第18話 ホラゲー配信6

 イルカの背中に乗り、渡りきった先に進んでいくと、そこは何かが起こると言わんばかりに真っ暗な部屋であった。


[スズー]

『げ···この部屋真っ暗だ···!』


[スズー]

『迂闊に進めないな···一旦外に出よう···』


「··················がちゃ。」


「え!? スーちゃんの話聞いてた? 迂闊に進めないのにどうしてもう1度真っ暗な部屋に入るの?」


「そっちの方がはやく進めるからかな。うわぁ、何にも見えない。ほんとに真っ暗だぁ。」


「一応進まない方がいいって忠告しといたからね。」


「はーい、でも大体のゲームだったらこの部屋のどこかに明かりをつける何かがあるはずだから、それを直接見つける方が時間短縮になるよね。今ちょうど急いでる訳だし。」


「暗くて何も見えないけど左にしか進めないし······左にいち、に、さん、よん、ご、···って······」


「き"ゃ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"」


 ヒュュュュュ~~~~~ぐちゃぁ········· 




『G A M E   O V E R』




「······こんな暗い部屋に落とし穴設置するなよ!分かる訳ないじゃん。ビックリしすぎて心臓止まるかも思った······あとスズーがはやくも2度目のお亡くなりに······」


「だから進まない方がいいって言ったのに。」


「僕はこの暗い中で進んでいきたいの。落とし穴の位置なんか一度分かっちゃえばどうってことないし。」


「その代わりにスーちゃんとリリちゃんが犠牲になるけどね。」


「今度は絶対に失敗しないようにするし······左に4歩進んで上に1歩進めば······やった、さっきの落とし穴は回避出来たぁ······」


「るいちゃん良かったね。でもまだまだこれからだよ? 次はどうするの?」


「そのまま左に進んで······あ、上にも行けるようになったし上に進もうかな。いつ落ちるか分からないから本当に心臓に悪いこのゲーム······上にいち、に、···って······」


「き"ゃ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"」


 ヒュュュュュ~~~~~ぐちゃぁ·········




『G A M E   O V E R』




「ほら、言わんこっちゃない。」


「今のはあれ!あれだから!ちょっと油断しただけだし!あとこんなに落とし穴を作る製作者さんが悪い!製作者さん!せひしゃくしゃしゃんがふぁるひの!」


「るいちゃん流石に噛みすぎ。かわいいけど······この素晴らしいゲームを無料でプレイさせてもらってるんだから、製作者さんには感謝しないとね? るいちゃん?」


「製作者さん絶対性格悪い(小声)······そうだね······プレイさせてもらってる立場なんだから感謝しないとね。」


「るいちゃん感謝出来るの偉いね。でもずるじゃなくて正攻法で突破したくない?」


「したくない······絶対にこの方法でこの部屋を突破するから!」


:真っ暗だぁ

:あ······

:おいおい死んだわるいちゃん

:!?

:!!!!!

:ビックリした······主にるいちゃんの叫び声で

:ヒュ~~~~~wwwww

:げーむおーばー

:スズー、本日2度目のお亡くなり

:おいおい死んだわるいちゃん(2回目)

:え······

:ぐちゃぁ·········wwwww

:叫び声がお手本すぎる

:るいちゃんの叫び声聞いたら持病が良くなりました!

:心臓に悪いのはるいちゃんの叫び声の方だと思うけど

:遂に製作者さんのせいにしてて草

:るいちゃん噛みすぎ、かわいすぎ、ビビりすぎ

:負けず嫌いなるいちゃん

:てか配信枠主の和葉ちゃんが空気すぎる

:↑まあ今回の配信の主役はるいちゃんだし······

:いつこの配信は終われるんだろうな(遠い目)


「上に行ったら落ちてスズーがお亡くなりになっちやったから······1つ左にずれてから上に進めばいいか。左にずれて上にいち、に、さん、···って······」


「い"や"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"」


 ヒュュュュュ~~~~~ぐちゃぁ·········




『G A M E   O V E R』




「次!次こそは!次は絶対に行けるから!」


「前回落ちた所より更に1つ左にずれれば大丈夫な、はず······左に1つずれて、いち、に、さん、よん、ご、ろく、なな、はち···って本当に大丈夫だった。明かりらしいものは見当たらないし、左に進んでみるか···いち、···って······」


「う"わ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"」


 ヒュュュュュ~~~~~ぐちゃぁ·········




『G A M E   O V E R』




「なんで左に1つ進んだ所に落とし穴があるの!いや僕は絶対に諦めないから!次!」


「とりあえずさっきの方法で1番上まで行って······そしたら今度は右に進んでみるか·····右にいち、に···って······」


「き"ゃ"ぁ"あ"あ"あ"っ"っ"っ"」


 ヒュュュュュ~~~~~ぐちゃぁ·········




『G A M E   O V E R』




「なんで左右どちらとも落とし穴あるんだよ!っ、次!」


「流石にこんな場所に落とし穴なんかある訳ないよね···って······」


「え"······························」


 ヒュュュュュ~~~~~ぐちゃぁ·········




『G A M E   O V E R』




「·········なんでこんな所に落とし穴があるんだよ!まだ僕は諦めないから、っ、次!」


「隅々まで調べないといけないから部屋の角まで調べるか······左角に落とし穴なんてある訳ないよね······だってわざわざ左角に設置するより真ん中に設置した方が落ちやすいからね。だから左角に落とし穴がある訳···って······」


