第31話 悪意のおもてなし


〇ベストパーレ男爵領 辺境の村 村人の家


剣を帯びた2名の男を、俺達の眠る食堂に案内した夫婦は手を擦りながら媚びる様な笑みを浮かべていた


中に入って来た男はファリスとオリハの美しい寝顔(演技)を見て溜息を漏らす


「ほぉぉぉぉこれは・・・こんな美しいメスは初めて見るな・・でかした・・・このメスであれば男爵様もさぞお喜び下さるはずだ」


「へへへ、それはもう・・男爵様と騎士様のお役に立てるのが私共の歓びで御座います」


その間に妻の方が奥の部屋から戻って来て、同じように騎士連中にペコペコと頭をさげる


「ところでぇ・・本日も男爵様に献上される前の・・味見は・・」


騎士達はゴクっと唾をのみ込むと


「あ、う、うん・・まぁ男爵様に献上するのに不手際があってはならんからな」


「へへへ、こんな上玉・・俺抱いた事ねぇぜぇ~」


妻の方は貼り付けた様な笑顔で奥の部屋の扉を開け


「そう思いまして、お部屋を2つご用意いたしました手狭では御座いますが、ごゆっくり楽しみ下さい」


騎士達は我慢できないとばかりに鼻息を荒げ腰のベルトをカチャカチャと外しだす、股間が既に盛り上がり盛りのついた猿のように目が血走っていた


「あの胸ぇぇたまんねぇぇ」


「おらぁぁあの金髪の澄ました綺麗な顔をヒィーヒィー言わせてやるぜぇぇ」


その場で下着姿になった男達は、ファリスとオリハの傍に近寄る・・・が


「汚い手で僕達に触れないでもらおうか」


うつ伏していたオリハが目を見開き男達を睨み付ける


「なぁ!?何故目が覚める??」


「あの薬の量で目をさますなんて!?丸一日は目を醒まさないはず!」


抱き合って自分達の失態に恐怖する夫婦だが、性欲によって理性の吹っ飛んだ騎士達には気にする程の事では無い様だ


「ひょぉぉぉ、やっぱスゲー上玉のメス豚だぁぁあの綺麗な顔であのデケェ胸ぇぇたまねんねぇぇ」


「クズが・・・我等は主たるオベ・ロン様の所有物にして従者・・貴様らごときが近寄る事すら恐れ多い」


オリハに続きファリスも顔を上げその美しい瞳でゲスな騎士共を冷たく射貫く


「くわぁぁ~こっちはこの世の者とは思えぬ美しさ!!男爵様に献上するのが惜しくなるメス豚だぜぇぇ、ひゃはは」


『動くな』


「「!?」」


俺はその場にすっと立ち上がると、ファリスとオリハの頭を軽くポンポンと叩き二人の前に出る


二人は俺に向かって自分の胸に手を添え軽く頭を下げる


「なっ!?て・・てめぇぇ何しやがった・・・体が・・うごかねぇぇ」


「ど、どうなってやがる!?」


奥の夫婦も抱き合ったまま動けない様で


「あ、あなたぁ離れてぇぇ」「お前こそ・・この手を離せェェ」


仲良く抱き合い藻掻いてる二人を冷たい目で見つめる


「お前等・・こうやって騎士共に村の女や流れて来た旅人の女をあてがって自分らだけ甘い汁を吸ってたって訳か・・・全く救えねぇな」


「な、なんなんだぁお前は・・・俺達が何したって言うんだぁ」


「そ、そうよ、泊めてやるって言ってんのに恩を仇で返してぇ」


自分達の事を棚に上げ俺達の事を口汚く罵る夫婦・・・俺の心は冷めていた


「オリハ・・・うるさいから沈めとけ」


「御意」



【砂沼】(さじょう)


