第23話 守護聖たる七大精霊

先ほど迄の尊厳な態度と違い、エストに対し粛々に頭を垂れる精霊の長 ファリス


「俺の理解が及ばないだけか?その精霊王というのは何の事だ?」


エストは自分の前で傅くファリスの元に行き自分も腰を屈め尋ねる


『精霊王とは世界樹ユリシーズ様の加護を受けし、我ら精霊の主となるべき資格を持つお方の事です』


エストはファリスの言葉を受け目の前の大木、世界樹の遥高みを見上げる・・・


『先ほど精霊王の口にされた果実こそ真の世界樹の果実・・・私めの背後にある大木は世界樹の接ぎ木で御座います』



「はぁ!?」



エストは目の前の神秘的な光の粒を湛え神々しい輝きを放つ大木が世界樹の接ぎ木でだった事に驚く


『世界樹の本体であるユリシーズ様は、先ほど道中に御座いました、精霊王に果実をもたらした果実樹で御座います』


先ほど果実を手に入れた果実樹の方を見ると、生い茂る林の中に虹色の光を放つ柱が天井まで立ち上っていた


『ユリシーズ様も精霊王の誕生をお喜び下さってます』


「・・・俺が・・その精霊王だと?」


『はい、今この瞬間この時より貴方様は、精霊の王 オベ・ロンとして新たなる生と力を得ました』


「精霊王・・・オベ・・・ロン・・・」






【世界に仇成す者よ・・・我らと契約しその身に力を宿せ・・・】


【そして我が対となる存在、破界樹(はかいじゅ)ゼレニスとその作りし世界を・・・本来あるべき世界へと変革せよ】



世界樹からの声が広場全体にきこえる・・ファリスも世界樹の声に耳を傾けずっと傅いたままだ


「世界樹・・ユリシーズよ・・・俺の知る女神ゼレニスというのは、貴方の言う所の破界樹ゼレニスだと・・そういう事なのか・・・」



【我が精霊王を得た様に、ゼレニスもまた加護者・・・魔界王を得たやも知れぬ・・オベ・ロンよ精霊達と契約し世界に仇成す力とせよ】



世界樹からの声が聞こえなくなり、周囲に静寂が訪れる


「光の精霊よ・・・世界樹からの言葉は・・・」


『はい、全ては世界樹ユリシーズ様と精霊王の御心のままに・・・我らとの契約を望まれるので有れば喜んでこの身を捧げましょう』


「・・・我等?」


すると世界樹の聳える空域の彼方此方から、六つの色の光の球がファリスの背後に集まって来た



赤い光が収束すると中から、銀色の長い髪に、先端の尖った長い耳、長いまつ毛と美しい真紅の瞳を持つ絶世の美しい女性の姿に変わる


『私は炎の精霊 フィールと申します、精霊王たるオベ・ロン様の御前に』



続いて青い光が収束し 見た目はフィールと瓜二つの絶世の美女だが、長い髪は美しい髪が金髪で、その瞳は青く透き通っている、フィールと同じ容姿を持つ美しい女性が現れる


『初めて御目に掛かります、あたしは水の精霊 フィーネと申します、主様の御前に』



更に緑の光が収束し 今度は背の低い子供の様な姿に変わる、子供は緑色の短く揃った髪の毛が特徴で、頬には何やら模様が書き込まれている、中性的な顔立で男女どちらか分からない


『精霊王様!オイラは森の精霊 ミホークっていうんだどぉ、宜しくだどぉ~・・あ、御身の前にぃ~』



黄色い光が収束し 中から男装した美しい女性が現れる、茶髪ショートで切れ長細眼の美丈夫が男性執事の服を華麗に着こなし丁寧に頭を下げる、しかしその胸元の盛り上がりが尋常では無いので女性だという事が一目で分かる


『主様、僕は土の精霊 オリハっていうんだよ!・・・・御身の前に!』



白い光が収束し 白い狐の耳を持つ少女の姿になる、東洋の服を着ておりミホークと比べれば背は高いが、また幼さの残る愛らしい表情が特徴、白いふわふわな尻尾を振りながら恥ずかしそうに挨拶する


『わ、わたくしめは風の精霊 ダキ・・と申しま・・・す、精霊王様・・お見知りおき・・を』



紫の光が収束し 妖艶なドレス姿の女性の姿になる、紫掛かったウエーブの長い髪をサイドに流し、垂れ目気味の黒い大きな瞳、赤いルージュを引いた唇の横にはホクロ、自身の豊満な体のラインを強調した服と相まって大人の色気を纏わす


『ふふふ、私は闇の精霊 パンドラよぉ~ご主人様♥』



『・・・そして私が光の精霊 ファリスで御座います、我等、世界樹の守護聖が七大精霊そして、そのすべての眷属達・・・・』









『『『我等、精霊王たる、オベ・ロン様を主とし、身も心も捧げ、永遠の忠誠を尽くす事、今この時より、世界樹の前に誓います!』』』




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