「い"や"ぁ"ぁ"あ"あ"も"う"む"り"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"」


 ヒュュュュュ~~~~~ぐちゃぁ·········




『G A M E   O V E R』




:草

:本日3度目のお亡くなり

:もしかしてるいちゃん芸人枠?

:るいちゃんの叫び声助かる

:げーむおーば

:この微妙にうざい効果音w

:流石に草

:死にすぎ

:死にすぎだろ、このゲームアイワ○だった!?

:いつまで続くのか······

:るいちゃんの考え全て製作者さんに読まれてて草

:遂に諦めた

:るいちゃんの叫び声がぁ

:一生分の叫び声聞いた気がする

:[悲報]るいちゃん、落とし穴にわからせられてしまう

:↑るいちゃんのわからせるのは私なのに······





 15分後、ようやくランタンとマッチを見つける事が出来た。

 ちなみに合計でスズーたちは17回お亡くなりになっていた。

 

『ランタンとマッチを手に入れた。』


「はぁ、はぁ、ようやく手に入れた······」


「こんな事してるから時間が伸び(ボソッ)······お疲れ様るいちゃん。」


[スズー]

『はぁ···これでやっと見える···』


[スズー]

『(電気くらい簡単につけれるようにしておけ)』


「やっとまわりが見えるようになった······って落とし穴ありすぎだろこれ、どう考えても。」


「これは流石にありすぎだけど···るいちゃんみたいなずるして進む人を少なくするためだからしょうがないよね。」


「でも『正攻法』で進めたから僕の勝ちだね。お、全体は赤で、縁は金の宝箱がある······えぃ。」


『4匹の生き物の中心となるものは? 日本語にしてカタカナで答えよ。』


「うわぁ······謎解きじゃんこれ。ま、ま、まあ僕にかかればこんな簡単な謎解きとか1分もあれば楽勝だし。」


 10分後·········


「うーん、思ってより難しい······」


「1分で楽々と解くんじゃなかったの?」


「もうすぐで解けるから!」


 20分後·········


「うーーーん、もう少しで解けそうな気がするけどなぁ。」


 30分後·········


「うーーーーーん、分かんない!諦めた!るいりすのみんな答え教えて!」


:スズー·········

:スズーたちの合計死亡回数18回

:落とし穴ありすぎ、これは落ちるわ

:正  攻  法

:あ·········

:詰んだな(確信)

:1分もう過ぎたけど

:今までるいちゃん馬鹿にしてたけど今回は分からない······

:↑私も分からないから安心して

:↑↑私は答え見たから安心して

:↑ずっる、るいちゃんじゃん

:·········一体いつまで続くんだこれ、30分経過したけど

:遂に諦めた

:本日2度目のずるだけど······vtuberとしてそれでいいのか雪水るいよ

:学校あるからしょうがないか、サクサク進めないとだし





「明日るいちゃんは学校あるし、これはしょうがないか。るいちゃんの学力テストが更に楽しみになってきたね。」


「······逃げていい?」


「だーーーめ。私プレイ済みで答え知ってるからはやく次いくよ。るいちゃんの頭が良かったらもっとサクサクだったのになぁ······」


「僕は天才だから!そういう和葉ちゃんこそ謎解きに何分かかったの?」


「·········20分。」


「和葉ちゃんも僕と全然変わらないじゃん。なーんだ心配して損したぁ。」


「10分は大きいから!10分って天と地とるいちゃんの差があるから!あとるいちゃんは30分かけても解けなかったし。」


「いや10分は大きくないから!休み時間の10分とか体感5秒だから!僕と和葉ちゃんの差は実質5秒ってことだね。」


「······そういう事にしといてあげる。誰かさんのせいで時間がないしね。」


「そうだね······和葉ちゃんのせいで時間がないしね。」


:学力テスト楽しみ、るいちゃんの珍回答が

:↑るいちゃん学生だから思ってるよりはやばくなさそう、寝ることが大好きなつむぎちゃんとかの方が意外にやばそう

:天才(笑)

:あたいったら天才ね

:物凄い馬鹿にされてるよるいちゃん

:天>地>>>(越えられない壁)るいちゃん

:なぜ授業中の10分はあんなに長いのに休み時間の10分はあんなに短いのか

:いつまでけんk······いちゃいちゃしてるのこれ?

