KAC20248 何年も洗っていないアレのようなめがね占い師と、「占いトリック」だ!

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 めがね野郎と、戦え!あなたも、はめられる?「占いトリック」は、新しいミステリーだ!

世の中は、信用できない。

その気持ちが、新しいミステリーを作る。

 中学生男子の彼は、最近、変なことに巻き込まれやすい。

 「あなた、悩んでいますね?」

 ほら、巻き込まれた。

中学の帰り道。

駅前で、背の高いダークスーツな野郎に声をかけられた。

 長いこと洗っていない、金魚鉢の底のようなめがねを、かけている。

何、このめがね?

奇妙なやつだ。

 「あなたは…」

 「はい、僕?」

 「この日本に、悩んでばかりではありませんか?」

 「う…」

 言い返せない。

 「あなた、中学生ですか?」

「あ、はい」

「生き方すべてに、悩んでいますね」

 … 見抜かれているのか?

が、待て!

 「占いのトリック」という言葉が、浮かぶ。

 「…あなた、日本人ですね?」

 たとえばそれは、見れば、何となくわかる。

 「中学生ですか?」

 それだって、着ている制服と背丈で中学生と思われてフツー。

 なのに…。

 言われると、ドキッ。

 「僕、見抜かれているのかな」

 そのときその人は、もう、占いトリックにはめられている。

「…あなた、今、悩んでいますね?」

 占いトリック、占いトリック。

世の中、悩んでいない人なんてほぼほぼいない。

「悩んでいますね?」

そう言われれば、当たり。

「なぜ、わかるんですか?」

「私には、あなたの将来が見えるからですよ」

 「本当ですか?」

「あなたの手相を、見せてください」

 「…手相?」

 「まあ、そちらにおかけください」

 こうして、占い師による有料相談がスタート。

 「占いトリック」

 悩みをかかえて生きる人間の心理を、上手くついている。

世の中、ミステリーばかり。

「はい、手相、見てあげたでしょ?メガネ女性なこのお姉さんに手を握ってもらえて、どう?」

…マジか。

この占い師、「野郎」ではなかったのか。

女性占い師…。

ホント、世の中はミステリーだらけ。

「ほら、君?お金、持っているんでしょ?」

「…お姉さん。…そういうの、カツアゲ…」

「豚カツ系?」

お姉さんのめがねが、キラリと光る。

お前、わざと言っているだろ。


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