「KAC20247」永遠の白

日間田葉(ひまだ よう) 

・・・・・

 彼女の息子さんは広汎性発達障害の診断を受けていました。


 広汎性発達障害の特性は人とのコミュニケーションが上手くとれず対人関係に難しさを感じたりこだわりを持つことにより生活に支障をきたしたりすることなどが挙げられます。


 話を戻しますと、彼女の息子さんの強いこだわりは食にありました。


 彼は「白いもの」しか食べられないのです。食べない、のではなく、食べられない。


 白い茶碗やお皿に盛られた白いものしか受け付けません。


 主菜は思いつく限り、白いご飯、白いパンに白いうどんなど、一見大丈夫そうです。


 では、お菜、副食の方はどうでしょう。


 食材はいくつか思い当たります。


 例えば、白身魚、トリの胸肉やささみ(茹でて白くなった状態)、豆腐、はんぺん、かまぼこ、卵白、牛乳、ヨーグルト、カッテージチーズ、クリームチーズ、白菜の白い部分、大根、カブ(ただし煮て透明になるとダメ)、りんご、探せばまだまだあるでしょう。


 ただ、上にあげたものを色がつかないように料理しないといけません。


 調味料は塩か砂糖に白いマヨネーズなど。色がつく味噌・醤油・ソース、ケチャップなどは使えません。


 ここまで書いておいてなんですが、彼女は料理のアドバイスをして欲しいわけではないのです。彼女は頑張ってすでにいろいろと工夫をしているからです。


 ただ「白いもの」しか食べられないと聞いただけで毎日食事を作っている方にはその苦労がどれだけ大変か言われなくても分かると思います。


「白いもの」しか食べられない息子さんは傍からみると可哀そうに思うかもしれませんが本人はそれが普通なのですから可哀そうというのはこちらの勝手な感想です。


 私は話を聞いたとき思わずいろいろと頭の中で白い料理を創作してしまいましたが自分でも失礼だなと思い口に出してはいません。今これを読んでおられる方も多分いろいろと料理を無意識に考えてしまうと思います。


 過去にたくさんの話を聞きましたが、このこだわりには結構な衝撃を受けたので今でも忘れられません。


 彼女と会食するときは皆でカラフルなものを選ぼう。ピザにパエリア、色とりどりの具材が乗ったものがいいでしょう。


 そう思っていたら茶色い煮物と白いご飯が一番だとのことでした。

 

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「KAC20247」永遠の白 日間田葉(ひまだ よう)  @himadayo

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