第3話 俺様、金の稼ぎ方を考える
この国の王都に到着した。
王都には多くの人と人間に似たような種族がいた。
まぁ俺様は人間の女が一番だが、最悪亜人族でも抱けるかもしれない。
貴族としてボーッと18年間生きてきたわけだが、なんだかんだ生まれて初めて王都に一人でやってくる。
俺は期待とこれからの旅路へのわくわく感で胸がドキドキしていた。
この世界では多種多様な人種が存在している。
獣耳の種族、爬虫類のような頭をしている種族、身長が小さいわりに頑丈なドワーフ。
耳の長く魔法か弓が得意で長命なエルフ。稀に竜のような鱗を持つ一族もいるとかなんとか。
人間族が割合として一番多くその次が獣耳の種族、次がドワーフ、その後リザードマンと呼ばれる爬虫類族がいる。
それらをまとめて「人類」と呼ぶが、それ以外の人間に敵意のある異形の怪物のことを「魔物」と呼び、家畜や魔物以外を「動物」と区別する。
魔物学はだるかったが、道中それらに遭遇しないように道を選んだからその経験もそれなりに役立つなぁと考えながら俺は荷馬車に揺られてあくびを一つ。
まぁ簡単に言えば予定もなく家からぶらりと歩いて、荷馬車に金を払って王都まで運んでもらった。
俺の持ち物は弁当と路銀の入ったカバン一つだけ。
後は動きやすい服装だ。
これで俺様も旅する若者の一人というわけだ。
王都に着いたらいろいろなことを考えなきゃいけない。
それは主に二つだ。
宿と稼ぎ口だ。
宿は一番安い宿でいいとして、問題は稼ぎ口だ。
冒険者になるのはいい。
だが問題は冒険者としてどう生きていくかだ。
俺はド素人。
貴族のボンボンといえどもコネはないし、裸一貫同然だ。
何度も言うが俺様は冒険に必要な知識はおろか武器を振るったことのない素人だ。
仕事を選ばずやるとしてもなんでも屋のように犬や猫を探したり、ばばあの道案内や挙句の果てには溝さらいをやらされる羽目になりそうだ。
溝さらいよりももっとひどい鼠退治に俺様がわざわざ行くようなアホな真似はできない。
俺はこれでも一応貴族だ。
平民に舐められないような生き方をしなければいけない。
そんなことを言ってもなぁ。
素人が武器を振るったところで金が稼げるような世の中なら苦労しないな。
体が資本で運動がいくら得意とはいえ土木作業をやりたくはない。
せめて路銀で剣を習って迷宮に潜って金を稼ぐか。
俺様はそうやって考える。
迷宮とは遺跡に複雑な構造の罠や謎のからくりがくっついたもののことでそこには魔物がいてたまに宝箱がある。
宝箱の中身はだれがどのように用意したかはわからないが誰がどう取ってもいいらしい。
一応冒険者登録していない素人でも挑めることには挑めるんだが、まぁ百パーセントの確率で死ぬ。
ほぼ確実に死ぬ。
命、大事。
俺は王都の中心にある観光客用の看板の前でそんなことをもやもや考えながら一人ため息を吐く。
「うん?」
俺は看板の一番下に小さく「剣術道場」と書かれているのに気が付く。
「値段は…………安いな、それにここから近いし、寝床も食事もつくのか」
まぁ野宿したり危険な冒険者稼業に身を乗り出すよりは安全か。
行先は近いといってもだいぶ森の中になりそうだ。
ここで俺様の人生の予定を考えた。
まずは奴隷でもなんでも童貞を卒業する。
我が拠点、できれば城を買う。
なんか高い地位につくか、なんか大会にでて優勝する。
そして悠々自適にだらだらと過ごしてたまに冒険する。
俺様は多少鬼畜なことをしても野望を叶えたい。
真面目に生きて余名宣告された俺様の教訓はただ一つ。
俺様の人生は俺様次第で時間は限られているということだ。
俺様は決意し、森の中のけもの道を歩いてその剣術道場とやらに向かった。
どうかその師範が美女でありますように。
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