっていたり住民同士の交流も盛んだった、また集落の端では家畜を飼ってる場所や穀物を育ててる畑に、魚の泳いでいる美しい川
おおよそ生きて行くための物は揃う環境が整っている
「二人神様・・・此方に・・・」
ダキとミホークを案内するルルという犬型の獣族の男は終始低姿勢で前を歩く
「彼方がこの村の長である、ペペの住まいです・・・少々お待ち下さい」
それだけ言うとルルは村長の家に入り家の中で何やら騒がしく支度をしている様だ
『獣神様に森神様まで降臨いただけるとは!』『急いで支度を』
暫くすると、獣族の正装なのかダキの様な東洋風の服装を身に纏い中年の獣族の男性が出て来てうやうやしく二人の前に傅く
「この度は、九尾様にドルイド様のご尊顔を拝し恐悦至極に存じます」
背後の他の獣族も子供も年寄りも皆同じように平伏している
「そこ成るルルと申す者に伝えたが、我等の主たるオベ・ロン様を歓待する用意を致せ」
「我等と同じ様にロン様に敬意を払う様に・・・ロン様は我等、精霊の王にして主人である」
「「「「ははぁぁ!」」」」
その後、村長の家の上座に通されダキとミホークの口上もあり二人と同列の神の様に扱われる、まぁ世界樹の園で精霊達と過ごして敬われるのは慣れているが神様扱いは正直むず痒い
「獣族の族長・・確かペペと申したな、俺は精霊の王ではあるが元はこの世界の人間だ、その俺の目から見てもここの生活は人のそれと比べて皆生き生きしてる様に感じる」
「はっ!お褒めに預かり光栄です」
「是非、人の世もこうあって欲しいものだ・・・」
「はぁぁ?」
キョトンとする村長を下がらせ、ダキとミホークと話をする
「森の入り口で戦闘になった、あの貴族の女・・・今までの連中よりすこし手ごわいかもな」
「ご心配は無用です、所詮人間・・我等の相手では御座いません」
「その通りです、ロン様のお手を煩わす程では御座いません、此処は私ミホークにお任せ下さい」
二人は俺に寄りかかり俺の胸の中で上目遣いで甘えてくる、そんな二人の頭を撫でてやると頬を染めウットリと目を潤ます
だが・・・嫌な予感がする・・俺の未来予知はパンドラ程先まで見通せない、せいぜい数分先が良いところだ・・しかし、すべての小精霊が俺に危険を知らせてくれる
「それじゃ俺は二人を守るかな?」
「ふふそれは頼もしいです」「妾だけを守って下さいませぇ💛」
ミホークは屋敷の中に樹木のドームとベッドを作り、ダキは空気を遮断し音が漏れなくする
「ふふ、宴まで私達を可愛がってください・・主様ぁぁ」
「ロン様ぁぁミホークは我慢できません!!」
それから宴迄の時間、俺は二人の魅惑的な身体を堪能した・・特にダキの肌触りの良い尻尾を使った床技は至玉と言う他無かった
宴の開始時間を大幅に遅らせながら本日の主役の二人神が広場に作られた祭壇に鎮座する
俺は・・・・・
ミホークに膝枕され、ダキの尻尾を弄りながら心地よい香りのする風を扇子で送られ至福の時間・・・だが
「そ、その・・・二人神様に精霊王様におかれましては、ご機嫌麗しく・・」
「つまらぬ世辞は良い此度は我等と主様の歓待の場じゃ主様を退屈させぬように励め」
「か、畏まりました!!」
『なぁダキ・・・流石にこれは俺が恥ずかしいんだが・・・』
『主様は精霊王であらせます、我等の主としての威厳ある態度も大事に御座います』
助け船を求め横目でミホークの方を見上げると、その大きすぎる胸で顔が見えない
『お、おい・・・ミホーク・・ダキはああ言ってるが・・お前からも何か・・・』
「ぐふふふ💛・・ロン様を膝枕ぁぁうううぅぅ・・我慢がぁぁ」
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
獣族からの歓待は派手では無かったが、皆心が籠っていて張り切って喜んでいる
ミホークは獣族のお祝い時に踊るとされる女性の獣族のダンスに飛び入り参加していた
冷静な表情を崩さないダキだがその尻尾はダンスのリズムに併せて右に左に揺れており、本当は楽しんでいる事はバレバレだった
出された料理も果物や野菜、魚料理、肉料理等、全部美味で人族の街や村で、下民には絶対に口に入らない豪華な物だった
「二人神様、精霊王様、これから村の若い戦士達による徒手空拳による武闘大会を開催します」
