秋の色は 夕陽に滲んで・・・
街のはずれの古い工場の 少しさび付いたフェンス越しに揺れる
最後に残った1輪の秋桜に
遠い瞳をして見つめる君は 「きれいね」と呟いた
傾きはじめた太陽のひかり 昨日より冷めた空気が僕を包む
ポケットに忍ばせたコンサートのチケットを
渇いて震える唇の僕は 次の言葉が出て来ないよ
秋の色は夕陽に溶けて 滲んで
街灯の灯が点るころ 街ゆく人の頬を染める
少し前には
緩やかな西風が水面を震わすと
小さく息を吐いて振り返った君は 「どうしたの?」と訊ねた
夏の終わりに交わした約束 忘れないでいる僕がどうかしてるの?
手を伸ばせば触れられる筈なのに
潤んだ眼差しの君のことを僕は 抱き締める勇気が無いのさ
秋の色は夕陽に溶けて 滲んで
ぼんやりとゆっくりと 時間だけが過ぎてゆく
秋の色は夕陽に溶けて 滲んで
いつまでも僕たちを 思いに任せないまま・・・
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