6話 2回目のMerry Christmas
「そうあ、そうあ……そんなことが」
俺とベラとルナはファルサに今まで起こったことを話していた。古びた紅色のソファに腰を掛けながら、出されたクリスマスローズティーをただ眺めながら。
「ソル……」
ファルサは緑の宝石が装飾されたネックレスを握り、想いを馳せた。
窓を見ると、日差しが雲の間、間から差し込み、机に置いてある花瓶に入った白いゼラニウムを明るく照らしている。
「部屋を案内するよ。取り敢えず今日はゆっくり部屋で過ごしておいてくれ。明日になったらもっと遠くの所に避難するからね。しばらくしたら、私は少し客人をもてなさないと……」
「客?」
「あー、ちょっとしたね……。昔からの友人だよ」
色々と話しながら、ファルサは2階にある部屋達を案内していく。一通り案内し終えたらファルサは1階へともどり、茶の準備や掃除を始めた。
俺は部屋に入るととてつもない眠気と疲労感に襲われた。部屋に入るまで色々と気が抜けなかったのが原因だろう。
――眠い。もう疲れた……。
フリーは白く分厚いベットに倒れ込む
「起きてくれ!██……」
「お前が!██ ██ █!」
「不幸鳥」
「なんで……██ が」
「Merry Christmas!」
「この世界全体が██ ██されているんだよ。例えば██は█に……」
――起き██ ██!目██ ██ █るな!寝るな!寝るな!寝るな!寝るな!寝るな!寝るな!寝るな!
「はあはあはあはあはあはあ。痛い……。なんだ?頭が痛い……。うう……。」
全身から冷や汗が出て、悪寒がする。なんだか、寝てはいけない気がする。とてつもなく嫌な予感だ。だめだ。クソみたいな気分だ。
「今すぐに部屋から出よう!」
時計の針は午後11時55分を指す。おかしいぐらい寝ていた。なんで、と疑問と不安が駆け回る。
まず、俺は隣にあるベラの部屋へと向かった。なぜかベラの安否が気になる。いそげ、はやく、いっぷんでも、たのむ――
こんこんこん。
「ベラ!入るぞ?」
「……ベラ?」
「は?ベラ?」
「起きてくれ!ベラ……」
ああ、だめだ。
ベラは眠っていた。床に無惨に倒れている木製の三本足の椅子に括り付けられ……。ああ気が狂いそうだ。
俺は部屋を出て今度は母さんの部屋に千鳥足のような調子で歩いてく。
「嘘だ……。何が、あった?ベラ。俺が何をしたっていうんだぁ。ははは…………なんで、なんでこんなことになるんだよ!!」
壁を思いっきり強く握った手で叩く。もうこんなのあんまりだった。俺は、正気じゃなかった。
「ははは、こんなことあるんだねー。……ありがとう、フリー!」
「起きなよ?フリー!もう、12時だって!」
「今年は何がくるんだろう?お菓子の詰め合わせかなー?」
「その、フリー。これ!」
俺は……ベラのことを救えなかった――
俺は震える手でドアノブを捻る。真っ暗な部屋からこちらを覗くのは――
「はあはあはあはあはあはあ、はあ……」
ベットから勢いよく起き上がる。窓から暖かい日差しが差していた。
「おかしい」
明らかにおかしかった。フリーは潰れたはずの自分の家に居たのだ。時計を咄嗟に見てみる。
「なんで時計の針は11時ぴったりを指してるんだ――」
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