序章 持つ者と持たざる者
第1話 この世界に生まれて
この世界は狂ってる
人が人を虐げる
力の無いものが搾取される
この世界は俺を否定した
だから、この世界を俺は......
帝国歴499年 グランディ帝国の北の辺境ローファット伯爵家に待望の男子が誕生した。
現党首 ラウンド フォン ローファット伯は40才後半だが、その鍛えられた体と鋭い目付きそして雷を連想させる鮮やかな金髪が特徴の武闘派の貴族だ。
子供を懐妊したどういう2番目の妻エレインは男爵家の出だが白髪で白磁のような肌が特徴の美しい女性だ、ラウンドは一目見て気に入り最初の妻を早くに亡くしていたのもあり、格下の男爵の娘だったが後妻として迎えた。
エレインは良く尽くしてくれたが、元々病弱だったのもあり、懐妊と知ったラウンドはエレインの身体を心配したがエレインは出産を望み自らの命と引き換えに息子をこの世に産み落とした。
ラウンドは悲しんだが、妻の残した息子を溺愛して育てた。
息子にはエストと名付け教養、武術共に最高の環境で育てた。
エストは死んだ妻の面影を強く受け継ぎ、透き通る白い髪に白磁のような肌、輝くアイスブルーの瞳を持つ、美少年に成長していった。
また、身体は自分に似たのか健康そのもので何よりその身体能力、天才的な頭脳を併せ持ち、教える指導者達もこぞって絶賛していた。
いずれ大物になりローファット家は、更なる繁栄を迎えるだろうと、他の家からも羨望の声が上がるほどだった。
ラウンドが、50才中頃に差し掛かる頃、エストを初めて領内視察に連れ出した。
初めて見る領内にエストは興奮していた、初めて見る建物、動物、そして村で働く人々
しかし、エストから見る人々には活力とよべるものは無く人々の目は虚ろに見えた。
「父上、彼らは何故誰も笑ってないのでしょうか?」
馬上から同じく馬上の父に質問するエスト
「エストは先生達に教わらなかったか?あやつらは能無し、つまり魔力を持たずに生まれた下民なのだ、今日を生きる事をワシらに感謝だけすればいいのだ、笑うなど下民には必要無いものだ」
父はエストの質問につまらなそうに答えた。
しかし、エストにはそれが理解出来なかった。
「しかし、父上我らの日々の食事も暖を取る薪も今こうして乗ってる馬も彼らが与えてくれたものでは無いのですか?」
そのエストの質問にラウンドは怒りを露にしていた。
「エスト!そのような世迷い言金輪際口にするな!」
そう怒鳴る父は初めて見る姿だった。
父のはじめての怒鳴る声に掴んでいた手綱を引っ張ってしまった。
「うわっ!」
エストの乗る馬が暴れ出し畑仕事をしている子供達に迫る!
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