Prince #1 For You

 何もかも1人でこなしていると謳っていると思って聴くと??になる。

 ブレークや拍のとり方が単独録音では不可能と思われるからだ。

 しかしよくクレジットを見ると他に1人がレコーディングに参加している。そりゃそうだろうと思ったが、それにしても演奏が精密だ。

 一番1人では無理だと思われた曲が Just as Long as We’re Together だがクレジットをよく見るとこの曲は彼1人。本当に一体どうやっているのだろう。


 一番はじめに録音するパートはどこからなのか?

 バンドの場合ライブレコーディングを全員でやり、一発録りのラフトラックをもとに別々に個別録音するとか、ギターの弾き語りを最初に録るとかあるが、1人で一体どうやって??

 リズムセッションを最初に録音するにはブレークを緻密にするのにどうするのかとか…


 音楽の方はどちらかとソウルミュージックだが、メロディーも良く、前参加の94Eastとはやや違っている。

 ヴォーカルのハーモニーも1人でこなし、一曲目のアカペラでそれを誇示している。


 全体的にハードロック調のギター演奏は控えられており、ソウルミュージックの他にAOR的要素もある。

 My Love Is Forever がAOR ぽさが濃く、曲の後半のリードギターのダビング録音のぶれの無さは驚異的だ。このギターが後のジェイ・グレイドンが多く使うようになるが、これが元なのだろうか。

 AOR 好きはこの曲を抜き出して、自分のお気に入りに並べると良いだろう。


 バラード曲も何曲かアコースティックギターによる弾き語りのものがあるが、これはAOR と言うよりソウルバラードと言う感じか。


 欠点は1人でやっているだけに、バンドで演奏しているアルバム、特にブラックコンテンポラリーにある熱気や活気があまりないと言うことだ。

 この点では楽曲が秀逸なだけに勿体ない。


 全体的にに聴いてエレクトリックギターの演奏が目立つ部分では、彼はロックミュージシャンなのだが、ソウルミュージックの枠内にある音楽性であると言う感じだ。


 ファルセットの高音ヴォーカルがどことなく彼が無理をしているような感じがする。後の彼の地声ヴォーカルを知っている耳にはそう思えてならない。


そして、最後9曲目 I’m Yours でハードロック調の曲と演奏でバシッと決めてくれる。


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