第14話 圧倒的では無いですか
「身の程を知れオーク共!」
クロリスは本気で不快そうに眉を顰めながら、頭上に両手で円を描きます。
あ、人間変身しててもできるんだ。
魔法武具の召喚。
輝く円形魔法陣が頭上に出現し、そこから漆黒の鎧が出現。
分解した状態で現れて、独りでにクロリスの身体を覆い
2秒かからず、魔軍騎士としての姿へ装着変身完了する。
そして大鎌を一振りし、オークの群れに突っ込んで行く。
……その大鎌、直ったんだ。
それを言ったら、籠手の部分もだけど。
魔法武具って、収納後に自動で破損個所が修復するんだね。
便利だなぁ。
「ブヒーッ!」
オークが大鎌で腕や首を刈り取られ、行動不能、もしくは絶命する。
乱舞するオークの腕や首。
変身の魔法を使うと、変身対象の身体能力に引き摺られて、身体能力の上下が起きるので。
正直、鎧を着て動けなくなる可能性考えていたんだけど。
そうでもないなぁ。
あの鎧、予想よりも軽いのかな?
そんなことを思っていたら
ドンッ、という重い破裂音がして
オークの頭が吹っ飛んだんです。
見ると、キリサキさんの右手に、この前見た道具……デザートイーグルが握られています。
そのまま連続発射して、オークを数匹仕留めて
「このくらいで良いだろう」
そう言って、彼はデザートイーグルを消した後。
今度は左手に握られた勇者の剣を鞘から抜き
踏み込んで、生き残りを斬殺していきます。
オークは、斬撃を斧の刃や槍の柄で防ごうとするんですけど
前にも言った通り、勇者以外にはこの剣は数万トンの重さがある折れない刃物という設定なんで。
平たく言うと、防御ごと斬られてバッラバラ。
うへぇ。
やっぱり見ててキモチイイ。
「ニ、逃げロッ!」
おっと。
2人の強さに恐れをなして、逃げ始めるオークが出現しました。
そこで私は真言を唱えて
「潰れろ」
杖を差し向け魔法を発動。
私の言葉に反応し、杖に収束された魔力が解放され。
逃亡しようとしたオークたちが地面に引き付けられるように倒れ伏します。
真言魔法上級位階「高重力」の魔法です。
「ぐへへへへ、お、重い……」
最後までぐへへ言いながら、増強された重力により、自重でぺっちゃんこなっていくオークたち。
ふぅ。
これでまたひとつ、酷い目に遭う若い娘が減りました。
「ありがとうございました勇者様!」
荷馬車の御者やってたおじさんが、私たちに跪いて涙を流してお礼を言ってくれます。
どうも、この近くの関所の警備兵詰め所に、物資を運び込んだ帰りみたいで。
そこをこのオークの集団に襲われたみたい。
「死ぬかと思いました! もう2度と家族に会えないと思いました!」
そうおじさんは口で心からの感謝を発します。
彼はこのまま、首都ジンリュウに帰還するらしく。
だったら
「申し訳ないですけど、乗せて行ってくれませんか? 荷台で良いので」
そうお願いすると
「良いですとも!」
おじさんは胸を叩きました。
よっしゃー!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます