書き起こし6

いい?いい?ちょっと、

いやあの、ごめんね。

これあれでしょ?怪談してたんでしょ?

でしょ、いやちょっと俺も聞いてほしい話あってさ、誰にも話せてないのよ。

だからちょっと俺もいい?話していい?


 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


あっまじ?ありがと。

えっとね〜これ先週、取引先の人から聞いた話で、怖い話というかSFっぽい話なんだけどね。

えっと〜え〜、まぁ、その取引先の人が、あの〜人が跳ねられるのを見たと。車にね。

で、そんなの怖いじゃん?だから「えぇ〜そんなのトラウマですね〜」って言ったら「いや、跳ねられるのよりも、もしかしたらって考えたら怖かった」って言うのよ。

んで、もしかしたら?って思うじゃん。で、聞いたら教えてくれた話で。


あの〜その人は横断歩道を待ってたらしいのよ。交差点の。

んでイヤホンしてたんだけど、そしたら後ろから男の人の大声?っていうかなんか奇声みたいなのが聞こえたらしくて。

いや、イヤホンしてるのに聞こえるって相当じゃん?だからついついイヤホン外して振り返ったらしいのよ。

そしたら、なんか服装はサラリーマンっぽい、こう〜ネクタイして革靴でスーツの男が、もうっ…すっごい形相で、半狂乱みたいに両手を挙げた状態で、ドタドタこっちへ走ってきてたらしいのよ。


 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


なんか〜もう目なんかガンギマリみたいだったらしくて、めちゃくちゃ口開けて髪もボサボサで、泣いてるみたいな、ん〜…なんて言うんだろ。

感情がぐちゃぐちゃ?みたいな感じだったらしいのね。


で、最初は奇声だと思ってたんだけど、どんどん何言ってるかわかって。

その男、ずっと

「ぶつかるよーーー!!!ぶつかるぶつかる!!!ぶつかるよーーー!!!」って叫んでて。

うわ気持ちわるってなるじゃん?で、横断歩道で待ってた人たちみんな左右に寄って、こう、その人が通るスペースを開けたらしいのよ。

そしたら、ちょうどこう、待ってる人たちに差し掛かる瞬間ぐらいに信号が青になって、まぁ向かいの人たちは普通に歩き始めたんだけど、こっち側からはそいつが真っ先に飛び出して行ったのね。


そしたらよ!

信号無視したトラックが横断歩道に突っ込んできてその男がドーーン!って跳ねられたのね!

で、その男はそのまま飛んで、こう、え〜横断歩道と同じ向きに発進してた車にまたボーーン!って当たったらしいのよ。

も〜辺り大惨事で、キャーキャー悲鳴とか警察!とか聞こえて、まぁ〜パニックだったらしいのね。

で、そしたらその、え〜男が二回目に当たった車の中から女の人が出てきて、その男の肩を持って揺さぶってたらしいのよ。

なんかそれが、こう、名前を呼んでる?みたいな、知り合いっぽい感じだったらしいのね。


でまぁこの話はここで終わりで、そっからはその人のSF考察だったんだけど、え〜ここまで大丈夫?


 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


えっとね〜いや、慣れてるとかじゃなくて、多分単純に放心状態で目が離せなかっただけだと思う。

俺だったら絶対に速攻で目ぇ逸らして逃げるもんね(笑)


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はい〜。

え〜、んで、SF考察の話ね。

なんか、その人が言うには、もしかしたら、あの男はタイムリープしてたんじゃないかって、言ってて。

あの〜まぁ、その、車が〜そのままトラックにぶつかって女の人が死ぬのを防ぐために〜みたいな。

で、なんかその人曰く、創作では結構、こう〜意識ははっきりと言うか、変わりなくタイムリープするけど、実際にタイムリープしたら人間って狂っちゃうんじゃないかって。

言ってた。


 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


いや〜完全に蛇足だよな〜この話〜

だってタイムリープとか言っちゃってるもんな〜

いやっ、でも、うん、話せてよかった。ありがと。

ごめんね急に。

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