「出来ましたら、優勝者には御三神様よりお祝いのお言葉を頂戴出来れば大変ありがたいです」
「・・・・ロン様より下賜される栄誉は我等、守護聖たる七大精霊にのみ許された栄誉だ」
「ミホークの言う通りでありんす~1眷属に主様がお声掛け頂けてるだけでも至上の栄誉であると理解せよ」
「!?・・・恐れ入りましたぁぁぁぁ!!」
二人の威圧にガタガタと震え出す獣族達・・・・俺はダキの膝枕から起き上がり二人の肩に手を回し俺の顔に二人の顔を近づける
「おいおい、俺の可愛いダキとミホークがこんな怖い顔しちゃ駄目だろ?良いじゃねぇか」
「!?主様!?」「ロン様!?」
「おい、族長のペペと言ったな・・・お前の望み聞き遂げよう俺から優勝者には言葉と贈り物を取らす」
「!!!主様、精霊王からの贈り物とは!?」「ええええええ、ミホークも貰ってないよぉぉずるいぃぃ」
不満を言いながらも、内心では自分達の可愛い眷属への心づけが嬉しくて仕方ないらしい
そんな中集落の腕自慢達が地面に書いた丸い線の中で力比べをする。
ルールは簡単、上半身や急所への打撃は禁止、相手を転ばせて背中を付ければ勝ち、相手を円から押し出せば勝ち、相手をギブアップさせても勝ち
集まった20名強の獣族の男達は、神々しく美しいダキとミホークにゾッコンで何とか良いところを見せようと全員が鼻息が荒い
参加しない他の獣族の村人も派手な応援合戦で出場者を鼓舞する
族長のペペの合図で始まった武闘大会、白熱した試合もあれば圧倒的な力を見せつけ勝ち上がって来る者もいる
決勝に勝ちあがった面子は俺に切り飛ばされた腕を直して貰ったルルと、決勝までを圧倒的な腕力でねじ伏せて来た熊の様な獣族のダダが中央で睨み合う
ルルは俺の方を向き直ると、その場で膝を付き平伏する
俺は手を上げ合図を送ると審判のペペが両者に位置に着く様に指示すると両者は腰を落とし片足を後ろに引く
「ファイィ!」
ペペの号令でまずルルが低い位置でダダの足元に飛びつくがダダが片足を引いた状態だったので片足しか取れてない、ルルはダダの足を持ち上げようとするがビクともしない
不敵に笑うダダはルルごと足を持ち上げるとそのまま地面に叩きつける
「ルール上は上半身への攻撃が禁じられてるのであって、今のダダのは振り解く為の防御行動です」
俺の視線に気づいたのかペペが解説する、地面い叩きつけられカウントされては無いが蹲って苦しそうなルル、円の端に立って腕組みしているダダは勝ちを確信し余裕そうだ
「ほうぅ~あの獣族の男・・なかなかの根性だ・・これは解らんぞ?」
足を振るえさせながら立ち上がったルルに不機嫌になるダダはルルに向かい突進する
「ルルぅぅこれで終わりだぁぁ」
しかしその瞬間ルルは横に飛び、ダダの側面からタックルをする
「うわぁぁ」
バランスを崩されたダダは枠外にタックルをしたルルは背中から倒れ込む
「相打ち?」「同時だよ?」
そんな周囲の声の中でルルとダダは自分こそが勝者だと譲らない・・・周囲の観衆も2派に割れて言い争う
「お前等・・少し黙れ・・俺が決めてやる・・・二人とも失格だ」
「「!?」」
「でもまぁ俺も褒美を取らすのが嫌だからと後ろ指刺されるのはゴメン被りたい、だからエキシビジョンだこれから俺が円の縁に立つ、その俺を円の外に押し出すか転がせたらお前等二人の優勝だ・・どうだ?やるか?」
「「宜しくお願い致します!!」」
俺は祭壇から飛び降りると、そのまま円の縁に着地した
「何時でもいいぞ?俺はここから手も出さないし動かないでやる、何時でも来い」
「「うおおおお」」
ルルとダダが同時に俺に突進する・・・が・・・
「!?ビクともしない!?」
「まるで足が地面から生えてる様だ…」
俺は二人の腰紐を掴むとそのまま持ち上げる
「なっ?!」「!?」
二人は宙に浮いた足をバタつかせ慌てふためく
「そらよっと」
そのまま体を捻り二人を場外で優しく下すと
「・・・!?しょ、勝負あり!勝者、精霊王 ロン様ぁぁぁ」
呆気とられる獣族の皆に対し、満面の笑顔で俺に向かって拍手するダキとミホーク
俺は片手を突き上げ二人に笑顔で返す
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