オリハが夫婦に向かって手を翳すと、足元が砂と化し二人を足元から呑み込んで行く


「!?何だ、足元に砂が・・体が沈むぞ!」


「いやぁ貴方なんとかして~」


抱き合ったままで身動きが取れない二人は徐々に足元の砂に飲み込まれて行く


「こ、これは・・・魔法・・もしやあなた方は・・魔法使い・・貴族・・様」


「ぺっ・・やだぁ口に砂がぁぁたすけ・・・・」


夫婦の身体はすっかり砂に飲み込まれて見えなくなった、俺は騎士共の方へ向き直ると二人の顔を交互に見る


「ふむ・・・二人もいらねぇな・・」


俺の言葉に2人の騎士の表情が強張る


「魔法を使えるという事はどこぞの貴族様でしたか!私はベストパーレ男爵様にお仕えする騎士で・・・」


『黙れ』


「そういうのいいや・・お前等の名前に興味ないし、ファリス~どっちを始末した方がいいかな?」


騎士の表情が俺の言葉で絶望の色に染まる


「正直申し上げますと、何方でも構わないのですが・・・このクズ共の言う男爵とやらの所に行くのにさっきの馬車が有った方がロン様のお役に立てそうなので・・・」


「そこのクズ共・・馬車を動かせる方は瞬きを3回しなさい」


パチパチパチ


二人は必死に瞬きをした・・・が


「あ、そっちのクズは嘘を言ってますね・・・」


ファリスは右の男を指さす


「そっか~オリハ・・・潰せ」


「御意」


オリハが拳を構え軽く男の顔を打ち抜くと


グシャッ


鈍い音と共に男の頭は身体から無くなり壁に真っ赤な肉の塊がへばりついていた


「ご苦労だな、オリハ」


「滅相も御座いません」


俺は血糊がついたオリハの右手に左手を翳し水の球体を纏わせ、オリハの右手の血糊を洗い落とした


「ロン様・・勿体なきお心遣い・・感謝します」


俺は姿勢よく頭を下げるオリハの顎を持ち上げると、オリハの瞳は潤み頬が赤く染まる


「オリハは俺のモノだ・・汚いゴミの体液で汚したままに出来ないさ・・・」


そう言うとそっと目を閉じキスをせがむオリハに口付けをする


「んんぃぃ」


オリハは俺の首に手を回し激しく舌を絡め合う


「はぁ~💛・・ロン様ぁぁ僕はぁ・・」


「今日はオリハとファリス二人を可愛がってあげるよ」


奥で羨ましそうに見て居たファリスも俺の元に駆け寄り抱き着く


「主様、ファリスは本気にしますよ?」


美しい金色の髪を撫でながら笑顔で頷く


「ところで・・・お前・・・あ、そうか」


『喋っていいぞ』


「!?え?声が・・・そ、その殺さないで下さい!?何でもします、どうか~」


「はぁ・・・おいクズ俺の質問にのみ答えろそれ以外で臭い口を開くな」


「は・・・ぐぅぅ」


俺はファリスとオリハの肩を抱き騎士の男の前に立つ、足元に目を向けると首の無くなったもう一人の男の死体が転がっていた


「ちっ・・邪魔だな」


【爆災】(ばくさい)


俺が右手を死体に翳すと、死体は膨張し爆散した


「ひゃぁぁぁぁ!」


爆散した死体の肉が体中にへばり付き血まみれになる男、俺と二人の周囲にはファリスの張った結界のお陰で死肉が飛んでくる事はなかった


「ひゃ・・ははっは・・ひゃ・・」


仲間の無残な死に方に正気を無くし膨張していた股間は失禁して濡れている


「だめだなこれは・・・まぁ馬車の方は・・」


「ロン様、我が眷属にその任お任せ下さい」


オリハはさっきまでの蕩けた表情から一転しいつものキリッとした表情で俺に頭を下げる


「まぁそれで良いか・・・それじゃお前はもう要らないな」


【楼閣】(ろうかく)


俺が手を翳すと男の身体は足元から砂になり、その場に崩れていった


「それじゃ行くか・・・と言いたい所だが、折角だ夫婦の用意したベッドを無駄にしたくないと思うのだが?」


「まぁ・・ふふ良かったわねオリハ」


「ロン様・・僕・・実はさっきから・・疼いて・・我慢が・・」


「ははは、いいぞ今日は二人だけのロンだ存分に愛してやろう」


俺は二人と肩を組み、家主の用意した部屋のベッドで美女二人の身体を心行くまで堪能した


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