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「出た出た出た出た出た出た出た出た出た出た、幽霊が出た~っ!!!! どうしよどうしよどうしよどうしよう~!? 一体どうしたらいいの~!?」
「おっ! 結衣、見~っ――」
「幽霊が出た幽霊が出た幽霊が出た~! どうしよどうしよどうしよう~!?」
「えっ!? 結衣のやつ、一体何があったんだ!?」
幽霊を見てしまった私はとても恐怖を抱き、頭の中がパニックになりながらも幽霊から逃げているために全力で走っていたの。途中、かくれんぼの鬼として私たちを探していた玲央くんと会ったんだけど、頭の中が既にパニック状態になっていた私はそれどころじゃなく、玲央くんに声をかける余裕もないまま、ただただひたすら幽霊から逃げるために全力で走っていたの。
実のところを言うと、幽霊と会ってみたいなという感情もあって、ちょっと楽しみな気持ちがあったの……。だけど、いざ本当に幽霊と会ってしまうと、嬉しさよりも恐怖の気持ちの方が上回ってしまって、ただただ逃げ出したいと思ってしまったの……。
「あ~、もぅ~! 一体どうしたらいいの~!? 私、幽霊を退治することなんか出来ないよ~……」
「きゃっ!?」
「ん……? 今の声ってもしかして……?」
私は少し泣きながらも、そのまま幽霊から逃げ続けていると、近くから誰かが足をつまづき、その拍子に声がしたのを聞こえ、その声に心当たりのあった私はすぐに声のする方へと向かったの。
「……あっ! やっぱり茜ちゃんだ♪」
「……? その声は、もしかして結衣ちゃん?」
私は声のする方へ向かうと、そこにいたのは予想通り、やっぱり茜ちゃんだったの。
「うん♪ そうだよ♪ 私だよ♪ 結衣だよ♪」
「……本当だ♪ 結衣ちゃんだ♪ わああああぁぁぁぁん~~! 結衣ちゃ~~~~ん!!」
「ちょっ、ちょっと茜ちゃん!?」
茜ちゃんは私が来たことが分かると、泣きながら私に抱きついてきたの。
ちょっとびっくりしたけど、理由は何となく分かるから全然大丈夫だよ♪
「あの……ね……、あのね……、化学室で隠れていたらね……、幽霊が突然出て来て……、それを見て私……、とっても怖くなっちゃって……、それでここまで逃げてきたの……」
「そうだったんだ……」
茜ちゃんはここまで逃げてきた理由を私に話してくれたの。理由は予想通り、茜ちゃんはやっぱり化学室でどうやら幽霊を見てしまったみたいで、恐怖を抱いた茜ちゃんは幽霊から離れるため、一目散にここまで逃げてきたみたいだったの。
あの時の悲鳴はやっぱりそういうことだったんだね……。
「実は私もね、幽霊を見てしまったの……」
「えっ……? 結衣ちゃんも幽霊を見たの……?」
「うん……。そうなの……。それで私も怖くなっちゃって、ここまで逃げてきたの……」
「結衣ちゃんもそうだったんだ……」
そして私も幽霊を見てしまって怖くなり、ここまで逃げてきたことを茜ちゃんに話したの。
「茜ちゃん、幽霊とっても怖かったよね。私もとっても怖かった……!」
「うん……! とっても怖かった……! だから、結衣ちゃんが来てくれて、私とっても嬉しかった……!」
「うん……、うん……! 私も茜ちゃんと出会えてすっごく嬉しかった……!」
「「うっ……、うっ……、うわああああぁぁぁぁ~ん!!!!」」
私と茜ちゃんはお互いに出会えたことを喜び、ハグをしながら泣き合っていたの。
茜ちゃんと出会えて本当に良かった……!
「「うっ……、うっ……」」
「ねぇねぇ、もし良かったら私も一緒に――」
「「えっ……? ひっ……! きっ……、きっ……、きゃああああぁぁぁぁ~っ!!!!」」
私と茜ちゃんが泣きながら抱き合っていると、再び幽霊が現れ、私と茜ちゃんは恐怖で思いっきり悲鳴を上げてしまったの。
でもこの幽霊、よく見てみるとさっきの男の子と違って、どうやら女の子の幽霊みたいね……。
「逃げよう! 茜ちゃん!」
「うん!」
「えっ!? うぅ~……、せっかく勇気を出して言ったのに~……」
そして私は茜ちゃんの手を繋ぎ、再び幽霊から離れるため、一緒に逃げ始めたの。
「もぅ~! せっかくここまで逃げてきたのに、また幽霊と会ってしまうなんて……、ついていなさすぎだよ~……」
「うん……、そうだね……。私もまた幽霊と会うなんて、思ってもみなかった……」
私と茜ちゃんは再び幽霊と出会ってしまったことに衝撃を受けながらも、幽霊から離れるため一目散に逃げていたの。
「もうどうしたらいいのか分からないから、とりあえず今はひたすら逃げよう!」
「うん! それがいいと思う!」
私と茜ちゃんは頭の中がパニックになっていて、幽霊に対して何をどうすればいいのか分からず、ただただひたすらに逃げていたの。
正直、私たちの出来ることって、多分逃げることしかないよね……。
「しまった! 行き止まりじゃない! とりあえず来た道を戻ろう!」
「うん!」
「よし! こっちに行こう! ん……?」
「2人共、大丈夫……?」
「「ひっ……、ひっ……、きゃああああぁぁぁぁ~っ!!!!」」
私と茜ちゃんはそれからもひたすら逃げていると、再び幽霊と出くわしてしまい、恐怖でそのままへたり込んでしまって、再び悲鳴を上げたの。
もうこんなの……、ただただ怖すぎるよ~……。
「何々、どうしたの!?」
「あれ!? 結衣ちゃんと茜ちゃんだ! 2人共どうしてここに?」
「僕たちはかくれんぼをしていたはずなのに……、これはどう見ても2人に何かあったとしか思えないね……」
「あっ! いたいた! やっと見つけたよ! 結衣は突然どこかに行っちゃうし、茜もいなくなったから凄く心配したんだぞ……。一体何があったんだ……?」
私と茜ちゃんが幽霊と出会ってしまい、その恐怖で悲鳴を上げていると、玲央くんたちがその悲鳴に気付き、私と茜ちゃんのところに駆け付けて来てくれたの。
「実はね……、幽霊が突然現れたの……。それで怖くなって……、私と茜ちゃんはひたすら逃げていたの……。そして、今目の前にも幽霊が……って……、あれ……?」
「幽霊? どこにもいないぞ。そんなの」
「そうね。幽霊はどこにもいないわね」
「えっ……? 嘘……。もしかして……、消えた……?」
玲央くんに何があったのか聞かれ、私は幽霊を見てしまい、同じく幽霊を見てしまった茜ちゃんと一緒に幽霊から逃げていたことを話したの。
そして、今目の前にも幽霊がいることを話そうとしたんだけど、幽霊は姿を消してしまい、現在ここにいるのは私たちだけになっていたの。
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