第4話 幼馴染とプチバズリ
「うーん、どうしたもんかなぁ……」
配信が終わると和弘は自分の部屋でパソコンと向き合って編集作業をしていた。
こうして配信が終わると七海と分担して切り抜き動画を上げるのだ。
だが今回の顔出し配信は想像以上に好評でせっかくならこの波に乗りたい。
「少し編集のやり方を変えてみようかなぁ……」
和弘が悩みながら少しずつ作業しているとスマホからピロンと音が鳴る。
見ると配信用のアカウントに一通のDMが届いていた。
なんだろうと思いつつ和弘はDMを開く。
『今日の配信良かったです!今回の配信の切り抜き動画をSNSやようつべにあげさせてもらえないでしょうか?』
「最近ようつべで切り抜きの収益化が止められたのにやってくれる人がいるんだ……」
和弘は少し驚きつつも自分一人で決められることではないので七海にどうするかメールで聞く。
するとすぐに七海から返信が来て了承する旨が綴られていた。
和弘はその返信を見て投稿前に動画の確認だけさせてもらうのを条件にお願いすることにした。
「さて、俺の方もショートに切り抜かなくちゃな」
和弘は再びパソコンに向かい作業を再開した。
◇◆◇
翌日、高校での初授業を終え自室に戻った和弘はスマホに膨大すぎる通知が来ていることに気づいた。
慌ててスマホを開くとその通知はフォローされたという通知とDMばかりだった。
DMを確認するとどれも決まって似たようなことが書いてある。
『お二人共すっごく仲がいいんですね!フォロー&チャンネル登録させてもらいました!』
『お似合いすぎる!前世でどんな徳を積んだらそんなことになるんですか?笑』
『次の配信は今日の夕方ですね!絶対に行きます!』
などなど。
何が起こっているのか理解できなかった和弘だが一つだけ思い当たるふしがあった。
今日の朝、既に切り抜き動画を完成させ見せてくれたので投稿しても良いと許可を出していたのだ。
編集がすごく上手くて参考にしたいなぁくらいにしか思っていなかったのにまさかこんなことになるとは……
「って呆然としてる場合じゃない!七海に連絡しないと!」
和弘はすぐに七海に電話をかける。
すると数コールで七海は電話に出た。
「もしもし〜?どうしたの?和弘」
「いきなりで悪いけど俺達のチャンネル確認してみてくれないかな?」
「え?別にいいけど……って、えぇぇぇぇぇ!?」
七海の驚く声が入ってきて思わずスマホを耳から離す。
そして収まったと判断すると再びスマホを耳につけた。
「な、なんでこんなことになってるの!?チャンネル登録者が昨日から3倍くらいに増えてるよ!?」
「わ、わかんないけど……昨日の切り抜きをやってくれた人が理由なのかも……」
「そ、その人の名前ってなんていう人なの?」
「え、えーっと確か……空き地さんって人だよ」
「ちょっと調べてみる!」
そう言って七海は無言になる。
和弘もただ待つのは居心地が悪くソワソワとしていた。
「こ、この人フォロワーほぼ6桁の動画クリエイターさんじゃん!?なんでそんな人が私たちの配信を!?」
もはや何がどうなっているのかわからない。
和弘も混乱しながら空き地さんを検索すると俺達の配信の切り抜きが数万のいいねと共に拡散されていた。
間違いなくこれが原因だった。
「と、とりあえず今日の配信どうしようか?」
「もう告知しちゃってるんだし休むわけにはいかないよ……とにかく今日は頑張って2人で乗り切ろっ!」
「お、おお」
いきなり自分たちにとって荷が重い過分な数のチャンネル登録者数となったことで2人にプレッシャーがのしかかる。
それでも頑張っていこうと2人で励ましあったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます