第6話 全てバレている

なぜ嘘をつく?何がだ?玲奈は一体、何のことを言ってるんだ?


「えっと、嘘って何のこと?」

「今日、校内に不審者が入ってきたわよね」

「うん」

「そして不審者には聞こえないよう授業をしている教室や体育館にだけ放送がかけられる」

「うん」

「しかし友達とトイレにこもっていた貴方は放送が聞こえない」

「...」

「そして第二理科室前で不審者とばったり出会ってしまう」

「なんでそのことを...」

「不審者の攻撃で友達は倒れ、貴方も倒れたと思ったら、無傷で立ち上がり、不審者を軽々倒してしまう」

「おい、だからなんでそのことを知って...」

「最後まで話を聞いて。その後友達を保健室まで運び、先生の質問には、不審者と会って、友達が倒れてしまって、自分は何とか友達を担いで逃げたと言った。自分の栄光を、嘘をついて無かったことにしようとするの?」

「...」


動揺が隠せない。あの場には、俺と楓真と、不審者しかいなかったはず。だから俺が不審者を倒したことも、俺と不審者以外知らないはず。だと言うのに、玲奈はその事を知っている。あの場にいたのか?


「...玲奈は、あの場にいたのか?」

「私の行動を全て話すと、私は能力値がSだから、不審者を倒そうと、校内を探し回っていた。」

「S...?」

「えぇ。そこで不審者を遠くから見つけたの。だから後ろから近づくいて行くと、いきなり不審者が身を隠しながら攻撃しだしたの。そして歩き出したから、私もついていったら、貴方が起き上がって不審者を倒すところを見たの」

「...なるほどなぁ。流石Sランク。身を隠すのも上手いんだなぁ」

「貴方の能力。あれが本気ではないでしょうけど、少なくともAランクはある攻撃だったわよ」

「僕がAランク?そんなわけ。僕はDランクなんだよ」

「D?流石にあの身体の強さと能力の強さでDランクは無理があるわよ。やっぱり、貴方は実力を偽っているのね。どうして偽る必要があるの?」

「いや、偽ってなんかないんだが」


Aランクに見えるかぁ。やっぱずっと能力使ってないと、落ちるのかなぁ。


「だったら...!」

「ッ!?なんだよ!急に攻撃してきて!」

「今の攻撃、私のほぼ本気の攻撃なんだけど?Sランクの本気の攻撃を避けられるDランクなんて、いるはずないのだけどねぇ」

「...」

「ねぇ、どうして実力を偽るの?」

「それは...」

「...」

「今度言う」

「今度かい!まぁ、私には認めてくれたのね」

「まぁあんなにつめられたら認めるしかないよ」


俺の本当の実力。それは勿論Dランクではない。多分最後に検査した時より落ちてるだろうけど、それでも玲奈には勝てるだろうな

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