第7話 大冒険からただいま!
「ディアー!すごいじゃないか!女神ルーチェのティアラだなんて!ローズのティアラは確か月のウサギからだったかなぁ。」
パパに抱き上げられ、頭をくしゃっと撫でられた。
ローズは、私のお母さんの名前だ。
確かに、写真の中のママはウサギのような感じだった。
パパはリンから降りた王女様たちにペコッとお辞儀をすると、2人をうちの中に招き入れた。
私はパパにおろしてもらい、エミちゃんとアンナ姉様の手を握り、兄様とリクのところに行った。
「「王国の小さな太陽と月に挨拶します。ようこそ、大公家へ。」」
2人がお辞儀をすると、エミちゃんとアンナ姉様がクスッと笑った。
「ライオス、アスタリスク、2人は私たちの従兄弟なんだから。そんな畏まらないで。」
アンナ姉様が2人に言うと、リクと兄様は頷いた。
「ディア、頑張ったね。ルーチェ様に会えるなんて。すごい。」
兄様に抱っこされ、リクに頭を撫でられた。
「姉様はすごいです。僕の…じ、自慢の姉様ですから!」
照れながら褒めてくれるリク、可愛い!
でも、リク、私は姉だから頭撫でられると、姉の威厳が…
でも、リクに撫でられるのもいいかも!
「ありがとうね。」
リクの頭を撫で返すと、アンナ姉様がため息をこぼした。
「ディアちゃんの弟、可愛いわね。うちの弟たちなんて、誰も甘えてくれないのよ。まぁ、エミがいるからいいんだけどね!ルークは寝てるし、ジュアンはさやなといるから、喋れないし…でもね!でもね!さやなはすごく可愛いのよ。やっぱり妹最高。ライオスわかる?」
アンナ姉様が素早く兄様を見つめると、兄様は何度も頷いた。
「わかります。妹最高ですよね。リクも同じくらい最高ですけど。下の兄妹は可愛すぎます。もう天使を超えた何かです。」
なんか2人で熱くなってる。
「やっぱりわかる!?ちょっと話しましょう!」
「ええ!話しましょう!」
兄様は私のことをおろすと、下の兄妹の最高さを語りながら部屋に行ってしまった。
パパたちもいないし。
「じゃあ、私たちは図書館にいこっか。」
王宮図書館ほど大きくはないけど、何かエミちゃんが好きな本が見つかるかも?
「…!はい!」
図書館に着くと、エミちゃんは一瞬で図鑑がある場所に消えてしまった。
やっぱり、エミちゃんは図鑑が大好きなんだなぁ。
将来博士とかになるのかな。
最終的に、私とリクが残されてしまった。
「リクは、好きな本とかあるの?」
「いえ、特に。」
「「…」」
気まずい!
この気まずい空間を抜け出さなければ!
ちらっとリクの顔を見ると、少し疲れている顔をしていることに気づいた。
「リク、ちょっと手握らせて。」
リクの手を握って目を瞑ると、私はリクの中のマナを探した。
リクは人よりたくさんのマナを持っている。
まだ制御できないせいで、たまに空にしてしまうのだ。
「…やっぱり。リク、あなたマナをまた空っぽにしたわね。」
まっすぐ見つめると、リクは目線を逸らした。
「テア。」
「はい、お嬢様。」
「エミちゃんにリクの具合が悪いから図書館をちょっと出ることを伝えてくれない?」
後ろで跪いてるテアに聞くと、テアは頷き、宙に消えた。
「姉様、僕は大丈夫ですから。」
「ダメよ!」
リクをお姫様抱っこすると、高速でリクの部屋に向かった。
「ちょっ!姉様!恥ずかしいです!」
執務室の時のように、リクが顔を手で覆った。
「マナを空にした罰よ。ほら、熱だってある。」
おでこをくっつけて、私は温度を測った。
微熱かな。
ちなみに、こんなに力がある理由は、大公家の公女に引き継がれる加護のおかげだ。
月の女神の加護の中に、筋力上昇というものがあるらしい。
「リク、今日は寝ててね。」
布団の中にリクを入れると、リクは顔を真っ赤にしながらそっぽを向いた。
リクは体が弱いから、医者から気をつけろと言われてたのに…
「ごめんね。リク。テア、薬と氷枕持ってきて。」
「了解です。」
「姉様、大袈裟ですよ!」
リクは慌てた顔で起き上がった。
「大袈裟じゃないわよ。ほら、起き上がったからまた熱が上がった。寝てなさい。」
ひどい熱ではないからよかった。
「お嬢様、どうぞ。」
テアから氷枕と薬と…流石テア。水と飴まで持ってきてくれてる。
「リク、口の中に薬を入れた後、飴玉入れてあげるから。」
嫌そうな顔をしているリクに薬を渡すと、リクは決心したような顔で薬を口の中に入れた。
水を口に含んだ瞬間、私はリクの口の中に飴玉を入れた。
泣きそうな顔で薬を飲むと、リクは眠ってしまった。
疲れてたのね。
頭をそっと撫でた後、私は応接間に向かった。
「パパ、リクがまたマナ空っぽにしてた。微熱で、具合悪そうだったから、薬飲ませて寝かせておいたよ。」
パパに報告すると、ご褒美として大好物のマカロンを食べさせてもらった。
「偉いなぁ。リクのマナはリクの影のリオンに任せておこう。リオン。」
パパが名前を呼ぶと、黒髪に赤い瞳の男の子が現れた。
「アステリスク様のマナ補充ですね。かしこまりました。」
パパがリオンを見て頷くと、リオンは転移魔法でリクの部屋に向かった。
「語りまくったアンナ様と図鑑を読み尽くしたエミ様は先程帰ったよ。…ディア、クロードのこと覚えてるかい?」
パパが少し戸惑いながら聞いてきた。
「うん。パパのお姉ちゃんの子でしょ?」
記憶に残っている少年を浮かべながら言うと、パパは優しく微笑んだ。
「ディアは記憶力がいいね。その子もね、リクのように病弱だから、もし倒れてたら、お願いね。」
パパに任されたような感じで、嬉しいな。
「うん!」
私は笑顔で答えた。
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