第5話 なぜ嘘をつくの?

放送がかかる


『先程の不審者は、第二理科室前の廊下で、倒れた状態で発見されました。教師は1度、第二理科室前に集まってください。安全が分かり次第、再度放送します』


「不審者倒されたのか!!」

「良かった!!これで安全に!!」


グラウンドのあちこちから安堵の声が上がる。私も、不審者が何も危害を加えることなく倒され、安心していた。


「先生は第二理科室に行くから。生徒の皆さんは、グラウンドから離れず、待機していて下さいね!」

「分かりました〜!」






「.......い...おい....楓真!」

「...ん..んあ?」

「やっと目を覚ましたか」


ここは何処だ?なんで俺は健に起こされているんだ?学校...だよな?そういえば、廊下で誰かに急に打たれて...そこから記憶がないな...


「なんだ?何があったんだ?」

「さっき不審者に攻撃されただろ?それでお前は気絶してたんだよ。僕が何とかお前を持ち上げて逃げたんだ。不審者はちゃんと倒されたらしい。まったく、僕に感謝しろよな?」

「あ、あぁ。ありがとう」


俺を持ち上げて逃げた?いや、別に俺はそこまで重いわけじゃないんだが、俺らが見えない場所から的確に攻撃を当ててくる奴から人1人担いで逃げたのか?そんなこと、できるのか...?まあ、そこまで気にすることでもないか。


「それより、ここはどこだ?」

「自分が通ってる学校なのに知らないのか?保健室だよ。さっきまでは先生もいたぞ」

「そうなんや。保健室の中見たこと無かったわ」

「まぁ、僕もそうなんだけどな」

「お前もかいwそれより、もうみんな帰ったのか?」

「今の時間は4時だから、もうみんな帰ってる頃だろうな」

「そうか。じゃあ、ちょっとだけ保健室探索してから帰ろうぜ」

「そうだな!」


そして、保健室の中を見てまわり、教室に戻り、帰ろうとしたのだが...


「長谷川くんいますか?」


俺のことか?この人、見たことないけど。誰なんだ?


「僕のことですか?」

「そうそう、貴方。ちょっと私についてきて」

「え?何でですか?」

「いいから」

「あ、はい。楓真ごめん、先帰っといてくれ」

「わかった〜」




言われた通りこの人の後ろをついて行く。この人の名前も、今から行く先も分からない。名前は今聞いておくか。


「すみません。貴女の名前って何ですか?」

「私の名前は鈴木 玲奈(すずき れな)よ。れなって呼んでね。あとタメ語でいいわよ」

「わかったよ、れな。あと、今どこに向かってるん?」

「屋上よ、少し話したいことがあるから」

「あれ、屋上って入れたっけ」

「東校舎からなら入れるのよ。自分の通ってる学校だってのに、知らないの?」

「う、うん」


あれ、なんか既視感()



それからは無言で歩き、屋上についた。


「それで、話したいことって何?」


彼女は少しの沈黙の後言う。


「なぜ嘘をつくの?」

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