第4話 色彩の新時代
儀式から一年が経過した。
色彩の呪縛から解放された世界は、めまぐるしく変化していた。
人々は自由に色を選択し、自分らしさを表現できるようになったのだ。
街中には、カラフルな広告や装飾があふれ、活気に満ちていた。
「こんなに世界が変わるなんて...信じられないよ」
レインボー・リベリオンの面々も、平和な日常を満喫していた。
「エリオットが犠牲になったからこそ、今の世界があるんだ」
「ああ、彼は本当に勇敢だった。私たちの希望だったんだ」
仲間たちは、その名を口にするたび、胸が熱くなるのを感じていた。
一方、エリオットの分身とも言える七色の光は、世界中を駆け巡っていた。
「見えるか?あの虹色の光を」
「まるで、エリオットが私たちを見守っているようだね」
人々は、光を見つめては、エリオットに思いを馳せるのだった。
◇◇◇
ある日、レインボー・リベリオンの元にある知らせが届く。
「聞いたか?世界各地で、また新たな色彩の力が目撃されているらしい」
「それも、エリオットが使っていたのとは別の色だって?」
仲間たちは色めき立った。
エリオットの犠牲から一年。
色彩に関する秘密は、まだ完全には解明されていなかったのだ。
「私たちは、エリオットの意志を継がなくては」
「そうだ。世界中の色彩の秘密を解き明かすんだ」
彼らは、再び旅に出ることを決意する。
世界地図を広げ、目撃情報のあった場所を確認する。
「よし、まずはここから始めよう」
指差したのは、南米の奥地。
そこには、伝説の部族が暮らしているという。
「色彩の力を自在に操るシャーマンがいるらしい。話を聞きに行こう」
希望に胸を膨らませながら、彼らは新たな冒険に乗り出すのだった。
◇◇◇
「早く、早くっ!」
熱帯雨林を駆け抜け、少年は村の中心へと向かう。
「お、お待ちください!話を聞かせてください!」
少年の呼びかけに、シャーマンが振り返った。
「よくぞ来た、若き求道者よ。どうやら、お主も色彩の導きを受けているようだな」
シャーマンは、少年の瞳をじっと見つめる。
「そ、その通りです。僕は、世界中の色彩の秘密を探る旅をしているんです」
少年は、エリオットの遺志を引き継いだ、レインボー・リベリオンの一員だった。
「では、よく聞くがよい。色彩の力とは、生命の源泉。自然と調和し、生きとし生けるものを導く」
シャーマンは、大地に描かれた色とりどりの模様を指し示す。
「世界を変えるも、滅ぼすも、その力の使い方次第。だが、お主ならきっと...」
謎めいた言葉を残し、シャーマンは森の奥へと姿を消した。
少年は、大きく深呼吸をする。
胸の奥に、確かな手応えを感じていた。
「僕にも、エリオットの意志が受け継がれている」
空を見上げると、七色の光が、まるで応えるように輝いていた。
少年の旅は、まだ始まったばかり。
これから先、どんな出会いが、どんな発見が彼を待っているのか。
色彩が秘める無限の可能性。
それを解き明かすことが、少年に課せられた使命なのだ。
時は流れ、今は亡きエリオットの生誕100年を迎えようとしていた。
世界中から、色彩の研究者や求道者が集まり、一大イベントが開催されることになっていた。
そのイベントのメイン会場となるのは、かつてクロマティック・オーダーの本拠地だったギャラリー。
今では、色彩の歴史を伝える博物館として、多くの人々を魅了していた。
「エリオット、あなたが切り開いてくれた道を、私たちはこれからも進んでいきます」
レインボー・リベリオンの面々も、祝福の言葉を捧げる。
時代は移り変わっても、エリオットの想いは、色彩と共に永遠に輝き続けるのだ。
(完)
色彩の罪悪【KAC20247】 藤澤勇樹 @yuki_fujisawa
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