第3話 色彩の試練
エリオットは、レインボー・リベリオンの仲間たちと共に、古代の儀式を行うための旅に出ていた。
世界各地に散らばる、七色の宝石を集めるためだ。
「次は、どこに向かえばいいんだ?」
車を運転しながら、エリオットが尋ねる。
「北欧の山奥に、青の宝石があるという情報を得ている。そこが次の目的地だ」
助手席で地図を広げながら、リーダー格の青年が答えた。
一行は、雪に覆われた山道を進む。
吹雪の中、ようやく古びた神殿にたどり着いた。
「宝石は、この奥にあるはずだ。気を付けろ。罠があるかもしれない」
そう告げると、青年は先頭に立って神殿へと足を踏み入れる。
薄暗い回廊を進むと、一行の前に巨大な扉が立ちはだかった。
「ここが、試練の間だ。色彩の力を使って、扉を開けるんだ」
青年はエリオットに目で合図する。
エリオットは震える手で、禁断の色を宿した宝玉に触れた。
途端、眩い光が彼の体を包み込む。
エリオットの意識は、色彩の海へと引きずり込まれていった。
「ここは...?」
目の前に広がるのは、現実離れした色彩の世界。
エリオットは、自分の罪悪感や恐怖心と向き合わされる。
「負けるな!君は色に選ばれたんだ!」
仲間の声が、遠くから聞こえてくる。
エリオットは必死に抗い、ついに色彩の力を制御することに成功した。
「やった...!扉が開いたぞ!」
歓声と共に、一行は先へと進んでいく。
試練を乗り越えるたび、エリオットは色彩の力を自在に操れるようになっていった。
「もう少しだ。必ず、世界を救ってみせる...!」
そう誓うエリオットに、仲間たちも力強くうなずくのだった。
◇◇◇
「ついに、全ての宝石が揃ったな」
レインボー・リベリオンのアジトにて、リーダーの青年が言う。
「だが、儀式を行うには、クロマティック・オーダーの本拠地であるギャラリーに戻る必要がある」
「分かってる。必ず、やり遂げるさ」
エリオットの瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。
一行は、かつてエリオットが潜入したギャラリーへと乗り込む。
「よく戻ってきたな、裏切り者」
だが、そこには既にクロマティック・オーダーの幹部たちが待ち構えていた。
「ふん、お前らの悪だくみは、もうお見通しなんだよ」
挑発するエリオット。
幹部たちは一斉に襲いかかってくる。
「みんな、僕が時間を稼ぐ!その間に、儀式を始めるんだ!」
エリオットは宝玉を握りしめ、禁断の色を解き放つ。
幻惑的な光が辺りを包み込んだ。
「今だ!」
その隙に、仲間たちは地下の祭壇へと走る。
そこには、古代の儀式を司る神官のような姿をした老人が立っていた。
「よく来たな、若者たちよ。準備は整っておる」
仲間たちは宝石を祭壇に捧げ、儀式を始める。
神秘的な光が満ちる中、エリオットもまた戦いの場に戻ってきた。
「今こそ、お前らの罪を浄化してやる...!」
禁断の色を操るエリオットと、クロマティック・オーダーの戦いが、最高潮を迎えようとしていた。
◇◇◇
激しい戦いが繰り広げられる中、地下の祭壇では、色彩の儀式が進行していた。
七色の光が螺旋を描き、やがて眩い閃光が祭壇を包み込む。
「儀式は成功した...!世界から、色彩の呪縛が解かれる...!」
神官を思わせる老人が、感動に満ちた表情で呟く。
その時、ギャラリーを震撼させる爆発音が轟いた。
「エリオット!」
仲間たちが悲鳴を上げる。
吹き飛ばされたエリオットの体が、ゆっくりと宙を舞っていた。
「くっ...こんなところで...終わるもんか...」
決死の覚悟で、エリオットは最後の力を振り絞る。
禁断の色が、彼の全身を覆い尽くした。
「うわあああああっ!」
その瞬間、エリオットの体が七色の光となって弾け飛んだ。
「エリオット...君が、世界を救ったんだ...」
ぐったりと倒れ込む幹部たち。
クロマティック・オーダーは、完全に壊滅したのだ。
「代償は大きかった...しかし、これで人類は自由になれる」
仲間たちは、深い悲しみに暮れながらも、希望に満ちた眼差しを空に向けるのだった。
色彩の儀式は完了し、世界は色彩の呪縛から解き放たれた。
だがそれは、エリオットという若者の、尊い犠牲の上に成し遂げられたのだ。
新たな時代の始まりを告げる朝日が、ギャラリーに差し込んでいた。
<続く>
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