3章 貴族を狩る者
第29話 復讐の時は来た
〇世界樹の接ぎ木頂上・・・精霊王の間
穏やかにも充実した精霊達との親睦と訓練の日々も終わりを迎える、武器の扱いに関してはミホークと引き分ける迄になり、武術に関してはオリハには及ばないがお墨付きをもらった
精霊術に関しては、既に俺が使える術は全て修得している
俺もここに来た時は少年だったが、精悍な大人の男となっていた
「ファリス、ここに来てお前と出会ったのが昨日の事の様だ・・・」
「ふふ、主様はあの時と何も変わりませんよ」
俺の胸に顔を埋めそう微笑むファリス・・・彼女の美しい笑顔もあの時と変わらない
「あ、でも今は素敵な男性に成長なさいました、ふふふこれは失礼な言い様ですね、申し訳ございません」
「本当だ、これはファリスにお仕置きが必要だな」
「まぁどんなお仕置きが頂けるのか楽しみで御座います」
彼女等、守護聖達との夢の様な日々も終わりが近い・・・彼女らの愛を一身に受け彼女等との夜を堪能しながらも俺の心から復讐の二文字は消えてはくれなかった
「・・・いよいよ・・破界樹ゼレニスの作りし世界を粛清しに行かれるのですね・・・」
「ああ、ファリスは俺に付いて来てくれるか?」
ファリスは何も言わず俺に口付けをする
「ずるいです・・・答えの分かってる質問をなさるのは」
輝く金色のファリスの髪の毛を撫でながら、その華奢で美しい身体を抱きしめる
「俺にはお前等が必要だ・・・俺にとって唯一の大事なお前等と共にあの狂った世界を蹂躙する!」
「御意」
「明日出立する、ユリシーズには俺から伝える」
「すべては精霊王の御心のままに」
〇円卓の儀場
「世界樹ユリシーズ、精霊王の声に答えよ」
そう声を掛けると周囲の木々より光が溢れ一つの枝葉が激しく輝く
【精霊王よ時は来た】
「悠久の時の中で俺は此処に控えし守護聖たる七大精霊と契りを交わしお互いの血肉を分け合った」
【精霊王より七大精霊の力を感じる】
「我が身体と心はここなる七大精霊と共にあり、七大精霊の心も体も我がモノである」
【しかと】
「我が意は破界樹ゼレニスの作りし世界とゼレニス自身への復讐である」
【その意、我が意と同義なり】
「我とこれなる七大精霊はこれよりゼレ二アスへ赴き、かの世界への蹂躙を開始する我はあの狂った世界とその理すべてを否定し打ち壊すだろう」
【是非も無し】
「我、オベ・ロンはゼレニスの討伐が成る迄、この地へ戻る事敵わず、我が復讐が果たされるまで、この地に帰る事敵わず」
【覚悟しかと】
「ふふふ、最後は自分の言葉で言わせてくれ・」
【・・・・・・】
「世界樹ユリシーズよ、いやユリシーズ様、私に再び生きる意味と生きる気力を与えて頂き感謝します」
「貴方の紡いだ精霊達との絆は私の一生の宝です・・決して無下に致しません」
「貴方に託された精霊達は私の命に代えましても守ります、どうか見守り下さい」
深々と世界樹に向かって頭を下げると、守護聖達もそれに倣う
【精霊王・・・我が子らを・・・・頼みます】
「畏まりました」
俺は頭を上げると、振り返り守護聖達に号令する
「これより俺はゼレニアスへ赴き、あの狂った世界で持たざる者を虐げる者達を全て駆逐しゼ二アスの喉元に俺の牙を突き立てる!」
「「「「御意」」」」
「行くぞ!」
世界樹の園にあるゲートを通り、来た時と同じく地中を進み地上に出る
「ここからは全員で動くのは目立つ・・2名だけ残り他は待機だ」
「御意、では主様ここは私ファリスと・・・」
「僕が行くよ」
「では私ファリスと土の精霊オリハで同行いたします」
「よかろう、では残りの者は待機だ」
「「「御意」」」
他の精霊達は光の粒子となりその場から消えていった
世界樹の園で待機していても、精霊達は俺の身体を通して何時でも俺の元に来ることが出来るし俺の呼び掛けに答える事で呼び出す事も出来る、他の世界での精霊達の活動はそもそも時間軸が違う為、俺とこの世界のに滞在してても問題ない
今は周辺の調査が先決だ
「まずは情報収集だな・・・それに動くにも資金は必要だな」
俺が考えを巡らしていると
「ロン様、これを・・・」
オリハが大きめの袋を俺に手渡す
「ん?重いな・・・何が・・・!?これは・・」
中には大量の金貨が入っていた
「僕の土の精霊術で採掘しておいたんだ、ロン様のお役に立ててください」
整った姿勢で俺に礼を尽くす
「オリハ・・助かる、これで宿代や食事代には困らんな、であれば周辺の調査を始めるとするか」
「「はっ!」」
ファリスとオリハは素早く散会し俺の背後から消えていた
二人から齎された情報によると、ここはグランディ帝国南方の国境付近にあるベストパーレ男爵の治める領地の外れにある村らしい
「まずこの地から粛清を始めるとするか・・・くくくく」
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