第2話 能力値検査とは

「......これで、HRを終わりま...あ!そういえば今日の5、6限目に能力値検査があります。なので昼休み中に体育館に移動しておいて下さい。じゃあ、HRを終わります。」


能力値検査。それは、その名の通りだが、自分の能力をいくつかの方法で検査する。それの総合評価で能力値が決まる。といった感じだ。まあ、体力測定に似たようなものだ。


「助けて健〜能力値検査嫌だァ〜」

「そんな嫌がる程のことでもないだろ」

「嫌ァー」


HRが終わるとすぐ俺に飛びついてきたのは楓真だ。こいつの能力値はお世辞にも高いとは言えない。Dだ。まあ俺も一応Dなんだけど。そういえば言い忘れていたが、俺の名前は長谷川 健

(はせがわ けん)だ。


「なんか熱出すいい方法とか無いィ?おねがいィ」

「そんなもんない。大人しく受けた方が楽だぞ」

「まぁそれもそうか。」


ワザとだろってレベルの切り替えのはやさだ。こいつはそういう事が多い。だったら、最初からそうしてくれると楽なのだが


「それより一限移動教室じゃん!急がないと!」

「持ち物準備してなかったのか?早くしてくれ。巻き添い遅刻は嫌だぞ。」

「分かってるって!今急いで準備してるから!」


その後、あと数秒で遅刻する所で教室に着いた。結果的にもう少し余裕を持ってと注意されるだけで済んだから、まあ良しとするか。それより俺は、endのことが気になって仕方がなかった。誰がSSSになっているのかが、はやく知りたい。


「ね、ねぇ健くん。もし良かったら、授業のペア私と組まない?」

「...」

「け、健くん?」

「え?あ、あぁ、ごめん。少し考え事をしてたよ。ペア?僕でいいなら、組もうか。」

「良かった...ありがとう。」


どうやら俺が考え事をしている間に、男女でペアを組んで授業をすることなっていたらしい。そんな俺に話しかけてくれるなんて、この人はとても優しいんだろうな。


ちなみに、関わったことがほとんどない人だったから、話す話題がなくて気まずい空気になっていたが、頑張って話題を出そうと頑張っている姿を見ていたら、とても気持ちが和んでいた。

そんなこんなで、午前の授業は無事終えた。


「やっぱ能力値検査嫌だなぁ」


昼休みになり弁当を食べながら、楓真はそんな愚痴をこぼした。


「言うてもちょっと検査するだけなのに、何がそんなに嫌なん?」

「いやだって、能力値が何か普通に言うやん。クラスメイト全員に聞こえてるのに、俺Dランクやん。俺にもプライドってもんがあるっていうのに、恥ずかしすぎるねんなぁ。」

「まぁ確かに、全員の前で言う必要は無いよな」


ランクの低い人は辛いだろうけど、能力値で就職だって出来る世界だからなぁ。『この悔しさをバネに頑張ってください』みたいなメッセージが込められてたりするんかな。いや、多分無いな



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