第97話 元の世界に戻されたのは良いが、全く知らない場所に戻されるのは意味が分からない件について



 あれ、ここ……どこ?

 ありのままを説明すると、俺は一つようやくグランド厄介を片付けた。

 そして、ユニーク厄介が現れた。

 そこで意識を失った。

 ちなみに厄介はシナリオのことだ。

 

 さて、本題に戻ろう。

 今、俺は変な色の水溜まりだらけの場所にきている。

 赤色、オレンジ色、紫……あーっとなんか昔テレビか動画かで見たことあるような……どっかの火山くさくね?  

 ただし、圧倒的な地下空間である。

 硫黄の匂いが辺りを漂っている。

 ……匂いが急に無くなった。

 これってもしかしてなんかヤバいか?


[硫化水素による影響はスキル『全物質影響無効』により、完全に身体への影響はありません。]


 あ、そう……俺もう人じゃなくなってない?

 化け物じゃないか?

 それ以上に俺はどうしようもなくもっと化け物の相手をしなければならない。

 それって、元一般人にやらせることじゃないよな。

 気持ち的には今も一般人だぞ?


「えっと……私たちと契約してる時点で、一般人はないかな……あはは」


 あ、フィー。

 居たんだ。気づかなかった。


「酷ーいっ! まぁ別にいいけどさぁ」


 うん、そんなこと気にしてる暇はないんだよ。

 とにかくここどこだよー!


[太平洋上の火山の精霊によって創り出された地下空間です。]


 あの……突拍子もなくそんな意味不明な場所に転移するの止めてくんない?

 普通に驚くし、心臓に悪いから止めてくれよ……


「心臓が負傷することは基本的にスキル『器官破壊強制破壊』によってありません。」


 そういうことを伝えたいわけじゃないっつの。

 本当に頭おかしいんじゃないの?


「すみません……せっかく私たちの種族のために動いて下さったのに遅れてしまいました……」


 ウンディーネさん!?

 あ。そうか精霊が作った地下空間にウンディーネさん……分かった。これ、さっき聞いたシナリオのやつだ。

 正直今すぐってのは全然乗り気にはなれないけど。


「あ、確かあっち側に扉があったはずです」


 ふーん……ないじゃん。

 精霊眼使っても見えない。

 つまり無いってことか?

 それならありがたい。


「あの人は……はあー全く」


 うーんと……面倒な予感がしてきた。


「はぁ……疲れますね……シルフィード手伝ってください」


「うん! 何々ー?」


 あ、これ待ち時間?

 こういうときを待ってましたとも。

 ようやく数分だけだけど休める……

 て、なんの待ち時間?


「精霊以外の攻擊が効かない上に、補助効果を無効化する特殊なゴーレムのモンスターハウストラップですよ。全くどこまでも面倒くさいことをしてきますね……一体あと何体呼び出す気ですか……」


 うわぁ……それって俺何もできない奴じゃんか。

 まあ俺にできることが一つもないなら実質今の時間は休めるから何でも良いんですけどね。

 ……あれ? 俺って今かなりクズなこと思ったのでは?

 でもできること本当に無いんだもん。仕方なくね?

 でもヤバい。滅茶苦茶喜んでる自分がいる。

 こうしちゃ居られない寝よう。


「あはは……まあゆっくり休んでいてください。その間になんとかしておきますよ」


「そそ。ちゃちゃっと片付けちゃうからね〜〜ドカンとやっちゃうぞ!」


「あの……あまり周りの施設とかそういうのには刺激しないようにお願いしますね。あのサラマンダーのことですから変な文句付けてくるでしょうし……それに習さんが休め……」


 はい、面倒案件決定。

 ウンディーネさんが面倒くさいって言うなら絶対に面倒に違いない。

 というかもうやってきている事がすこぶる面倒なんだけど。

 事実不死鳥は面倒だった(現在進行系)。


 どっちにしろヤバいって前提で構えていた方が良さそうだ。でも今は寝る。それ以外に考えられない。

 ということでお休み……


「『睡眠技能:仮眠』」


 よしっ……これで眠れる……

 最高かよ……

 

「どうやら習さんは寝たようですね。久しぶりに二人だけで戦いますが……いけそうですか?」


「当然っ! バッチリだよ!」


「それではいきましょうか」


「サラマンダーなんて吹き飛ばしてやる!」


「あはは。サラマンダーはおそらく最奥ですよ。今は目の前に集中しましょうか」


「あ、そうだった。ごめん……」


「良いですって」


「それじゃあ、久しぶりにやろっか!」


「ええ!」


 そうして俺が寝静まった後、二人が凄絶でド派手な戦いを繰り広げることになるが、そのことを俺は知らない。

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