第92話 復讐の成就
須藤は目を瞑った。
思い切りだ。
耳は捨てたか。
……これで刀を捨ててたらウケたんだけどな。
まあ、これでも十分思うつぼ。
須藤は目を瞑って刀を無秩序にぶん回していた。
うわああああ、と叫びながら。
なので俺はその手を狙い袈裟斬りを放って。
須藤の右手の親指を切断した。
「がああああああ!」
須藤の悲鳴を聞き、俺は耐えきれず笑い転げそうになった。
刀は両手で握るものだし。
親指がなくなれば握るという行為ができなくなる。
つまりこいつはもう刀を握れない。
親指を斬るのは良いよ。
手首を切り落とすよりは出血がマシだからね。
念には念を入れて、残った左手の親指を切断しておく。
こっちは右手の親指切断で動きが止まっていたので余裕だった。
これでもう、こいつは武器を握れない。
え?
……スタングレネードはどうなった?
ああ……
あれは偽物なので爆発しないんだ。
製造元に要請をして、特別に作ってもらった本物そっくりの贋作のスタングレネード。
ダミーのスタングレネードは市販されているが、そんなの見る人が見れば分かるものだしね。
心許ないから。
火車は根深い組織でね。
警察組織上層部にもシンパが居るし、兵器開発をしている会社にもシンパが居る。
だからこういう芸当が可能なんだな。
「ひ、卑怯だぞ騙したな!」
まんまと騙された間抜けが泣き言をほざきはじめた。
だから俺は言ってやったよ。
「……冷静に考えろ。こんな室内でスタングレネードを爆発させたら俺までやられる。引っかかる方がバカなんだ」
俺は頭の上でくるくる指を回した。
そして踏み込み
下段真横に剣を薙いで
須藤の右足のつま先部分を切断した。
「……騙される方が悪い。武術舐めんな!」
うギイイイ! と悲鳴を上げ、涙を流して倒れて、転げまわって苦しむ須藤。
俺の中でどす黒い憎悪と怒りが膨れ上がっていく。
そこから先はただの処刑だった。
まず逃亡の目を潰すため、転げまわる須藤のアキレス腱を切断した。
そのときの悲鳴は「アヒィ」だったので、吹き出してしまった。
そして急所を外して何度も刀を突きさした。
5回目くらいで
「僕が全部間違っていました!」
……罪を認めて謝り始めた。
根性がねえな。
「謝罪が足りない」
そう言って俺は須藤の腹に刀を突き入れ、真横に裂く。
「はぎいいいいい!!」
それをすると、須藤は小便を漏らし、最後に射精した。
精液の臭いでそれに気づく。
命に係わる大怪我をすると、子孫を残そうとするのは生物の当然の反応なんだよな。
それを知ってたが
「何イッてんだ? キモイよお前」
そう言って、腹部の内臓を刀の先でかき回してやった。
途端に、須藤は仰け反った。
……そうして。
たっぷり30分程度の時間をかけて嬲り殺した。
この30分のために、俺は高校1年から今日まで、積み上げて来たんだ。
須藤の最期の言葉は「こころからはんせいします。ゆるしてください」だった。
泣き喚き、苦しみ抜いて死んでいったクズの亡骸を見つめつつ。
それを噛み締める……望みを果たした。
けれど……
満たされないものがあった。
どうしてなんだ。
戸惑いがある。
「……仇は取ったよ……姉さん」
そう、呟いても。
俺のその思いは何故か消えなかった。
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