第2話 虹、透明、希望
◇ 涙の色:虹
「ほら、あそこに誰かいるよ」
さやかが公園のベンチを指差した。
一人のおじさんがギターを弾きながら、独り言のように歌っている。
「話しかけてみようよ」
隆が言うと、三人は恐る恐るおじさんに近づいた。
「あの、すみません…」
悠が声をかける。
おじさんはギターを止め、穏やかな表情で彼らを見た。
「君たちも、悩みを抱えているのかい?」
おじさんの言葉に、彼らは驚きの表情を浮かべる。
まるで心が見透かされたようだ。
「実は、私も若い頃は君たちのように悩んでいたんだ」
おじさんは微笑みながら話し始めた。
虹色に輝く瞳が、彼らを優しく見つめている。
◇ 涙の色:透明
「私は昔、ミュージシャンを目指していたんだ」
おじさんは遠くを見つめながら語り始めた。
「でも、思うように上手くいかなくて、挫折の連続だった。
家族からも理解されず、孤独だったよ」
おじさんの話に、悠とさやかと隆は自分たちの悩みと重なるものを感じた。
「だけど、音楽を愛する気持ちは決して捨てなかった。
苦しい時は、音楽に助けられたんだ」
おじさんの言葉は、彼らの心に静かに響く。
涙が頬を伝った。
けれどその涙は、透明で澄んでいた。
「君たちも、自分の心に正直に生きることが大切だ。
悩みは永遠じゃない。
乗り越える力は、君たちの中にあるんだよ」
おじさんは優しく微笑んだ。
◇ 涙の色:希望
おじさんとの出会いは、悠たちに新しい視点をもたらした。
公園を後にしながら、三人は語り合う。
「おじさんの話を聞いて、自分の悩みって大したことないような気がしてきた」
悠が言う。
「そうだね。
みんな、それぞれ苦しみを抱えているんだね」
さやかも頷いた。
「俺、改めて音楽への情熱を感じたよ。
絶対に諦めない」
隆の瞳は輝いていた。
三人の心には、新しい希望が芽生え始めていた。
涙を拭いながら、彼らは笑顔を交わす。
「さあ、これからどうする?」
悠が問いかける。
「まずは、自分の気持ちに正直になることかな」
さやかが答えた。
「そして、前を向いて歩いていこう」
隆も力強く言った。
希望の色に染まった涙は、彼らの新しい一歩を照らし出していた。
夏の日差しが、優しく彼らを包み込む。
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