第8話ドレス選びからのまたまた大冒険!?

「お嬢様、ティアラの次に必要なものが何かわかりますか?」

本を読んでいたら、テアに聞かれ、私は首を傾げた。

「うーん。なんだろ。ドレス?」

「正解です!」

勢いよく答えられ、私は驚いて少し後ろに下がった。

「お嬢様、今日はドレス選びに行きましょう!

ティアラ選びが終わってから3日が経った。

リクの熱が下がり、アンナ姉様は仕事に戻ってしまった。

テアとドレス選びかあ。

楽しそう!

「うん!行こう!」

パパから許可をもらい、私はお兄ちゃんと一緒に街に向かった。

「夫人!久しぶり!」

私が向かったドレス屋さんは、リュンヌ大公家お得意のブティックシリマ!

店長のハウライト夫人は、私のドレスを七年間ずっと作ってくれている。

「公子様、公女様、ようこそお越しくださいました。公女様!大きくなりましたね!今回来たのは、もしかして…」

「そう。覚醒式よ。」

ニコッと微笑みながら伝えると、黄色い歓声が上がった。

「キャー!覚醒式!店長!張り切って作りましょう!」

「ええ。お嬢様、大公閣下からティアラの詳細をお聞きしました。おめでとうございます。ドレスはやはり、真っ白がいいですか?このような色のドレスを作ろうと思っているのですが…」

カタログで見せてくれた色は、まさに天使を表したような色だった。

「この色はエンジェルカラーと言われております。ドレスには50年に一度咲く特別な白百合をつけています。とてもシンプルですが、気品のある公女様専用のドレスです。」

衣装のスケッチを見せてもらった後、私は兄様の顔を見て、頷いた。

「このドレスで頼むよ。」

兄様が夫人に伝えると、私は採寸のために裏に連れて行かれた。

「公女様、背が伸びましたね。去年から5センチも。」

ニコニコと微笑みながら採寸をして、それと同時にお世辞を言える夫人は、本当にすごいな。

「えへへ。」

「採寸は終わりましたので、ソファーでお待ちください。」

夫人の高速採寸が終わり、ソファーでくつろいでると、フローラの森で現れた画面がもう一度現れた。

『光の女神がティアラを気に入ったか聞いています。』

光の女神ってことは、ルーチェのことか!

めっちゃ気に入った!

『光の女神があなたの笑顔を見て喜んでおります。』

『闇を統一する者が闇の気配がすると言っております。』

え!?どういうこと?

『悪を罰する者が人間が売られていると言っております。』

に、人間が!?

大変じゃん!

どうすればいいの?

慌てふためいていると、私の目の前に地図が現れた。

『世界を導く者がこの地図に書いている星に行けと言っております。』

私方向音痴だけど、大丈夫かな…

『光の女神がティアラをつけろと言っております。』

え、今?

理由はわからないけど、もうどうにでもなれ!

ティアラを頭の上に乗せると、強い光が放たれた。

目が開けられない!

強い光はすぐに収まり、ぱちっと目を開けると、目の前に幼い姿のルーチェが立っていた。

「ルーチェ!?って、はっ!」

口に出してしまい、私は急いで口を手で塞いだ。

「大丈夫よ。時間を操る者が時間を止めてくれたから。」

時間を!?

辺りを見渡すと、確かに全てが止まっていた。

お支払いをしていた夫人と兄様や、お客さんたちが。

「着いてきて!時間停止魔法はあと30秒で切れてしまうから!」

「わかった!」

ブティックを出て、私たちは人が通らない暗い道に入った。

「ルーチェ、私の髪と目の色目立つかも。」

「大丈夫!透明魔法をかけておいたから。」

流石ルーチェ。

2人で長い一本道を走り続けると、ルーチェが突然止まった。

私も急いで止まると、真剣な顔で床を見るルーチェのことをじーっと見つめた。

「見つけた。闇オークション会場。売られている人間は、ルナの一個上くらいの少年ね。行くわよ。」

ルーチェに手を掴まれ、私は頷いた。

『転移』

ルーチェが唱えると、私たちは一瞬で暗い部屋の中に転移していた。

「ここは、オークション会場の裏方ね。」

「じゃあ、ここにその少年が…?」

ルーチェは私の問いに対して首を横に振った。

「ちょうどオークションに出てしまったわ。少し裏から見てみて、落選された瞬間このオークション会場ごと爆破させるわよ。」

ば、爆破!?

大胆な作戦だけど、今はその方法しかない。

「わかった。」

首を少しだけカーテンの裏から出すと、確かに少年がステージの真ん中で立っていた。

ひどい、酷すぎる。

鎖に繋がれて、まるで犬のように。

隣にいた司会者を睨んでいると、何かオーラのようなものが少年の体から溢れ出ていることに気づいた。

あれは、なに…?

苦しそう。

「ルーチェ、少年からオーラのようなものが…どんどん大きくなってる!」

どうなってるの?

観客は気がついてないけど。

「あ、あれは…」

ルーチェは私の隣にしゃがむと、耳の中にささやいた。

「魔力暴走よ。」

ルーチェが教えてくれた瞬間、さっきとは比べ物にならないくらいの暗いオーラが溢れ出た。

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