:争いは同じレベルでしか起こらないよ

:時間はほんとにまずい、ちょっと眠くなってきた





「宝箱に教えてもらった答えを入手してっと······お、開いた!」


 がちゃ


『ビヤンカ水族館の年間パスポートを手に入れた。』


[スズー]

『これは···ビヤンカ水族館の年パス···?』


[スズー]

『何か使えるかもしれないし持っていこうか。』


[スズー]

『···それにしても薄暗いなこの部屋、早く出よう。』


[スズー]

『···!!』


[スズー]

『げ···ランタンの火が消えた···!』


[スズー]

『(もう1回つけないと···)』


[スズー]

『よし、これで。』


 その時、何かが起こると言わんばかりに不気味なbgmが流れ始めた。


「やだやだやだ、むり、絶対やばい奴じゃんこれ。」


 ランタンとマッチに再び火が灯った。

 そこには色は薄暗いピンクであり、所々に血のような赤い何かがついている狂気に道溢れているヤドカリ? がいつの間にかいた。


「き"ゃ"ゃ"ゃ"ぁ"ぁ"ぁ"っ"」


[スズー]

『···!!!!』


「ビックリした······ってセーブ画面出てきたけど。これ絶対あのヤドカリみたいな奴から逃げろって事だよね······銃もないし。」


「この時のためのダッシュか······逃げろっ!」


 落とし穴大量の薄暗い部屋から脱出し、鍵がかかっていて開かなかった扉の前に着いた。


『鍵がかかっている。』


『年間パスポートをかざして鍵を開けますか?』

はい←

いいえ


「こいつ一体どこまでついてくるんだ······しつこい動物は嫌われるぞ。あ、あそこならあのやばい奴から隠れられそう。」


『中に入れそうだ、身を隠しますか?』

はい←

いいえ


 心臓の音が微かに聞こえくる。


[スズー]

『············』

 

 部屋の中には······狂気に道溢れているヤドカリの仲間だと思われるヤドカリが人間を食べている最中であった。

 幸いにもこちらには気づいていないが······

 部屋にはいくつかの人間の死体が散らばっており、血が大量に飛び散っていた。


「なに、ここ······人が···一体どうなってるの······」


:年間パスポート綺麗、欲しい

:このタイミングで火消えるのか

:なにか、くる

:bgm······

:!?

:ヤドカリ?

:こわ

:ヤドカリ足はやいの草

:また何かあるだろこれ

:え

:え?

:うわ

:ぐろ

:むしゃむしゃしてる、きも

:急に怖くなった······





「なにかある·········」


『クラゲの鍵が落ちている、拾いますか?』

はい←

いいえ


『クラゲの鍵を手に入れた。』


「もう何もないし、こんなとこからはやく出よう。」


『外に出ますか?』

はい←

いいえ


 外に出てみるとヤドカリはいなく······なっておらず、全力でこちらに向かってきた。


「まだいるのか······某青い鬼のゲームではタンスに隠れたらやり過ごせるんだから、いなくなって欲しかったな······」


 全力でヤドカリから逃げ扉の前に着いた。


『鍵がかかっている、クラゲの彫刻が彫ってある。』


『クラゲの鍵を使って開けた。』


 全力でヤドカリから逃げてきたが遂に······


[スズー]

『まずい···行き止まり···!』


[スズー]

『···』


 スズーたちは段々と後ろに下がってしまっている。

 逆にヤドカリはゆっくりと近付いてくる。

 スズーたちの背中には水槽だけしかない·········


[スズー]

『逃げ···られない···!』


「まずい······スズーたちが······」


「いやるいちゃんが何度も○したでしょ。」


 誰もが絶体絶命だと思ったが·····


[スズー]

『···え?』


 その瞬間、スズーたちは姿を消した。

 そこにはいたのは1匹のヤドカリと水槽の中になぜかいる2匹のクラゲだけであった。


 ヤドカリは目的が失ったのかどこかに行ってしまった。


 少しするとスズーたちは元の姿に戻り、その場に何事もなかったかのように立っていた。


[スズー]

『···』


[スズー]

『···助···かった···のか。』


[スズー]

『はぁぁ···良かった···』


[スズー]

『···』


[スズー]

『···何だったの···今の。』


「人が······クラゲに·········」


「一体···なにが······起こってるの·········」


:クラゲの鍵······

:まずい行き止まり

:あ······

:スズー本日19回目のお亡くなりか?

:?

:?????

:え?

:!?!?!?

:お?

:びびった

:水槽の中に入った?

:クラゲの子?

:転生したらクラゲだった件、うん、10000万部確定だな

↑そもそも転生してないしくそパクりやめろ

:↑↑-10000万部の間違いだろ



-------------------

 次回もホラゲー配信です。

 スズーたちがクラゲになってしまいました。

 次回もお楽しみに!


 るいちゃん最初は格好いい系の男の子を目指してたはずなのに···いつからこうなってしまったのか······


 あと今回の話はだいたい5900文字でした。

 1話約6000文字って長くね?



























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